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第92話:学院祭ときどきイビルパニック09


「アイン様」


 アインはリリィと合流する。


 リリィは、アインを見て少し安心するようにはにかんだあと、並列して少し怪訝な表情を見せる。


「いったいアイン様はどちらに?」


「仕事」


「仕事……ですか」


「そ」


 そしてコロシアムに向かって歩き出す。


「いつもの修練は……」


「まぁやっちゃいるがな」


「それにしても学院に居ながら仕事というのも……」


 それなりに心配はしているらしい。


 ありがたく思うアインだった。


「まぁとある娘のお守りだから」


「恋人さんですか?」


「頭が痛くなるから止めてくれ」


「あ、はい」


 一応覚ってはくれたらしい。


「あの……」


「どうした?」


「言えないことがあるのはしょうがないと思います」


「それについては申し訳ねぇ」


「いえ、アイン様は軽率なことをしませんから」


「そりゃ過大評価だ」


 鬼一、大爆笑。


「ですけど危ないことはして欲しくないです」


「頭の隅に置いておこう」


 実際はアイン以上にレイヴがトラブルメーカーなのだが。


「背筋が凍るな」


「然りじゃな」


 アインと鬼一は適確に事実を認識していた。


 心配させて彼我が得することもないためリリィには黙っているのだが。


 コロシアムに着く。


 十六人から八人を選別する予選だ。


「これはこれで危ないことだよな」


 アインはそう言う。


「勧めたことを後悔しています」


「お前が気にするこっちゃない」


 金髪を撫でる。


「けれどまたケイオス派が現れたら……」


「その時はその時だ」


 臨機応変に。


 まさかレジデントコーピングについて説明するわけにもいかず、


「お前が気負ってもしょうがない」


 とふにゃふにゃした言葉になってしまうのだが。


「ま、勝っても負けても不利益は生じんさ」


「であれば良いのですが」


「…………」


 また金髪を撫でる


「あの……」


 赤面。


 プシューと湯立つリリィ。


「何でしょう?」


「すまんな」


「何がでしょう?」


「お前に心配ばかりかけてる」


「いえ、信じております故」


「いい女だなお前」


「……恐縮です」


 さらに赤くなるリリィだった。


 控え室に入って順番を待つ。


「教皇猊下も見に来られているのですよね……」


「ああ、緊張するな」


「嘘つけ」


 最後のは鬼一の音声。


「鬼一様もそう思いますか?」


「嬢ちゃんもじゃろ?」


「なんだその結託は?」


 アインはジト目。


「元より凡人では相手になるまい」


「一応選別された選手なんだがな……」


 六十四人から選ばれた十六人である。


「まぁの」


 ソレについての否定は鬼一もしない。


 が、


「きさんも大したもんじゃぞ?」


「師匠に言われてもな……」


「ま、頑張れ」


「結局精神論に行き着くんだよなぁ」


 他に作戦があるかと言えば否ではあるが。


 アインは控え室で柔軟体操をしていた。


 特に念を入れる事柄でもないが、


「ちと状況がややこしい」


 ため自身に活を入れる。


 元々が無精であるため気負いするほどでも無くはある。


「ところでお仕事で留守にするのはいつまででしょうか?」


「学院祭の間だけだ」


「ですか」


 ホッとしたような残念なような、複雑な光がリリィの瞳に宿る。


「デートはしたろ?」


「はい」


「こう言っちゃ悪いがソレで満足しとくれ」


「はい」


「うん。いい子」


 ポンポンと優しく頭を叩く。


「ふえ……」


 ポーッとするリリィだった。


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