詩小説へのはるかな道 第72話 せつないよ
原詩:せつないよ
せつないよ
あなたの笑顔を 思い出すたび
もう二度と 同じ場所には戻れないと知っているから
せつないよ
あなたへの想いが 胸の奥であふれ
それでも 声にはならずただ沈んでいくから
せつないよ
幸せだった時間が やさしく光るほど
今の孤独が いっそう濃くなるから
せつないよ
あなたと別れたこと
間違えじゃないとわかっているのに
それでも せつないよ
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詩小説: せつないよ
部屋の明かりを消すと、窓から入り込む街灯の光が床に長い四角形を描きました。
その光のふちに腰掛けて、私はスマートフォンの画面を眺めています。
画面の中では、あなたが笑っていました。
せつなさで胸の奥が震えてきます。
私たちはもう、あの日々には戻れない。
あんなに馴染んでいたはずのあなたの隣は、もう世界で一番遠い場所になってしまいました。
伝えたい言葉は、今も胸の奥で湧き出ています。
けれど、それは出口を見つけられないまま、深く沈んでいくだけ。
形にならない想いの分だけ、体が少しだけ重くなった気がしました。
不思議なものです。
あなたと過ごした幸せな時間が、思い出の中でやさしく光り輝くほど、今、一人で座っているこの部屋の孤独が、墨を流したように濃くなっていくのです。
「……わかってるよ」
私は暗闇に向かって、小さく呟きました。
あのとき、私たちは別々の道を選んだ。
それは間違いじゃなかった。
お互いが自分らしく生きるために必要な、前向きな決断だったはずです。
頭では何度も繰り返した正解。
正しいはずなのに。間違っていないのに。
それでも、やっぱり、せつないよ。
私はゆっくりと膝を抱えました。
このせつなさは、きっと私があなたを心から愛したという証なのでしょう。
夜が明けるまでもう少しだけ。
この深く濃い孤独の中で、私は私を許してあげることにしました。
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わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。
連作短歌:せつないよ
消した灯に
街灯の影 長く伸び
ひとり座りて
画面の笑みを
胸に抱きしむ
戻れない
あの日の隣 遠くなり
正しき選び
それでも胸は
せつなく震う
出口なく
沈む言葉の 重さかな
形なき想い
肩を抱きしめ
夜を耐えおり
光ればこそ
思い出の時 やさしさに
濃くなる孤独
墨を流して
闇に沈めり
「わかってる」
暗闇へ吐く 小さき声
正しき道を
選びしはずも
涙は止まず
せつなさは
愛した証 消えぬもの
夜明け前に
ひとりを許す
私の祈り
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。
その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。




