表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

小柿リサは絶望する。

「あぁ、めんどくさい」


 思考が口からこぼれた。


 隣の席の男子が顔を上げてチラッとこちらを見たが、またすぐ机に突っ伏した。


 小声だったからか、他の人は気づいてないようだ。


 あぶないあぶない。


 今は授業中で、先生がチョークで黒板を擦る音だけが教室内に響いている。


 そんな中で声を出したら周りに聞こえてしまう。


 私は時々、思考が口からこぼれてしまう。


 この間は、家で思わず「しにたい」と呟いてしまった。


 そのときは家族から心配されて、結構面倒だった。


「気をつけよう」


 やばい。


 言ってるそばから言ってしまった。


 大丈夫、小声だ、聞こえてない。


 ごまかすように、私は窓の外に目を向け遠くを眺める。


 外は雨だ。


 雲ひとつ無い青空から、激しい雨が降っている。


「変な天――」


 あぶない……。


 変な天気だ。


 雨に混ざって、ときどき人が空から降ってくる。


 見慣れたはずのその景色に、私は何故か違和感を覚えた。


小柿こがき


 先生の声で名前を呼ばれ、前を向いた。


 私の顔面にめがけて、青のチョークが飛んできていた。


 今時、よそ見をしている生徒にチョークを投げるなんて、時代錯誤な教師だ。


 私は素早く口を開けて、青のチョークを受け止めた。


「うえぇ……まずい。また、思考が口からこぼれる。前を見ると、先生は何事も無かったかのように授業を再開していた。第一、こんなに寝ている生徒がいるのに、なんで私だけチョークを投げられなければいけないのだろう。しかも青色の。居眠りより、よそ見の方が悪いなんてことは無いはずだ。……ん?気づくとほとんどの生徒が顔を上げて私を見ていた。……え。なんなんだいったい。……あぁ、めんどくさい。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ