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第220話:国家共有武闘会10


 矢が襲う。


 それらを鬼一が打ち払う。


 が、その剣速が余りに疾すぎて視覚で捉えられない。


 結果、


「魔術か?」


 そんな結論にもなる。


 ぶれるようにかき消える剣。


 そして軌道が逸れる矢。


 その二つをイコールで結ぶには弓手は常識に足を囚われていた。


 仕方ないと言えばその通りだが、どちらかといえば異常極まるのはアイスの方で、弓主には未熟以外に責める箇所がない。


「褒められた技術でも無いけどね」


 とは思念でのアイスで、


「ま、このくらいはしてもらわないとの」


 が思念での鬼一。


 ともあれ弓手に向かって歩き出す。


 残るはアイスを除いて五人。


 内四人は弓手とアイスの戦いを見守る腹らしい。


「っ」


 矢をつがえて射る。


 軌道が逸れる。


 射る。


 逸れる。


 射る。


 逸れる。


 気付けば剣の間合い。


 腰に差した片手剣が抜き放たれる。


 そのまま逆袈裟。


 鬼一が出鼻を押さえた。


 加速しなければ剣は鉄の塊だ。


 そして木刀で喉をつく。


「……っ!」


 悶絶する弓手。


「申し訳ないが」


 その顎を木刀で打ち据える。


「眠っていてください」


 その通りに気絶する


「さて」


 残るは四人。


「何処からでもどうぞ」


 アイスは朗らかに笑った。


 残る戦士は剣士が二人と槍手と戟の使い手。


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


 四人はアイスを包囲する。


 東西南北。


「そう来ますか」


 とは言うが気負いは無い。


 特に戦術にも届かない。


 視線で会話して襲いかかる戦士たち。


 まず真っ先に槍と戟。


 刺突。


 薙ぎ。


 一呼吸で打ち払う。


 神速の剣は常識では捉えられない。


 剣士二人が左右から襲ってくる。


「ふむ」


 思考。


 というより反射に近い。


 あらゆるケースを想定して最適解を一瞬で導き出す思考の瞬発力。


 何も禁術や剣術だけがアイスの強さの証明では無い。


 状況の把握。


 戦術の合理化。


 それらもアイスをして、


「無敵」


 と言わせる要素だ。


 左の剣士の斬撃を鬼一で受け止める。


 ついで右の剣士の斬撃に木刀を絡ませる。


 合気。


 木刀は剣士の手から剣を奪った。


 空高く放られる。


「?」


 意味不明だ。


 そう表情で表現する剣士の顎を木刀で打つ。


 次の瞬間、


「っ」


 残る三人の戦士の視界からアイスが消えた。


 歩法。


 特別なことはしていない。


 縮地の二歩手前。


 単純に身を移しただけだ。


 包囲から抜け出すように。


「よ」


 トンと背後に回った戟の使い手の首筋を打つ。


 意識が飛ぶ。


 残るは剣士と槍手。


「化け物……!」


 驚愕に打ち震える戦士たち。


 まぁ事実。


「不名誉ですねぇ」


 アイスは苦笑。


 決着に然程の時間は要らなかった。


「おやすみなさいませ」


 木刀が振るわれる。


「夢の中ではご活躍を」


 気絶する戦士たち。


「期待しております」


 そうしてアイスは予選を勝ち抜いた。


 スタンディングオベーションがコロシアムを包んだ。


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