第3話 --出会い--
第3話ですーーーー。
ごゆるりとーーー。
HR終了のチャイムが鳴ったと同時に五十嵐が
「お、もうこんな時間か。よし、じゃ起立!
そーだなー。あ、耀!お前、挨拶頼んぞ!」
「え!?」
(いきなり!?)
「あ、有難うございました!」
戸惑いながらも大きな声で挨拶をして、思い切り頭を下げる。
『ありがとうございました!!』
「おう!寮に帰る準備しろよ!寮に入ったら説明あると思うから早めにな。」
『はい!』
五十嵐は深く頷くと、どかどかと歩きながら教室から出て行った。
(いきなりは無しだよ・・)
ぐったりと椅子にもたれかかり、一つ深呼吸をしてから寮へ帰る準備を始めた。
でも皆、ちゃんと言ってくれてよかった。そもそも有難うございました、なんかでよかったんだろうか。などと思いながら手を動かしていると、
「いきなりだったのにすごかったね!」
またまたいきなりのことで驚いて勢いよく顔を上げる。
「おお、そんなに驚かなくても。私は何もしないよ。」
声をかけた少女は両手を軽く上げて見せる。
「あ、ごめん。急だったから少し驚いちゃって。」
「大丈夫だよ!これから一緒に寮行かない?私一人でさ。」
「うちも一人だった!うちは 耀みさと。よろしくね。」
ちょうど準備が終わり、立ち上がりながら微笑んでみせた。
「私は中島 りかこ。こちらこそ。」
同じようにりかこも柔らかく微笑んだ。
そして2人は軽い足取りで校舎を後にし、寮へと向かった。
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「とうとう入学したのね。今回の計画にちゃんとついてきてくれる子なのかしら。」
「そこのところはわかりませんが、あの方の子孫です。きっと強気な子なのでしょう。何よりあの方の血を受け継いでいます。心配はいらないでしょう。」
「そんなことはわかっているわ。」
「どうされたのですか。」
「ただ、それが裏目に出ないといいんだけれど。」
「そうですね。自分もそう願っています。」
その窓には美しい女性の不安そうな表情が映し出されていた。
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「ふう~。疲れたああ。」
「説明ほんと長かったよね。頭パンクしそう。」
今日だけで頭が吹っ飛びそうだ。先が思いやられる。
2段ベッドの下の段にダイブしたりかこは椅子に腰かけている私に近づくように顔を出した。
「いやあ、それにしてもルームメイトがみさとでよかったよー。」
「本当だよね。人見知りだから違う人だったらどうしようかと思ったよ。」
「人見知りなの?全然そんな風に見えない。」
「声かけてくれたら大丈夫なタイプだよ。」
「出会いは待ってる系かあ。私は作っていくタイプだな。」
「なにそれかっこいい。」
「でしょ。弟子になってみる??」
「遠慮しておきます。」
「えーーー。」
こんなくだらない会話をして笑いあっていると、
「あ、もう食堂に行く時間じゃない?」
「本当だ。そろそろ行こうか。」
財布など必要最低限のものをもって私たちは4階のエレベーターへ向かった。
そしてエレベーターに乗り込んでボタン押してすぐりかこが口を開いた。
「? 3階で止まるのかな。」
「みたいだね。」
「3階ってことは2年生かな。」
「多分。」
そう言ったときエレベーターのドアが開いた。
ドアの前で立っていたのは高身長な2人の少女だった。
それを見た瞬間、りかこは目を輝かせた。
その少女達はエレベーターに乗り込みながら、
「お、新入生か!俺は2-Cの黒崎ひなただ!よろしくな!」
「いきなり話かけたら驚いちゃうじゃない。私は2-Aの有栖川りさ。よろしくね。」
「1-1の中島りかこです!よろしくお願いします!」
りかこが、ものすごく元気よく挨拶した。
「おー。元気だな!嫌いじゃない!よろしくな。」
「はい!有難うございます。」
まるで神様を相手にしているみたいだ。
「あ、同じく1-1の耀みさとです。よろしくお願いします!」
「耀・・?」
黒崎と有栖川が顔を見合わせた。
「・・?」
「うん。よろしくね。」
有栖川がはっとしたように言った。
「はい!」
ちょうどその時、1階についたのかエレベーターのドアが開いた。
「じゃ、また今度!」
「がんばってね。」
『はい!』
私たちは先に早足で歩いて行った2人に礼をして、また歩き出した。
「まさか黒崎さんと有栖川さんに声かけてもらえるなんて・・」
「そんなにすごい人たちなの?」
「え、知らないの!?黒崎さんは近距離攻撃武器の腕がすごくて実技試験も満点。有栖川さんの魔法は学園の1位2位を争うほどだって。しかも、有栖川さんが立てる戦略は完璧で黒崎さんとペア組んだら倒せない敵はいないっていわれてるほどだよ!学園だけじゃなく世界の有名人だよ!」
「そんなにすごいんだ・・」
「ああ、かっこよかったなあ・・」
(うちもそんな風になりたいなあ)
その時ぐう、とりかこのお腹が鳴った。
「あ、」
「着いたよ。食堂。」
「ないすたいみんぐ!」
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「なあ、さっきの子ってもしかして。」
「ええ、おそらく。私たちも気を抜いてはいられなくなるわね。このままじゃ。」
「そうだな。味方の中の敵ってとこか。」
「そういうとこね。」
「面白くなりそうだな。」
「このまま笑っていたいものね。」
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どうやったら面白くなるんだろうか。
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