表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
240/242

第240話:幕裏からの狂奔の魔笛17


「じゃんじゃん食べてね」


 レイヴが気さくにそう言った。


 アイスとしては頭が痛い。


 剣聖枢機卿。


 その威力を見せつけたも同然だ。


 表彰式は苦痛でしかなく、周りの期待は重荷でしかなかった。


 レイヴは喜んでいたが、これはいつものこと。


 それからレストランでアイスとレイヴ、ソフとカーリルが祝勝会をしていたのだが、もちろん思うところは様々で。


 無念。


「凄まじいですねアイン殿は」


「…………」


 優勝者が準優勝者の言葉でピタリと止まる。


「某にも自負はあったのですが剣聖がこれほどとは……」


「何でバレてる?」


「剣筋が同一でしたので」


「だよなぁ」


 その辺は想定内だ。


「もっと腕を磨かねば」


「これ以上強くなる気か」


 サラダを食べながらアイス。


「お兄ちゃんが言う?」


 とはソフ。


「ですです」


 カーリルも同意見らしい。


「アイス卿も大概有り得ないしね」


 嬉しくない。


 ジト目でヒロインたちを見やる。


「とりあえずは一段落だな」


 肉をアグリ。


「リリィも心配してるよ」


「だぁなぁ」


 咀嚼。


 嚥下。


 そして爆発音が轟いた。


 それも大型の。


「…………」


 紅茶を飲むアイス。


 一段落……のはずだったのだが。


 巨大な爆発音がさらに二度ほど後を追う。


「何人死んだか?」


 それは数えるしかない。


「報告します」


 赤い髪と瞳の教徒がレストランに顔を出した。


 ライトだ。


「裏は取れましたか?」


「取れましたが……それよりも……!」


「さっきの花火?」


 キョトンとソフが問う。


「いえ、その、爆発、です」


「ケイオス派かな?」


「子細はわかりませんが」


「でしょうね」


 涼やかにアイスは述べた。


「いや、こちらの不手際です。アイス卿には迷惑を掛けます」


 カーリルがそんな言葉を紡いだ。


「…………」


 アイスには因果の意図が見えていた。


「ランスロットか?」


「然りですな」


 円卓の魔王。


 その一翼。


 狂奔のランスロットがこの場に降臨した。


 正確にはカーリルを代弁者に選んだのだが。


「お前の仕業か?」


「半分ほどは」


「迷惑をって言ってたな」


「です」


 特に気後れも無いらしい。


「まぁ結果オーライなんですけど」


 あっはっはーとランスロットは笑った。


「で? どゆこと?」


 レイヴが尋ねると、


「――――」


 とりあえずの成り行きをランスロットは話した。


「はあ」


「さすが魔王」


「だね!」


 三人揃って感心する。


 言っている内容は吟味に値するが、


「何かね?」


 アイスは、


「お前らは人に迷惑を掛けずに存在できんのか?」


 尤もな質問。


「アイス卿は知っているはずでしょう?」


「…………」


 苦虫を……な顔になるアイス。


「で、どうしろと?」


 視線をレイヴに振る。


「無力化してください」


「だろうよ」


「ソフ様も」


「だろうね」


 こと今回に限りソフの異能は有効だ。


「がんばってねー」


 食事を続けながら気楽にレイヴ。


「滅殺したいですね」


「無理だろ」


「難問です」


 理屈自体は簡単なのだが。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ