[5]18:00
野外活動。
夜と言えば、やっぱり食事ですよね!
野外メシ、上手く出来るかしら?
「時間は大丈夫?」
「ええ。私、一人暮らしなの」
「そうなんだ」
成史は目を輝かせた。
「今日は君に…ゆっぴに会えて良かった。ホント、ラッキーだよ」
由莉奈の体温が上昇する。
―もしかして、それって?
「肉、買い過ぎちゃって…ははは…カルビ買ったらタンも欲しくなって、挙句にミスジステーキ。ほら、凄いだろ? たくさん食べてね!」
―ソコぉ!?
「あ、はい。お言葉に甘えて…」
―いっぱい甘えておくれ。君と一緒に食べたかったんだから。
成史はグリルに炭火を起こし、焼き網を置いた。そしてそのまま、焚火の上には飯盒を吊した。
「ご飯も食べるよね?」
「はい!」
「ご飯好きなの?」
「ええ。焼肉って言ったらご飯でしょ?」
「「ワンバーーン!!」」
何だか盛り上がってきた。
このまま他の部分まで盛り上がりたい。
他の部分? 何だそれは?
飯盒がグツグツと音を立てて、沸騰した湯が溢れ出す。
「ナリ、これ…」
「お!」
「ど、どうすれば?」
「弱火にするんだ。この革手袋はめて」
「はい」
「三脚の上のチェーンを持って、留めてあるピンを抜いて」
「はい」
「チェーンを引っ張り上げて…もうちょっと…うん、それぐらい」
「弱火って…」
「焚火の火力調節なんて難しいから、飯盒を火から遠ざけるんだよ」
「そうなのね! 凄ぉ〜い! なるほどぉ〜!!」
キャンプしてる…そんな気分になる。いや、これはまさしくキャンプだ。
「水気が無くなったら、火から下ろして飯盒を逆さにして10分ぐらい蒸らすんだよ」
そう言うと成史は、庭の周囲を歩き、何かを拾い集める。
また何か面白い事始めるのだろうか? そんな期待感が、由莉奈の大きな胸をさらに膨らます。
―大きな? 余計なお世話よっ! え? 誰に言ってんだ? 私。
「ナリ、それは?」
「ドングリだよ。ほら、周りの木、ドングリ林なんだ。秋に落ちるんだけど、そのまま放ったらかしだからいっぱい落ちてる」
「何するの?」
「まぁ見てて」と言って成史は、物置から持ってきた金属の箱を開けると、どんぐりを敷き詰めた。
初めて見るものばかり。由莉奈は目を丸くした。
「そこにチーズがあるから、適当な大きさに切って」
成史は由莉奈にフォールディングナイフを渡した。
これも初めて見るものだ。少々扱いに手間取る。自宅で使う包丁とは勝手が違う。
「痛っ!」
刃先が指に触れてしまった。慌てて成史が由莉奈の手を握った。
「………」
「………」
「き、切れてないから…大丈夫」
―バカ! 何言ってんの、私。
「そ、そうか、良かった…」
安心した成史は、そっと手を離した。
―やだ。手、離さないでよぉ。
読んでいただき、ありがとうございます♪
バカバカッ!! んもうっ! 成史ったらぁ!!
お肉買い過ぎたから由莉奈を誘ったんじゃなくて、由莉奈を誘いたいからお肉沢山買ったんでしょっ!
ソレちゃんと言わなきゃ…
次はちゃんと言えるかな?