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東方妖狐録  作者: 零狐
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9話 刺客と加勢

「さて、ついたけど。皆、準備は良い?」

霊夢がそこにいる全員に問いかけると聞くまでもなく覚悟はできているという表情を見せていた。霊夢もそれを見て覚悟して洞窟内部へと進んで行った。

そこで零狐も散々迷った洞窟の中を進んでいる時の事だった。彩音が何かの音を感じ取りそのままいこうとした霊夢達を引き留めた。

「...何の音?霊夢さん、お姉ちゃん!何か崩れたような音がするよ?」

「何言ってるの彩音?そんな音...」

そこまで言いかけた時、明らかに神殿のある方向だと思われる方から物凄い轟音が鳴り響き、それはまさしく彩音の言った通り、何かが崩れ落ちたかのような音に感じられた。

「零狐が何かやったのかもしれないな。早く行こうぜ。」

迅雷がそう霊夢達に促しながら先を行き音のした方へと歩いて行った。

それから案外、時間を使うことなく神殿へとたどり着いた。

しかしそれは神殿ではなく『神殿だったもの』というのが正しく像が倒れていたり、壁が壊されていたり刀で急所を刺され絶命した餓鬼の集団の姿があった。

月心姉妹はそこを少し探索して行く事を提案し、結果的にナトと月心姉妹は零狐の後を追う役割を担い、迅雷と霊夢は探索をする分担になった。

5人はそれぞれの役割を果たすため、行動し始めたのであった。


その頃、零狐は洞窟に入った後特に分かれ道もなく一本の道を進んでいた。

「この洞窟長すぎだろ...疲れた。」

少し疲れながらも体力に余裕を持ちしばらく歩いていると先程と同じような神殿に辿り着きそこには召喚士ならではの黒いローブを来た男が座って待っていた。

「あー。眠いなぁ。早く零狐とかいう奴来ないかな...あ。」

退屈そうにあくびをしている幹部であろう召喚士は零狐に気づき座っている岩から立ち上がり、零狐に話しかけ始めた。

「第二幹部の『ナト』だ!よろしく!」

その男はフードを取って言った。

零狐は驚愕した。フードを取り露わになった顔は見覚えのある顔だった。

つい最近幻想郷に来たばっかりで幻想入りする前もいつも仲良く話したりしていたあの人物だった。零狐は少し俯いた後。叫んだ。

もはやそれは獣の咆哮にも聞こえるものだった。

零狐はそいつをナトだと信じることができなかった。

少なくとも召喚士の『ナト』にはそう思えた。

「失望したか?零狐。俺はずっとお前を騙してたんだよ!お前の騙されてる姿は滑稽だったぜ(笑)それに...お前はくだらない感情に阻まれ俺を斬ることもできないだろうしな?あー...楽しかった。」

召喚士がそこまで言ったところでもう零狐の様子からして戦う気力は見ることができなかった。そうすると召喚士は零狐に近づきながら昔話をするように話を始めた。それは零狐が拾った狐の姉妹の事だった。

「そういえば俺が昨日捕まえ損ねた狐の姉妹を引き取ったんだって?ちょうどあいつらの親狐がいなかったから捕まえて売り飛ばそうかとしてたんだが意外としぶとく逃げ回りやがってな。追いかけながらナイフを召喚して斬りつけるのも楽しかったぜ中々。」

召喚士は零狐の前まで来てナイフを持ち零狐の首にあて一言。

「おもしろかったぜ。お前の絶望の表情。」

ニヤニヤと笑いながらナイフを引こうとした瞬間。

本当に一瞬の事だった。

召喚士が気づいたころには零狐により刀で腹を貫かれ、口からは血が噴き出していて驚愕していた。零狐は怒りの表情を浮かべながら何も言わずに刀を引き抜き、召喚士の背後に回り足の腱を斬った。

召喚士は痛みに耐えながらも苦痛の表情を浮かべ零狐に命乞いをした。

「俺はお前がナトに化けていることに怒っている。だから命乞いは無駄だ...俺は絶望の顔をしておけばお前が勝った気でいて油断すると思った。そして案の定お前は調子に乗り始め俺に隙を見せた。俺はこの時を待っていた。」

召喚士は涙を浮かべおびえた表情を見せた。

それが彼の最後の顔となった。


「さよならだ。」


零狐はそう言って召喚士の首を斬り、刀を収めた。

収めた瞬間に張りつめていた気が抜けて、零狐は地面に倒れこんだ。

その時だった。自分が来た洞窟から二人分の足音が聞こえてきた。

零狐は警戒して刀を手に取り戦闘態勢に入った。

そこから出てきた人物は召喚士の残りの幹部であろう二人の姿だった。

「まだ休めそうには...ないか」

零狐は一定の距離を置き二人の召喚士に向き直って刀を構えた。

零狐の体は連戦による疲労で疲れ切っており零狐の顔にもその状態が表れていた。召喚士はフードを取り名乗り始めた。


零狐はこの二人が強いことくらい雰囲気で何となくわかってはいたものの連戦はさすがにきついと思い、造園が来るのを待とうとも思ったが悠長に待ってられないと考え、戦闘態勢を解かずに構えた。


続く

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