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第95話:学院祭ときどきイビルパニック12


「ふへへ~」


 レイヴは御機嫌だった。


 その理由はいかんなく了承はしても、納得までは一光年からの距離があり、アインにとっては……さてどうなるや。


「アインの筋肉~」


 アインとレイヴは入浴していた。


 レイヴはアインの鍛え抜かれた体にツイーと指をはわせる。


「変態」


「アインが言う?」


「俺は健全だ」


「愛人囲ってるくせに」


「俺の本意じゃねえよ」


 その通りではあるのだ。


「もう子作りはしたの?」


「するか」


「変なところで禁欲的だね」


「この年で親ってのもな」


「禁術の才能を持つ子が生まれたら安泰なんだけど」


「魔術の才能を持つ子が生まれた方が角が立たんだろ」


「私と子作りする?」


「貧乳に興味は無い」


「差別はいけないよ宗教人」


「堕落もいけないな宗教人」


「ふふふ」


「ははは」


 バチッと火花が散った。


「俗物」


「褒め言葉」


 これが教皇と枢機卿というのだから救い難い。


「しっかし」


 チャプン。


「ケイオス派の動向のその後は?」


「知らないよ」


「お前は気楽だな」


「無敵だし」


「ほんにな」


 そこに否定の余地は無かった。


「ところで明日は学院祭の最終日でしょ?」


「だな」


「優勝してね」


「善処する」


 別段付き合う義理もないが存外当人も楽しんでいる節があった。


「アインは強いからなぁ」


「俺なんてまだまだだ」


「これを本気で言うからね……」


 レイヴは呆れたようだった。


 数少ない教皇猊下の懐刀。


 代行師。


 審問官すら凌駕する神威の代行。


 アインはその一角だ。


 魔族にとっての死神。


 そういう立場であることは否定のしようがなかった。


「だから好きよ?」


「そうですかー」


「アインは淡泊すぎ」


「別段そうでもないがな」


「不能」


「恐縮だ」


「ふっふっふ」


「はっはっは」


 二人とも目は笑ってなかった。


「一緒に寝ようね?」


「それ以上はしないぞ」


「それ以上があるの?」


「これだもんなぁ」


「アインが淡泊すぎるだけだよ」


「不本意だ」


 一応健全な男の子ではある。


 単にしがらみを嫌っているだけで。


「リリィに手を出さないのは?」


「面倒だから」


 他に理由は無い。


 経済的……あるいは道徳的に……まさに倫理的な問題で面倒ごとの最上級ともアインには断言できた。


「可愛いと思わないの?」


「抜群に可愛いと思ってるが?」


「何だかなぁ」


「何が言いたい?」


「業が深いなって」


「お前にだけは言われたくない」


「ふっふっふ」


「はっはっは」


 やはり目は笑ってなかった。


「じゃあせめて前戯くらいはしようよ」


「他をあたれ」


「だから好きよ?」


「でっか」


 アインは平常運転だ。


「さて、あがるぞ」


 そう言ってアインは立ち上がった。


「一緒に寝ようね?」


「添い寝という意味でならな」


「腕枕してね?」


「ご期待に沿いましょう」


「やっぱりアインだなぁ」


「どういう意味だ」


「こっちの話」


 レイヴは唇に人差し指を立ててウィンクした。


 そして二人は風呂を上がると一つのベッドで一緒に寝た。


 闇の胎動は始まっていたが、


「天より他に知る者も無し」


 そうであるため人である二人には察しろという方が無茶である。


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