[7]20:00
食事が一段落して、のんびり過ごす時間。
今回は由莉奈の想いを綴ってみたわ。
ずっと…ずっと気になっていたの、あなたの事。
ひと月前ぐらいかしら? 春になり、川のほとりに桜が咲き誇り、やがて鮮やかな緑に変わる頃…どこからともなく私の目の前に現れたあなた。
最初はすれ違いざまに会釈しただけだった。
当たり前のようにその一瞬は過去に変わり、何事もなかったように歩き去り、その後ろ姿を目で追う事すらなかった。
次の週末も、同じ場所で出会ったわ。
そして、同じように会釈して別れた。
でも、その次の日、あなたの表情は違った。
本当の事言うとね、私、またあなたに出会えるのかな? なんて考えながら、あの道を歩いていたの。
その笑顔。
クリンとして、意外と可愛い目をしてるのね。
初めて会った日、すぐにそう思った。
挨拶した。
初めて声が聴けた。
あなたのその声、ボーイソプラノって言うのかしら? 男性にしたら高くて澄んだ声。
今口ずさんでいる歌は、何ていう曲名?
とっても上手だわ。
声を、声をもっと聴かせて。
黒い羽のように揺れるアウトドアジャケットの下の、濃い黄色のTシャツ。
ちょっと見ないファッションセンスだけど、あなたが纏っていると、不思議とお洒落に見えるの。なぜ?
大阪?
嘘でしょ? そんな街の喧騒の中で生き抜いている人のようには見えないわ。
あなたはとてもピュア。
都会人とは違うわよね? 私、分かるの。
私から?
いいえ、そんなの無理よ。
だって、こんな顔してるし性格も暗いし、自信なんて1ミリもないもの。
でもあなたがもっと私に近付いてくれるのなら、全てを受け止めるつもりよ。
だから、だから…
読んでいただき、ありがとうございます♪
これが恋心ね。
由莉奈の思い描く成史の人物像が見えたでしょ?
想いは届くのかしら。