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第221話:国家共有武闘会11


「命の魔術師!」


「ソフ様がいらっしゃった!」


 そんな情報が国家共有魔術学院に津波として覆った。


 アイスの予選では死者が出なかったが、他の予選会場はそうでもなかったらしい。


 結果死者を蘇生させることでソフの居場所はバレた。


 ブルーブルが何を策謀しているかは存ぜぬが、


「まぁだよなぁ」


 がアイスの意見。


「どちらにせよ時間の問題だったろうしのう」


 とは鬼一の談。


 アンデッドの被害。


 辻斬りの箝口令。


 ブルーブルが掴んでいないはずもなく、


「だぁな」


 アイスとしても、その辺は諦めている。


「で? ソフはどうするんだ?」


 とりあえず片っ端から死傷者を回復させた立役者にアイスは問う。


「どうしよう?」


「教皇猊下としては巻き込みたい一心だろうが」


 事実だ。


 そうでもなければソフを利用しようとは思わないだろう。


 ある意味で、


「レイヴの意図に絡め取られる」


 が正しいが、


「バックアップでもある」


 も否定できないところ。


「どうしたもんかねぇ」


 ちなみにソフはアイスがアインのペルソナだと知っている。




『魔王殺し』




 そんな二人であるのだから。


「ま、武闘会終了までは手を出せんだろうな」


 それは事実。


 それ以降をレイヴが想定しているか?


 あまり期待は出来ないが。


「お兄ちゃんはどう思う?」


「優しい聖術だ」


「にゃは」


 すり寄ってくるソフをアイスは優しく抱きしめた。


「リリィには言うなよ?」


「うん!」


 返事は立派だった。


「お兄ちゃんも予選突破したんでしょ?」


「まぁなぁ」


 遠い目。


 あまり誇れることでもない。


「さすが」


 というか攻撃がそもそも通じないのだが。


「嬢ちゃんの働きも立派なもんじゃ」


 鬼一の褒めそやしに、


「それしか出来ないから」


 苦笑い。


「俺よりお前の方が立派だな」


 蒼い髪を撫でるアイスだった。


「にゃは」


 艶やかに笑う。


 こう云うときの乙女は至極可愛い。


「で」


「で?」


「六十四人は揃ったのか?」


「そのはずだけど」


「師匠?」


「じゃの」


 そこら辺は理解しているらしい。


 アイスが呆けているだけだ。


「辻斬りさんはどうなったかね?」


「はて?」


 鬼一もそこまでは把握していない。


 単純に能率の問題で。


「辻斬りさん……」


 憂うソフ。


「まぁあの実力ならあまり心配も出来ないけど……」


「じゃの」


 鬼一をしてそこまで言わせるのだから業が深い。


「ソフ様!」


 医務室に一人の青年が顔を出した。


 グラサン。


 スーツ。


 ネクタイ。


 革靴。


 どこから見ても、


「サラリーマン」


 と呼べる人種。


「ブルーブルか?」


 アイスが問う。


「ええ、猊下」


 頷くサラリーマン。


「ソフ様! こんな所に!」


「あーっと……」


 困ったようなソフの言。


「戻る気は無いから」


「そんなっ!」


 悲痛な声。


 哀惜の彩色だ。


「とりあえずはまぁ」


 和刀を向けるアイス。


「話し合いましょ」


 威力交渉とも言う。


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