[4]17:00
日の入り時刻が近付いてくると、やっぱり不安…
だって、野外で夜を過ごすなんて初めてだもの。
―素敵な家。
そうは言えども、折角遊びに来たというのに、成史は由莉奈を家に入れようとしない。
夕刻となり、自分はまだここにいても良いのか不安になる。しかし、成史はまだ和かな表情そのままに、物置きと思しき小さな建物から色々道具を運び出す。
「あの…」
「はい」
「こんな時間なんですけど…」
「え? そうか。でも、夜も一緒にって」
―違うの! そうじゃなくて。
どうやら部屋で過ごす気など更々ないようだ。
しかし、見てみたい衝動は抑えられなくなった。
「あ、お、お手洗い…中に入ってもいいですか?」
「あぁ、ごめん。そうだね。玄関入ってすぐ左。ドアに書いてあるから、すぐに分かるよ」
―ああん、もうっ! それじゃ案内してもらうまでもないじゃんっ!!
恐る恐るノブを握る。よく手入れされていると思しきドアを開けてみる。
チリン―。
「ドアを開けて左」
『TOILET』
―ホントに書いてあるじゃん。分からないなんて嘘もつけないよ。そうだ!
トイレのドアを前にして、由莉奈は閃いた。本当にちょっとした閃き。
時間かけても、デリケートなことは誰も何も言えないはず…。
これで時間を稼いで内緒でチラリと覗かせてもらおうと思った。
リビングルーム、キッチン、ロフト。
―えっ?
何も無い。
サイフォンをはじめ、キッチンウェアが少々置かれているものの、リビングにはお粗末なテーブルが置かれているだけでソファも無い。
ロフトを見上げてみるが、恐らくベッドも無いのだろう。きっと、アウトドア用のマットレスと寝袋で寝泊まりしてるんだ。
―そっか。別荘だもんね。天気のいい週末に来て、庭でアウトドアライフしてるんだ。
予想外の光景。長居は無用とばかりに庭へ戻ると、成史はランタンを準備していた。
「電池じゃないの?」
「うん。これはホワイトガソリンだよ」
「私、やってみていい?」
「ああ。ここから燃料を入れるんだ。今、入れちゃったから…」
そう言いながら成史は、何やら棒状の物を引っ張り出した。
「ポンピングって言うんだけど、これをシュコシュコして燃料タンクに空気圧をかけるんだ」
「へぇ〜」と興味深そうに覗き込む由莉奈。成史と体同士が触れそうだ。
さっきのアクシデントで触れたその時とは別の、今までで一番近い距離かもしれない。
成史は由莉奈の顔を見ようとした。その時、ふと胸元の膨らみが目に入った。
ドキッとした。その色気に、全身電気が走る感覚を覚える。
―もう少しこのままランタンの説明をすれば…寄り添っていれば、心の距離も近付くのか?
ハッと我に返り、成史は仰け反った。
「どうしたの?」
「え? ま、まぁ…」
―このバカ野郎! これだけ距離が詰まったというのにっ!
―んもうっ! 何で離れるのよっ!
2人は顔を見合わせると、互いに顔を赤らめて笑った。
読んでいただき、ありがとうございます♪
ログハウスの中を探検なんて、由莉奈って心は凄く積極的なんですね。
だったら勢いで突っ走ってみれば? なんて思うんだけど…
次、頑張れっ♡