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第97話:学院祭ときどきイビルパニック14


 アイスはホテルで朝食を取っていた。


 レイヴと一緒に。


「くあ……」


 アイスが欠伸をする。


「またアイスは……」


 レイヴの銀色の瞳は半眼だ。


「せっかく私と朝食取っているのに」


「特に意識することか?」


「別にそこまでは要求しないけど……興味を持たれないのもそれはそれでどうなの?」


「精進しろ」


「本当に敬意の欠片も無いね」


「別に枢機卿辞めてもいいぞ?」


 アイスの本音だった。


「駄目」


 とレイヴ。


「何ゆえ?」


 とアイス。


「禁術は監視されるべきだから」


「ライトに任せてりゃ良いだろ」


「それはそうだけど……」


「だいたいだな」


 コーヒーを飲む。


「お前が居る時点で俺は横暴に禁術が使えないんだよ」


「ふふん。ひれ伏しなさい?」


「殺してぇ……」


 毎度毎度のやりとりだった。


 だが気兼ねしなくて良い相手というのはアイスにとってもレイヴにとっても希少だ。


 そういう意味では息ぴったりである。


「かっか」


 と鬼一が笑う。


 当然思念で。


 というかアイスとレイヴの会話のほとんどは鬼一を介した思念チャットである。


「きさんらはほんに」


「ていうか基準世界が準拠世界を観測するって卑怯じゃない」


「まぁそう言わんでくれ」


 皮肉気に笑う鬼一であった。


「アイスは思うところはないの?」


「師匠には世話になってるしな」


 コーヒーを飲みながらアイス。


「ところで教皇嬢ちゃん」


 とは鬼一。


「教皇猊下の賞は決まったのかや?」


「ま、一応ね」


 サクッとレイヴが答える。


「あまり催し物を見て回っていないのにか?」


「見て回ったわよ」


「ふむ」


 とアイス。


「で、何にしたんだ?」


「武闘大会の優勝者に祝福を授けるよ?」


「おい」


 突っ込まざるを得ない。


「完全に俺狙いだろうが」


「そう言ってるでしょ」


 鬼一が笑う。


「なるほどなるほど」


 さもおかしいとばかりに。


「師匠も同レベルか」


「不本意じゃの」


「そう言われるのも不本意だけど?」


「カラカラ」


「アハハハ」


 互いに間合いを計る鬼一とレイヴだった。


「朝から止めろよ」


 アイスはうんざりと言う。


「きさんに言えた義理か」


「そうだけどな」


 そこは否定しない。


 というか出来ない。


 更にする気もない。


 こと不遜は師弟の共通項目だ。


「私はこれでも教皇だよ?」


「スタートゲイザーだしな」


 皮肉のスパイスは辛すぎた。


「仮に俺が負けたらどうするつもりだ?」


「ファッションショーを賞に選ぶ」


「お前は俺を好きすぎだ」


「好きよ?」


「枢機卿としてな」


「アイスは乙女心を学ぶべき」


「面倒」


 切り捨てる。


「リリィには?」


「可愛いな」


「私の方が可愛いよ?」


「自惚れてろ」


「酷い」


「なら自分と結婚すればいいだろ」


「出来るわけないじゃん」


「ちょちょいと世界を弄れよ」


「責任を放棄するわけにもいかないよぅ」


「なら行かず後家になるんだな」


「いっそのことアイン卿の素性をバラそうか?」


「だから出来ねーつってるだろ」


 そのためにアイスが居るのだから。


「でもさぁ」


 レイヴはレイヴで思うところが有るらしい。


 アインにしろ鬼一にしろ、


「知ったこっちゃない」


 が本音だが。


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