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第50話:祭のアレコレ05


「あむ」


「むぐむぐ」


 今日はアインの希望で学院街の店で夕餉となった。


 寿司屋である。


 アインの好物。


 新鮮な魚は魔術を用いなければならず、必然学院での寿司は値段が高騰する。


 学院生には関係の無い案件だが。


「しかし勿体ないの」


 鬼一が思念で語りかけてきた。


 畳にあぐらをかいて座っている必然、帯刀できないのでテーブルに立てかけている。


「何がだ?」


 アインは、


「心底分からない」


 という。


「ファッションショーの件じゃ」


「師匠は見たいのか?」


「きさんは面白い素材じゃ」


「…………」


 嫌そうに表情を歪めてしまうアインだった。


 そこに、


「興味深い案件ではありますね」


 リリィも参戦してきた。


 ウニを頬張る。


「俺が女装ね……」


 いまいち実感のわかない話ではある。


 男の矜持もここに含まれる。


「アイン様はお綺麗ですから」


「自覚は無いがなぁ」


 鯛を頬張る。


「実際に言い寄られてたじゃろ」


「…………」


 それを云われれば返す言葉も無い。


 あまり思い出したくない案件ではあるが。


「嬢ちゃんはファッションショーでも映えるじゃろな」


「私よりアイン様の方が……」


「かか!」


 大笑する鬼一であった。


「俺をそっちの道に誘うな」


「ファンが増えるぞ?」


「要らねえよ」


 むしろデメリットと言える。


 アインは魔術を使えない。


 魔術の才能がこれっぽっちも無い。


 その上で禁術の才能を獲得している。


 そうである以上、注目を集めるのは、


「良し」


 とは言えないのだ。


 そんなことを承知で鬼一は、


「ファッションショーに出ろ」


 と云ってくる。


「何を考えているのか想像も付かない」


 がアインの見解だが、


「何も考えていない」


 が、この際の正解だ。


「面白ければそれで良し」


 鬼一の信条は全くブレないのであった。


 赤身を頬張る。


「師匠はソレで良いのか?」


「何か問題が?」


 コレを素で言うのである。


「いっそ折ってしまおうか?」


 そんなことさえ思い詰めてみせるアインだった。


「勘弁じゃ」


 鬼一は両手を挙げて降参。


 元よりインテリジェンスソードであるため挙げる両手も無いものだが。


「アイン様」


 と思念では無く声でリリィがアインを呼ぶ。


「何でがしょ?」


 えんがわを食べながらアイン。


「せっかくのお祭りなんですから楽しみませんか?」


「と、言われてもなぁ……」


 ガリを噛みながらアインは困惑する。


「一応楽しむ気ではいるぞ?」


「思い出を作りたいです」


「じゃあデートするか」


「デート!?」


 リリィは心底驚愕した。


「あう~……」


 プシューと茹だる。


「アイン様にはもっと素敵な御令嬢が相応しいと思うのですけど……」


「人を持ち上げて自分が謙遜するのはどうかね?」


「?」


 クネリ。


 首を傾げるリリィ。


「何度も言うがお前は魅力的だ」


「私なんて……」


「謙遜はこの際嫌味だぞ」


「あう……」


 プシュー。


 頭の天辺から湯気を噴き出すリリィ。


「アイン様は意地悪です」


「正当な報復だ」


 イクラをアグリ。


「アインは恵まれておるの」


 鬼一が、


「面白い」


 と言った。


 そんなこんなで寿司を堪能する二人だった。


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