表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/242

第41話:その者、禁忌の代行師07


「やったねアイン!」


 アンネは心の底から嬉しそうだ。


 アインを抱きしめて猫かわいがり。


「可愛いなぁ可愛いなぁ」


 クシャクシャとアインの黒髪を撫でる。


「アインがアンチウィンドを使うとはな」


 シャウトも感嘆していた。


「私のためにありがと!」


 猫かわいがり。


 アンネは本気で感謝しているらしい。


 アインの義理ではないが。


「別段そんなつもりじゃねえよ」


 アインは不遜に言う。


「でもそれなら負けても良いわけでしょ?」


「貴族の家名に傷を付けるのもなんでな」


 皮肉はアインの十八番だ。


「可愛い!」


 アンネはアインを可愛がるのだった。


「不名誉だ」


 アインはアンネを引きはがす。


「ああん。アイン」


「とりあえず露払いはした」


 アインは言う。


 決然たる事実だ。


「後はお前の問題だろ?」


「私はアインが好き!」


 愛を叫ぶアンネに、


「知ったこっちゃない」


 残酷なアイン。


 偽悪者になるのは慣れている。


「アイン?」


 アンネはアインの耳元で、


「――っ」


 ボソッと何かを呟いた。


「まぁお前がそうしろというならそうするがな」


 アインは応える。


 嘆息。


「約束だよ?」


「ああ、約束だ」


 そして二人は別れた。


 時は過ぎる。


「結局」


 とリリィ。


「アンネ様は何の用だったんですか?」


「この後俺に伝えたいことが在るとよ」


 風呂の時間。


 アインは湯船に浸かってそう言う。


 実質その通りだ。


 場所はとある決闘場。


 そこで愛の告白をする。


 それがアンネの希望だ。


「アイン様はどうするつもりで?」


「まぁ断らざるを得ないだろうな」


「恋する乙女を?」


「ソレについては俺の管轄じゃねえし」


「アインらしいのう」


 鬼一が笑った。


「不義理……とは思わないんですか?」


「他人を気にしてこの浮世を生きられるかよ」


 肩をすくめるアイン。


 彼の中ではそれが真理で、異論はあっても聞き入れるだけの度量が彼の方には存在しない。


「アイン様は……」


「リリィが好きだ」


「あう……」


 火照るリリィ。


 湯船のソレではない。


「とりあえず盛大にフるさ」


 しっかとそういうアインだった。


「アンネ様が救われません」


「元から興味が無かったのはお前をしてその通りだろ?」


「そ~ですけど~」


 リリィは不満らしかった。


 そして夜が来る。


 アインは多数有る決闘場の一つに来ていた。


 客はいない。


 深夜。


 草木も眠る丑三つ時。


 アインは鬼一を腰に差して決闘場を訪れていた。


 決着を付けるために。


「あ、アイン」


 アンネがアインを捉える。


 アンネに呼び出された場所。


 それがこの決闘場だった。


 とはいえ戦うわけではない。


 アンネは気安くアインの射程に入ると、


「大好き」


 そう言った。


「俺はそうでもないがな」


 アインは平常通りといった様子だ。


「そんなアインだから私は好き」


「モテる男は大変だな」


 アインは苦笑する。


「私と付き合って」


「無理」


 即決。


 故に説得の余地もない。


「そう言うと思った」


 クスクスと笑ってアンネが言葉を伝えると、そのままアインを抱きしめる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ