受付嬢の恋心
今回はマサムネの受付をした受付嬢視点のお話です。
少し短いかもです
私は冒険者ギルドの受付嬢をしている。毎日いろんな冒険者を見てきたがあの日に見た冒険者のことは一生忘れることができないと思う。
その日は特別なこともなく普通に始まった。いつも道理に出勤して、冒険者からの依頼を受理して、素材の鑑定をしていた。
冒険者が全員ギルドでの用事を済ませ、誰もギルドにいなくなったので、私は他の受付嬢と談笑していた。そんな時に扉が開く音がした。会話が弾んできていたところだったのに、そう思いながら扉の方を見てみると、肩に金色の凛々しい顔立ちの鳥を乗せた銀髪の狼獣人だった。狼獣人の方も顔立ちはものすごく整っていてた。
私はその人を見た時に胸が締め付けられるのを感じた。多分、恋なのだろう。
その人のことは見たことが無かったので登録に来たんだと考えた。
その考えは的中し、彼は冒険者になった。
聞くところによると、彼はマサムネと言う名で、記憶がないらしい。少し不憫に思ったが、もう一方でチャンスと思った。だって、こんなに整った顔立ちをしているのだ、恋人がいるのは確実。
だから絶対にこの人の記憶が戻る前に私は彼を手に入れようと決意した。
彼はすぐに依頼を受けたいと言った。しかもゴブリンの討伐依頼だった。
私はなぜかこの人なら大丈夫と思って送り出してしまった。
若干の後悔をした後、ギルドマスターへの報告書を書き始めた。容姿のところに私の感想が混じってしまったが書いてしまったものは仕方がないからそのまま提出した。
マスターに報告書を渡して廊下に出ると、部屋から声が聞こえてきた。私は獣人なので耳がいいので、扉一枚隔てた声も聞こえてくる。
何やら、あの種族だの、300年前に滅んだだの呟いているが私には何のことかわからなかった。
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夜になり、マサムネさんが帰ってきた。後ろに狐獣人を侍らせて。
先を越されたかと、心の中で悔しがっていると、1人の酔っ払いがマサムネさんに絡んでいた。
よく見るとその酔っ払いはBランクのクルドスで、もの凄く素行が悪く、何度もギルドに苦情が来ていたが、腕が立つのでむやみに除名させることもできず、ギルドの方でも扱いに困っていた。
つまりは、厄介者だ。
クルドスはマサムネさんの鳥を売れと言っているようだった。私にはそれは絶対にやってはならないように思えた。
そして、マサムネさんは激怒したのだろう、クルドスに侮辱の言葉をぶつけていた。当然のごとくクルドスは怒り、マサムネさんに殴り掛かった。私は見ていられなくなり、目を伏せてしまった。
ズガッシャァァーン!!
耳を殴るような音に驚いてその音がしたほうを見てしまった。そこには憤怒の表情をしたマサムネさんがいた。彼の視線の先は大きな穴の開いた壁だった。
多分彼は、殴り掛かってきたクルドスを躱し、殴りつけたのだろう。それも壁をぶち破るほどの力で。
私は彼の凄さに全身が鳥肌立つのを感じた。
私はもう、彼以外の男性に興味を示すことなんてできないだろう。
昔、私は冒険者だったことがある。だから職員を辞めて、彼と冒険者になって旅をすることもできる。もし、彼が私の恋心に気付いてくれたのなら、私は飛び勇んでその道を歩みたい。
そんなことを考えていたら彼が私のところに来た。また、私のところに来てくれたと思っていたら、彼に恐怖したのか、周りには誰もいなかった。少しがっかりしたが、普通に対応しようと思ったら声が上ずって、まるで怯えているような声を出してしまった。彼はそのまま受け取ってしまい、私が怯えていると思ったらしい。そんなこと、あるはずがないのに。
普通に対応しようと心がけた。
彼の戦果はGランクのものではなかった。ゴブリンの群れを一人で全滅させるなどDランクの冒険者が3人がかりで倒せるものなのだ。普通なら体力などの問題で無理なはずなのに。
彼は報酬を受け取ると同行者に別れを告げて出て行った。
今度はいつ来てくれるのだろう、楽しみだな♪
ゴブリンにはいくつかの組み合わせがあり、
ゴブリンリーダーを長とする群れ、ゴブリンジェネラルを長とする村、ゴブリンキングを長とする国の3つがあり、群れはDランクの冒険者3人、村はBランクが3人、
国の場合は近くのギルド総出で立ち向かうか、Sランクの冒険者が2人で討伐します。
受付嬢がヒロイン候補になるかはまだ未定です。
2日に一本のペースで上げていきたいと思います