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第218話:国家共有武闘会08


「で、こうなるわけね」


 アイスは溜め息を吐いた。


 武闘会予選。


 集まったつわものは六百名に及ぶ。


 そこから六十四名を選出し、本戦に入ると相成る。


「さて」


 そんなわけで七人から十人程度をコロシアムに集めて乱戦を行ない、最後に立っていた人間が本戦に行けるとのこと。


 一応実力差と武闘会のキャンペーンを考えて、優勝候補はバラバラの予選会場で戦うことになっている。


 冒険者や傭兵にも名だたる人間はいるし、学院関係者や宮廷魔術師は時に常識から遊離した実力の持ち主もいる。


 乱戦。


 混戦。


 コロシアム形式であるため、距離と実力差はモロに出る。


 アイスは良くも悪くも目立っていた。


 剣聖。


 枢機卿。


 そして二刀流。


 一応アインがアイスに化けるためには鬼一が必要だが、鬼一は和刀。


 真剣だ。


 無論、斬れば血が流れる。


 とりあえず死者蘇生の能力を持つソフがバックに控えているため、最悪の事態には陥らないが、それとこれとは話が別。


 であるため左手に握った鬼一法眼と右手に握った木刀の二刀流だ。


 コロシアムに揃っているのは十人。


 戦士から魔術師まで多彩にいる。


「貧乏くじだなぁ」


 何時ものことだが。


 観客の興奮も最高潮。


 参加者はアドレナリン過多。


 鐘が鳴った。


 予選の開始だ。


「――ファイヤーボール――」


 炎弾がアイスを襲う。


 一番の障害がアイスだというのは他の参加者の共感するところ。


 だからとて警戒するにも意識が届いていない。


「…………」


 スッと鬼一を振るう。


 炎弾は霧散した。


 アンチマテリアル。


 鬼一の魔術だ。


 更に二度、三度と魔術が撃たれる。


 切り払われた。


 今度は戦士が間合いを詰めてくる。


 手には剣。


 当然真剣だ。


 鍛えられた肉体から生みだされる剛剣。


 アイスは易々と鬼一で受け止めた。


 上段からの大振りを、十字にする形で、だ。


「――っ?」


 華麗なる美少女。


 流水を思わせる白い髪。


 美少女に該当する目見麗しい枢機卿。


 そんな儚い少女がマッスルの剛剣を片腕で受け止めたのだから、


「何をかいわんや」


 と云った具合だろう。


 無論アイスは、


「知ったこっちゃない」


 との感想。


 そして逆の手に持つ木刀で鳩尾を突く。


「――――」


 呼気の逆流。


「ぜひ」


 呼吸困難に陥る戦士。


 その側頭部を蹴り飛ばす。


 同時に魔術が襲ってきた。


 二つ。


 炎弾。


 氷弾。


 鬼一のアンチマテリアルで切り払う。


 戦士を蹴飛ばしたのは魔術の効果から遠ざけるためだ。


 呆れたことに魔術師は戦士もろともアイスを吹っ飛ばす気でいたのだ。


 あまり推奨できない戦術。


「有効じゃの」


 とは鬼一の思念。


「まぁ勝てば官軍だよなぁ」


 アイスも思念でそう答える。


 何せ神王皇帝四ヶ国がスポンサーの武闘会だ。


 成績をおさめれば王属騎士や宮廷魔術師への出世もありうる。


 その辺の蜜はどちらかといえばレイヴが散布した物だが。


 そしてアイスは歩き出す。


 魔術師の方だ。


 他の戦士や傭兵は襲ってこなかった。


 自身らがアイスと戦っているときに纏めて吹っ飛ばされれば、


「世話が無い」


 で完結する話だからだ。


 そうであればアイスが魔術師を排除してからが、ある種の予選本番となる。


「来るな!」


 魔術師が魔術を放つ。


「さて」


 アイスが切り払う。


「どうしたものでしょう?」


「局中法度も大変じゃの」


「ですよねー」


 アイスとしては、


「中々の茶番だ」


 そんな感想。


 別に鬼一がおらずともアイスに傷を付けられる人間はいないのだが。


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