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異世界RTA  作者: 名無しの人
レガリア地下街編
1/2

1日目(1)

皆さんはRTAという言葉は聞いたことあるだろうか?

――RTA(リアルタイムアタック)

簡単に言えばゲーム開始からクリアまでを如何に最速で行えるか競う競技である。

本来はゲームで用いられる用語であるが、今回はそれを異世界で行ってみようという訳だ。

それでは初めに今回RTAを行うレガリア地下街について少し紹介しようと思う。


――レガリア地下街

かつて地上には魔物と呼ばれる人ならざるモノ達が蔓延っていた。その数は人類を上回っていたとされ、

抵抗虚しく人類は地下に追いやられ、そこでいくつもの地下街を築き暮らしていた。

しかし、今から約二千年前に『神の遣い』と呼ばれる者たちの出現により状況が一転した。

彼らは超常の力を用いて地上の魔物達を倒していき、その数年後ついに人類は地上を魔物から取り戻したのだ。

それにより多くの人類は地下から地上へと生活の拠点を移していったが、

中にはまだ地下での生活を望むものも少なくなかった。

そんなある日のことだった、

魔物の大多数は確かに倒されたが僅かながら生存していた生き残りが集結し、

レガリア地下街へ雪崩込んだのだ。

地下街には勿論戦える者などいるはずも無く瞬く間に地下街は魔物達の住処となってしまった。


と、まあこんな感じだ。

神たちが作ったとかダンジョンが生きている訳では無いので、自動的に宝箱が生成されたり、

人工的なトラップがあったりするわけではない。

しかし、このレガリア地下街に挑む者は多い。


――それは何故か?

実は皆この地下街内の最深部にあるとされている『ある宝石』を狙っているのだ。

その宝石の名は『王石』、曰く『手に入れると王になれる資格を得る石』らしく、歴代の王も

「この石を手に入れし者を真の王とする」と公言しているくらいだ。


さて、説明も程々にしてそろそろ実際にRTAを行っていこうと思う。

測定開始タイミングは探索ギルドでギルドカードを受け取り、探索ギルドを出てからである。





   *          *

《00:00:00》


「―――と、言うことですが分かりましたか? 」


探索ギルドでギルドカードと呼ばれる物を受け取るためには所謂会員登録を行わなければならない。

そのために今こうやって探索ギルドにて説明を受けてる訳だが、

この受付嬢話が『非常に』長い。

金髪碧眼エルフという『ぼくのかんがえたかわいいひろいん』を体現している彼女であるが、

今回RTAという目的においてはその意味を為さない。


「とりあえず分かったので、続けてもらってもいいですか?分からない事あったらその都度聞きに来ますので…… 」


先ほどから同じことを壊れたテープレコーダーのように繰り返している彼女に対して続きを促してみたが、


「いいですか!貴方はこれから死と隣り合わせの世界に行こうとしているんですよ!

もう少し自覚というものをですね……!……はぁー、これだから最近の若い人は 」


そう彼女は溜息を吐きながら言う。

彼女は本当に僕の事を心配してくれているのだろうが、

その心配をするよりも早くギルドカードを配ってくれると有難いんだが。


すると、僕の思いが通じたのだろうか、彼女は


「……分かりました、それではギルドカード発行の手続きに入らせていただきます。

御存じの通り、このカードが無ければレガリア地下街には入れません。

そしてギルドカードを持つ限り貴方には年に一定の金額を納める義務が課されます。

これは我々探索ギルド維持費に使われますのでご了承ください。

最後に重ね重ね申し上げますが、地下街内において地上の法律は一切通用しませんので、

くれぐれもお気を付け下さい。

それでは此方の装置に手を乗せてください」


そう言って彼女が取り出したのは一辺が約30センチメートルの石板のようなものだった。

恐る恐る手を乗せると石板は輝き、中から一枚のカードが出現した。


「これが貴方のギルドカードとなります。全国の探索ギルドで使うことが出来ますので決して無くさないように」


彼女から渡された物を手に取ってみると、一見プラスチックのようだが実際に受け取り触ってみると

ひんやり冷たかった。

仕組みが気になったがこれ以上話が長くなるのは勘弁なので、聞かない事にした。


兎も角これで長いチュートリアルは終わり、いよいよRTAが始まるのだ。

受付嬢に礼を言いながら、立ち上がり出口の方へ向かい歩き出した。





――そして、ギルド出口をくぐり、





――《00:00:00》

止まってた時計の針が、





――《00:00:01》

静かに刻み始めた。


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