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第227話:幕裏からの狂奔の魔笛04


 本戦一日目が終わる。


「そっちはどうよ?」


 鬼一を通した思念チャット。


 相手はソフだ。


「一生分働いた感じだよ」


 疲労の乗った返答。


 実際に、


「死んだ」


「殺した」


 を無かったことにする聖術師だ。


 有益であることを鑑みて尚、当人には、


「いらん苦労」


 と取れたろう。


「ブルーブルの干渉は?」


「今のところ無いんだよ」


「あの手の早い企業がねぇ」


 いまいちソフの安全に確信が持てないアイン。


「帰ってこない?」


 これはソフ。


「仕事があるから」


 これはアイン。


 一応レイヴの護衛役だ。


「全く以て必要ない」


 とアインは思っているし、事実その通りではあるのだが、


「給料の内」


 とも言う。


「心配してるよ」


「誰が何を?」


「リリィがアインを」


 一応暇を出して行方を眩ませたが、リリィにしてみれば不安材料ではあろう。


「なんとか取り繕って」


 他に言い様が無い。


 アイン……並びにアイスとしては建前としてレイヴの傍に居なければならないわけで。


 今がアインであるのは人目の無いホテルのスイートルームであるからだ。


 閑話休題。


「それにしてもご苦労さんだねぇ」


 アインが苦笑する。


「一応実行委員として給料も出はするけどにゃ……」


 ボランティアでは無いらしい。


「だいたい人を殺して栄光だって発想が……」


「主の御心に反しますな」


 屈託無く言ってのけるアイン。


「お兄ちゃんは大丈夫?」


「今のところ血は流してないよ」


 事実だ。


 自身にしろ相手にしろ。


「平和主義もよりけりだね」


「基本的に力の誇示は面倒の範疇だから」


 むしろソレを使わねば解決できない出来事が頻出することにこそ……アインは罵りたくなる。


 頭の頭痛が痛い。


 そんな感想だ。


「お兄ちゃんは禁術を使わないの?」


「一応守秘義務がありますので」


 ホケッと言う。


 本人はそういうが、実のところそこまで深刻には捉えていない。


 アインが禁術を使ったところで、それを魔術と誤解させることは簡単だ。


 問題は、


「第二第三の師匠が居る可能性」


 に偏る。


 要するに空間を見て事象を把握する輩の存在がアインの禁術を掣肘する。


「そんな輩がそうそう居てたまるか」


 はアインにしろ鬼一にしろソフにしろ通念だが、


「一人も居ない」


 とは断言できない。


 悪魔の証明。


「結局教皇猊下は如何に?」


「呼んだ?」


 思念チャットに割り込むレイヴ。


 鬼一の機転だ。


「はわわっ!」


 さすがに恐縮するらしい。


「まぁ礼節に則れば噛まないから安心しろ」


 皮肉のスパイスを振りまくアインに、


「そういう表現はどうかなぁ」


 ムスッとするレイヴ。


「猊下は私をどうしたいんだよ?」


「とりあえず頑張って」


 何を?


 アインとソフの心中の疑問。


「ソフのおかげで死傷者が出ないから助かってる」


「光栄ですだよ」


 あまり建設的ではない返答だった。


「実際には死傷者が出て、それをソフがフォローしている」


 が正しいのだが、此処では論じない。


「ソフは良い子だね」


「恐縮だよ」


「ブルーブルとはどうナシ付けるんだ?」


「それについては追々」


「言い渋る要素があるのか?」


「プレゼンも必要だからね」


「プレゼン?」


「そ」


 ほにゃっと笑うレイヴ。


 一応同じホテルの同室同士。


「何を考えているのか?」


 それが分かれば勝ったも同然なのだが。


 世の中は上手く出来ている。


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