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東方妖狐録  作者: 零狐
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2話 外からの来訪者

ここは幻想郷。

忘れ去られたものが集まる世界。

そんな世界にある天狗や河童などが住む山、妖怪の山。

その妖怪の山中腹部に大きな屋敷があった。そこは妖怪の総大将と総大将直属の妖怪たちが住まう場所だった。

そこでは今総大将と幻想郷の異変を幾度となく解決してきた巫女の霊夢が話をしていた。

「それで、、、?何の用だ霊夢。」

「お腹空いた、、、。」

「何しに来たんだお前」

零狐はあきれながら言った。

帰ってもらおうとも思ったが霊夢のその時の気迫に押され雪女を呼んですぐにできる飯を作るよう頼んだ。

「わかりました!零狐様の頼みなら何でもしますよ!」

「すまないな。」

ーー飯が出来て霊夢が食べた後ーー

霊夢は満腹になって満足したようで本来の話を零狐に話し始めた。

「最近、警察に私たちが突き出したあのひげ面の賞金首とその部下が脱獄したそうよ。警察も今全力で捜索しているけど一向に見つからないらしくて、、、それであなたに相談しに来たの。これが今日ここに来た理由よ。」

零狐はそれを聞き色々と考えを巡らせていた。

脱獄した後の奴らの今の心理状況を予想したりそこからどのようにして何処に向かうのか。

そんな事を考えているといきなり零狐の部屋の扉が開かれた。

扉が開いたその先にいたのは人里で怪しい奴がいないか警備させていた狐兵だった。そして狐兵が有力な情報をつかんだらしくすぐさま零狐に報告を始めた。

「先ほど屋敷に帰ってくる時脱獄した奴らが行列になって人里を歩いてまして、、、服装も変わってて一見脱獄した奴らに見えませんでした。しかしながらあの凶悪な目は似顔絵通りでした!」

「よくやってくれた。霊夢、行こう。」

「でも行き先がわからないわよ?」

零狐は意地悪い笑みを見せながら立ち上がり、言った。

「奴らの行き先は見当がついてる。行くぞ。」

自信ありげに言うと刀を持ち霊夢の手を引いた。

霊夢はなすがまま手を引っ張られながらついて行った。


ーーその頃白玉楼にてーー

ここは人里から少し離れたところにある屋敷、そしてそこは転生することになった魂や人魂が転生待ちする場所でもある。普通に人間も来れるが自ら来るような人間はそこまでいない。来るとしても霊夢や魔理沙など特殊な人間だ。

その屋敷の名前を「白玉楼」と言う。


「妖夢ー?よーうーむー?」


そう言って妖夢という人物を探しているのは白玉楼の主であり、冥界のトップである「西行寺 幽々子」だった。

幽々子の呼ぶ声に急いで主のもとに来たのは半人半霊の白玉楼の庭師であり幽々子に仕える剣術使いの「魂魄 妖夢」だ。

「どうされましたか?幽々子様。」

「なんか今日は客人が来そうな気がするわ。一応警戒しておいてね。」

「はい。わかりました。、、、それにしても客人とは一体どなたでしょうか?」

「んー、、、。わからないわ。でも警戒はしておいて。」

「そうですね。わかりました。」

妖夢が返事をして仕事に戻った時。

妖夢も何だかんだで嫌な予感がしていた。幽々子の強さとと自分の強さなら人間ごときなら自分一人で十分だと思っていた。

そんな事を考えている時妖夢は買い出しに行ってない事に気づきすぐ買い出しに行ってこなければと思い幽々子に言って一人で買い出しに出かけた。

ーーーーしかし、妖夢が出かけるというこの行動が後にあんな事になるとは幽々子はこの時考えてもいなかった。


その頃魔法の森にて魔理沙は今晩のおかずの山菜を探していた。

「うーん、、、おいしそうな山菜はこの辺りには見当たらないなー。他のところ行こうかな?」

魔理沙はそのまま歩いていこうとしたがとんでもないものを見つけてしまった。

「キノコじゃなくて倒れてる人間見つけちまったぜ、、、。とりあえず手当てしてうちに運ぶか。」


ーー次の日ーー

「、、、はっ!ここはどこだ?僕は確か零狐を追いかけて、、、」

「目、覚ましたか。お前見ない顔だがどっから来たんだ?」


魔理沙はその男にどこから来たか、そしてなぜ倒れていたのか、色々と事情を聴いた。まず男の名前は「ナト」と言うらしい。

ナトは黒い髪で短髪の細身の体をしていた。

雰囲気からして人間ではなく、零狐を追いかけてきたらこの場所についていて森から出て零狐を探そうとした。しかし黒い、目のない人型の怪物に出くわし戦ったが装甲が厚くダメージが入らなかったので逃げたところ、いつの間にか気を失っていた。とのことだった。

魔理沙はそれを聞いて他にも質問をした。

「ナトはなんで零狐を追ってきたんだ?あいつとどんな関係だ?」

「親友なんです。詳しい話は零狐に会ってから話します。」

魔理沙は話をはぐらかされたようで考え込むように唸ったがナトの言う通り後で聞くことにした。

「それじゃ、少し落ち着いたら零狐のいる妖怪の山に行くか。あと私の名前は魔理沙っていうんだぜ。私に敬語は使うなよ?なんか敬語は慣れないんだ(笑)」

「分かったよ。魔理沙。手当てしてくれてありがとう。」

「それじゃ準備してくれ。」

ナトは分かったという返事の代わりに頷き準備をし始めた。


それから数十分後魔理沙たちは妖怪の山に行く前に通る人里に来ていた。

「ん?あれ妖夢じゃないか?おーい!妖夢ー!」

そこにいたのは買い出し途中の妖夢だった。

「あれ、魔理沙さん何してるんですか?」

「いや今からこいつを零狐の所に連れて行くんだぜ。買い出しお疲れさん。じゃあな。」

「ありがとうございます。それでは。」

ナトはやり取りを見ながら魔理沙について行った。


白玉楼にて

白玉楼の主の西行寺幽々子は妖夢の帰りをお茶を飲みながら待っていた。

しかしそんな平和な光景は次の瞬間跡形もなく消え去った。

お茶を飲んでいる幽々子のもとに人間の団体が来た。

いやーーー脱獄囚と言った方が正しいだろう。

脱獄囚の先頭にいたひげ面のリーダー格の男の前に部下が出てきて幽々子に言った。


「何暢気に茶なんか飲んでやがる!俺らは脱獄犯だぜ?今ここから出て行って俺らに金目の物差し出せば生かしておいてやる…」

しかし強盗はそのあとの言葉を続けられなかった。

なぜなら男の首が、一瞬にしてもげてしまったからだった。


「ようこそ。白玉楼へ。あなた達の命はここで留まらせ死神に渡してきっちり地獄に行かせてあげましょう。」


しかしひげ面の男は勝ち誇ったような笑みを浮かべ幽々子に向かって言い放った。

「俺らには策があるからな。お前なんか今ここで捻り潰せるんだぜ?あえて警告してやってるんだ。」

幽々子はそれに反発するつもりでいながらも警戒した。

「一体何をするつもり?何をしようが私には意味ないけどね。」

「そう言っていられるのも今のうちだ…おい連れてこい!」

ひげ面の男のその言葉を合図に部下が連れて来たのは鬼だった。恐らく2m50cmはあるだろう。

鬼は良く召喚獣として呼ばれる左の角が折れている右鬼、右を角が折れている左鬼が連れてこられた。

他にも身長1m程度の鬼兵(一般的に餓鬼)も大量に連れてこられた。

「こいつらに勝てるかな?」

「こんな鬼に私が怖気づくとでも?」

「教えてやろう。こいつらには厚い鎧がある。お前の弾幕じゃ火力が足りない。観念しな。」

幽々子はそれを聞いた後、嬉しそうに笑い始めた。

ひげ面の男は驚いていた。

「な、何がおかしい!」

「確かに私の攻撃じゃダメージが入らないかもしれない。でも何かを忘れてはいないかしら?」

ひげ面の男は何が何だかわからないという風な表情をしながらも戸惑いを見せていた。そしてひげ面の男の感情は戸惑いから怒りに変わった。

「なめんじゃねえ!殺れ!」

その言葉と共に左鬼と右鬼の拳が幽々子に繰り出される。

幽々子はそれでも余裕の表情を崩さずひげ面の男を一点に睨んでいた。


次の瞬間、物凄い轟音と共に風圧と粉塵が巻き起こった。

「やったか…?」

しかし右鬼と左鬼の振り下ろした腕から先は消えていた。手が存在していなかった。

「なっ…!?」

「貴方達如きに能力を使うまでもないわ。」


幽々子は扇子を開き振り上げた。

そこには一枚のカードがあった。

「貴方達の『生』はここでお終い。『死』に連れて行ってあげるわ。スペル…」


ー〈桜符「反魂蝶 -五分咲-」〉ー


蝶を模した魂が無数に舞い上がる。

まるで満開の桜の様に。

それはすべてを死に誘うかのように脱獄犯や鬼に被弾していく。

粉塵が巻き起こり周りの状況が不明になる。


「…だから言ったろう。火力が足りないと。」

粉塵の中には右鬼の背後に鬼兵や脱獄犯が隠れていた。右鬼は所々が傷がついたが深い傷はないようだ。

幽々子は笑ってはいたが目は笑ってはいなかった。

「…!」

左鬼が幽々子の隙に気付き右手を振り下ろした。

またもや粉塵と地面が嘶く。


煙が晴れていく。


幽々子はその場所から少し後方の所で抱きかかえられていた。

「遅いわよ。妖夢。」

幽々子はギリギリまで余裕の表情を崩しまいと我慢していてその後気絶してしまった。妖夢はそんな幽々子に言った。

「すいません。思ったほど買い出しが長引きまして、、、。」

ひげ面の男はこんな少女が攻撃を止められないだろうと思いもう一度右鬼と左鬼で攻撃を仕掛けた。

妖夢は幽々子を抱えたままそれを素早くかわし白玉楼から出ようとした。

しかしそれを鬼兵が何体も襲ってきて妖夢にラッシュをを仕掛けた。

それも最低限の動きで避けた妖夢は後退して白玉楼の外に出ることを諦め白楼剣と楼歓剣を手に持った。


「魂魄妖夢ここに、、、いざ、参る!」


妖夢は一直線に走っていった。

右鬼が妖夢目がけ拳を振り下ろす。

それを妖夢は跳んで避け右鬼の腕を駆け上がり、顔まで一気に行き両目を斬った。右鬼が悲鳴を上げる。

そこに左鬼がまたもや拳を振り下ろすが、妖夢にすり抜けられ右足の腱を斬られた。左鬼は腱が斬られても平然としていた。

いや平然としていたのではない。

ーーー左鬼の右足はどこも斬られていなかった。少なくとも妖夢には手ごたえがあったはずだった。

「な、なんで!?今確かに手ごたえがあったはず!」

妖夢は驚きを隠せなかった。

しかし妖夢は気づいた。

なぜ斬れていないのか。

「まさかそいつは、、、厚い装甲の下にさらに装甲があるの、、、?」

「その通りだ。お嬢ちゃん。、、、そして死ね。」

妖夢が気づいたころにはすでに遅かった。

妖夢の横には黒い怪物が牙をむき出しにして妖夢を喰らおうとしている寸前だった、、、、、、。


その一時間半前、、、

魔理沙とナトは妖怪の山、中腹部の零狐の住む屋敷についていた。

魔理沙はとりあえず屋敷の中の誰かに零狐がいるか聞くことにした。

「おーい!誰かいないのかー。」

そう言って屋敷の中から出てきたのは河童だった。

「ん。何か用?」

「あぁ、こいつが零狐に会いたいそうだ。」

河童は不思議そうにナトを見て言った。

「見ない顔だね。でも来てもらって悪いんだけどさ。今出払ってるよ。」

「えー、、、どこに行くとか言ってなかったか?」

河童は少し考えこむような仕草をしていたが何も思い出せなかったようで魔理沙たちは探すしかなかった。

「とりあえず妖夢のとこ行ってお茶でも飲んでくか、、、。」

「どこにいるんだ、、、。零狐。」


同時刻、霊夢達は人里についていた。

「もう少しでつくわね。零狐、準備はいい?」

零狐は何も言葉を返さなかったが力強く頷いた。

その時だった。

霊夢と零狐は後ろから後頭部を殴られ一瞬にして気絶してしまった。

殴ったのは謎の山賊のような男だった。

「悪いがあんたらを今あの屋敷に行かせるわけにはいかないんだ。兄貴たちが今金品漁っているからな。」

霊夢と零狐はそのままどこかの廃屋に運ばれ椅子に縛られた。

二人はその廃屋で一時間半の間、気を失っていた。

「ん…。こ、此処はどこだ?おい。霊夢、起きろ!」

「え…此処何処ですか。」

「いや俺に聞かれてもな。しかも敬語になってるぞ。」

二人がそんな会話をしていると山賊の恰好をした男が寄ってきた。

「起きたか。」

零狐はその男を睨みつけ言った。

「おい。ここはどこだ。」

「なんてこともない人里の離れの廃屋さ。あんたらを白玉楼には行かせられない。兄貴たちが金品とってるからな。」

「やっぱり奴らはそこにいたんだな。」

零狐は確信した後に男に言い放った。

かなりの殺気を表に出しながら。

「縄をほどけ。さもなくばお前に雷が落ちるぜ。」

山賊のような男は嘲笑して言い返した。

「は?…こいつは傑作だ!雷の落ちる居場所なんて誰も分からないしそれに今は晴れだぜ?」

「、、、後悔するなよ。やれ。迅雷。」

その次の瞬間、落雷が廃屋の屋根に直撃した。

男は何が起きているか理解するまで一分かかった。

「おい!お前らにげ、、、」

しかし屋根の穴が空いたところから電撃で出来た矢が何本も打ち込まれた。

一瞬のうちに男と数人の部下は電撃により気絶した。

屋根から一人の男が入ってきた。

「迅雷。まず先にそいつらが完全に気絶しているか確認しろ。俺たちの縄をほどくのはそれからでいい。」

迅雷と呼ばれた男は言われた通りにしたがぶっきらぼうに答えた。

「まったく、、、脱獄囚ごときに何拉致られてやがる。俺がたまたま此処を通らなきゃ抜け出せなかったぜ?」

零狐は首を傾げ疑問に思った事を聞いた。

「お前、俺の使い魔に呼ばれたんじゃなかったのか?狐の幽霊のちっこい奴。」

「え?こいつか?」

「それだわ。もしかしてこいつの喋ってる言葉分からなかったのか?」

図星な様で少し目をそらして答えた。

「い、いやだって俺人間だし?妖怪の共通の言葉そこまで分かんねぇだよ。」

「いや確かに人間の昔の喋り方だが少しはわかるだろ、、、。」

「俺はそこまで頭良くねぇんだよ。お前と違ってな。無理な要求すんな。」

零狐は苦笑いで機嫌をなだめかしその三人で白玉楼へと走った。


そして時は戻り白玉楼にて、、、

「その通りだ。お嬢ちゃん。、、、そして死ね。」

ひげ面の男は後方の部下の後ろのほうに下がっていった。

妖夢が気づいたころにはすでに遅かった。

妖夢の横には鬼兵が牙をむき出しにして妖夢を喰らおうとしている寸前だった、、、、、、。

妖夢が覚悟して目をつむると何の痛みも感じなかった。

恐る恐る目を開けるとそこには魔理沙が箒を使って牙を防いでいた。

「大丈夫か!妖夢!私たちが来たからにはもう安心だZE!」

右側にももう一体来たがナトが蹴り、吹っ飛ばした。

「危ないな、、、。」

ナトは魔理沙にとっさに指示を出した。それは少なくともこの場を凌げる最善の策とも言えるものだった。

「魔理沙!右鬼の攻撃を俺の方へ向くようにしてくれ!左鬼はすでに俺にターゲットを合わせている!」

「そんなことしたらお前が!」

「大丈夫だ!それに、、、零狐だったらもう少しうまい策を思いつくだろうが零狐でもこれを最善だというはずだ!」

魔理沙は仕方なくナトの策を信じて右鬼の拳を振り下ろす攻撃を受けるときナトの方に移動し誘導させた。

ナトは左鬼の体をある方向に向かせるため、自分がその方向に移動して体ごと向かせるという策を使った。

そしてナトの策は発動した。

右鬼の拳は左鬼のちょうど腹部を厚い装甲ごとぶち抜いた。

「ガ、ガハッ…。ゲブッ…。」

左鬼は血を吐いて倒れ絶命した。

(よし…。あとはこいつと鬼兵だけか…。)

魔理沙は八卦炉を構え右鬼に向かってスペルカードを発動した。


《ー恋符「マスタースパーク」ー》


勢いよく極大のレーザーが放たれた。

七色の光が解き放たれ右鬼はマスタースパークに埋もれた。マスタースパークの威力により厚い装甲を突き破られ上半身が消し飛んだ。

八卦路の穴からは黒い煙が出ていた。

「残りは鬼兵と脱獄囚とそのリーダーだけか」

魔理沙がそう言って鬼兵に向き直ると次の瞬間腹を殴られ白玉楼の壁に打ち付けられていた。

魔理沙は胸骨を何本か折られてしまった。

今の、このたった一発の攻撃で。

「カハッ…くそ!ナト…逃げろ…。」

魔理沙はそれだけ言って気を失ってしまった。

鬼兵は妖夢に襲い掛かる。妖夢は刀で防ごうとするがとても一発が重くギリギリで防いでいた。

「ぐぅっ!」

「くそっ!!これでもくらぇぇ!!」

ナトは妖夢に攻撃している鬼兵の頭をつかみ地面に叩きつけた。

頭部はやはり弱点のようで鬼兵の生きている鼓動が消えた。

「はぁっ、はぁっ!あと何体いるんだ?」

ナトが数えたところ残り五体はいた。

ナトは一人じゃ倒すのは無理だと考え、かといって妖夢は攻撃を防ぎきれないため戦わせるのは危険だと判断した結果、一つの答えに辿り着いた。

ナトは妖夢を自分の後ろに隠し魔理沙の八卦炉で空に向かって魔法弾を一つ撃った。ナトのこの行動には意味があった。

「気づいてくれるといいんだがな。」

しかしナトの行動に戸惑いを見せたひげ面の男は最後の最後で本当の切り札を発動させた。

その切り札は、鬼兵の筋肉が隆々としたバージョンの「鬼兵長」だった。

それは攻撃力も防御力もそして厚い装甲もすべてが鬼兵より上回っていた。

「最後にこんな奴がいたとはな…。」

鬼兵長は目にも止まらない速さでナトに近づき左手で吹っ飛ばした。ナトは木に体を打ちつけ血を吐いたが鬼兵長の背後にまわり後ろから丁度、肩甲骨のあたりを右拳で貫こうとした。

鬼兵長は動じず振り向きナトの顔をわしづかみにして地面に叩きつけた。

ナトは目の焦点が合わないまま、妖夢が鬼兵長に立ち向かい攻撃を受けずによけながら刀で攻撃する光景を見ていた。

しかしついに、妖夢は首をつかまれ窒息しそうになっていた。

ナトは少し意識がはっきりしてきたが動こうとしても体が言うこと聞かなかった。見ていることしか、できなかったのだ。

「かはぁっ!?くるし…たす…け」

妖夢は息が出来ず朦朧とした意識の中で死にたくないという願いと助けてほしいという事で頭がいっぱいだった。

その願いはーーーーー叶った。

鬼兵長が何者かに殴り倒されたのだ。

妖夢は気づいたら鬼兵長の手から逃げられていた。

妖夢を助けたのは三人の人物だった。

霊夢、迅雷、零狐だった。

霊夢は魔理沙とナトの介抱をしており迅雷は黒い怪物に対し戦う姿勢を取り警戒していた。零狐は妖夢を襲っていた赤い怪物を殴り倒した。

「ゲホッ、はぁ…はぁ…。助かりました零狐さん。」

「礼はナトに言いな。もともとここに向かっていたんだが妖夢とかなら大丈夫だろうと思ってたかをくくっていたが、ナトの撃ったであろう魔法弾でただ事ではないと感じてな。」

零狐はそう言いながら妖夢を抱き上げた。

「あっ、大丈夫ですよ。歩けます。」

「いや一応怪我人だし、それに女の子には優しくって教わったからな。ナトに。」

妖夢は恥ずかしがりながらも気が抜けたようで気を失ってしまった。

そのまま白玉楼に運び寝かせておいた。

零狐は元の奴らがいる所に戻っていった。

「すまない迅雷。さっさとこいつら、片付けようか。」

「そうだな。」

「ウオアアアアアアァァッ!!」

雄叫びを上げながら襲いかかる鬼兵長と鬼兵達。

零狐は刀を振り抜いて鬼兵長の胴体を斬った。


水が流れるように自然な動きで攻撃をかわしつつ鬼兵を排除していく。

迅雷は雷で一体一体確実に撃ち落としている。

最後の鬼兵長が零狐に走っていく。


零狐は抜刀の姿勢に入り一言、鬼兵長に告げた。

「Finisce qui(ここで終わりだ)」

鬼兵長の身体中に剣撃が襲った。


ーーその後ーー


「やっと終わった…。」

ナトは安堵した。

ひげ面の男は再びつかまり牢屋行きとなった。

魔理沙とナトはその後目を覚まし霊夢は先に零狐の屋敷に戻るそうだ。

零狐は妖夢の傷の手当てをした後に魔理沙、妖夢、霊夢と一緒にナトの幻想入りの理由も聞くことになった。

迅雷の事も聞かれたので零狐は帰る道中、迅雷の説明をした。

「こいつはなんかもともと妖狐組にいた奴で生まれたころ捨て子だったらしい。それで俺の親が引き取ったらしいが、親はもう死んじまってな。迅雷の事をほとんど聞かされていない。」

「それは…なんていうか聞いてしまってごめんなさい。」

「いや、妖夢は謝んなくていいさ。」

「それとわざわざ、あったばかりの私に優しくしてくれてありがとうございます。」

「それじゃ俺は帰らせていただこう。じゃあな。」

風が靡き和服を揺らし髪を揺らした。

一つの動作全てが優美に見えた。

「…かっこいい。」

零狐は聞き取れなかったようで聞き返した。

「ん?なんて言った?」

「な、なんでもないです!」

そのまま零狐の屋敷につき一息ついたところでナトは話始めた。

自分がここに来た理由を。


3話に続く





はいどうも零狐です!

2話いかがでしたでしょうか!正直言ってこんなに長く小説を書いたのは初めてですごい疲れました。

完成したのが2時5分ですね。超眠いです。はい。

次回はなとの幻想入りと三人が出会った話とナトのこれからどうするかなど、ほかには零狐と妖夢のお話しも入れるかもしれません。

次回も長くなりそうだわ、、、。

それでは皆さん!3話で会いましょう!

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