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47本目・英雄の証

トリスタンの城門をくぐった瞬間、ざわめきが街を包んだ。

光の鱗粉はまだ空に漂い、柔らかな輝きが人々の頭上に降り注いでいる。

子どもたちはその光を両手で掬おうと走り回り、大人たちは「聖竜だ……」「奇跡だ……!」と口々に呟いていた。


 ギルドの前に近づくと、入口の両脇にはずらりと冒険者や街の人々が並んでいた。

そして扉の前には、厳しい顔で知られるギルドマスター・ハインズの姿があった。


 その目に涙が光り、声は掠れていた。

「……よく、生きて戻ってくれた」


 次の瞬間、彼は堪えきれず、瞬と優衣、そしてきいを強く抱きしめた。

大きな体に包まれながら、三人は一瞬、戦いの緊張から解放されたように息を吐く。


「おかえり!」

「戻ったぞ、あいつらだ!」

「やったんだな……!」


 周囲から一斉に声が上がり、拍手と歓声が広がっていく。

仲間たち、顔見知りの冒険者、街の子どもまでもが涙や笑顔で迎えてくれた。


 ギルドの中に入ると、すぐに報告の場が設けられた。

瞬たちは、森での出来事――試練、龍との戦い、そして聖竜の復活を簡潔に伝える。

重苦しい空気が漂ったが、やがてハインズが深く頷き、皆に告げた。


「……よくやってくれた。お前たちがいたから、この街は救われたんだ」


 その言葉を合図にしたかのように、ギルドは一気に沸き立つ。

木樽が運ばれ、酒の香りが漂い、厨房からは次々と料理が並べられていった。


 ――そして、いつものように大宴会が始まる。

だが、その熱気と笑顔に包まれる夜のことは、また次の物語で語られることになる。

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