表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/59

24本目・ギルド同録のすゝめ

にゃあ……最近あたしの周りが騒がしい。

どうやら「武闘派猫」ってあだ名が、街じゅうに広まっちゃったらしい。


きのうなんて、露店で魚を買ってたら、見知らぬ人に指差されて、

「あっ、あの猫だ!」

「この前、畑のカカシ相手に剣技を披露してたやつだ!」

……って、まるで芸人みたいに扱われたにゃ。



その日の午後。

ママと一緒にギルドへ行ったら、受付嬢のお姉さんがにっこり笑って言った。

「きいちゃん、正式に冒険者として登録してみない? 今のままだと優衣さんの同行者扱いだけど、きいちゃん自身にギルドカードがあれば、単独で依頼も受けられるし、報酬ももらえるのよ」


にゃにゃっ!?

あたし、猫なのに……人間の仲間入りってこと?


「でも、きいちゃんが人の言葉を話して、魔法も使えるなら前例にしてもいいかもしれないわ。ギルドとしても記録に残る偉業よ」

お姉さんは真剣にそう言ってた。


横でママが「いいんじゃない? きいちゃんの力、正式に認めてもらえるんだし」って嬉しそうに頷く。


……でも、あたしはちょっと考えちゃったにゃ。

ギルドに登録したら、いろんな冒険に駆り出されるかもしれない。

ママと一緒に行けるならまだいいけど、パパの畑番もあるし……。


「にゃー……あたしは、ママのそばにいたいだけなんだにゃ。

でも、登録してもママの隣にいられるなら……考えてもいいかもにゃ」


そう言ったら、ママはにっこり笑ってあたしを抱き上げた。

「大丈夫。どこに行っても一緒だから」



そのやり取りを聞いていた周りの冒険者たちが口々に囁く。

「おい、猫がギルド登録するってよ」

「新しい伝説の始まりだな」

「“鍬神の瞬”と“ワイバーン女傑優衣”に続いて、今度は“猫”かよ!」


あたしは耳をぴくぴく動かして、思わずため息。

「にゃあ……。だからその呼び方、もうちょっと工夫してほしいにゃ……」



その夜。

ママの膝の上で眠りながら、あたしは思った。

――冒険者登録なんて肩書きより、やっぱり“ママの猫”でいられるのが一番幸せにゃ。


でも……まあ、カードくらいなら作ってもいいかもね。

だって、そのほうがもっとママの役に立てるんだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ