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第204話:物騒な巷11


「猊下!」


「……なんだよ」


 朝っぱらに叩き起こされた。


 学院でアインを猊下と呼ぶのはライトだけで、それも公言できない以上、鬼一を通した思念会話だ。


 畢竟、テレパシーが頭にズドンと叩きつけられる。


 アインの朝は早いが、こと面倒事は忌避するタチ。


「で、どうした?」


「辻斬りです」


「ケイオス派か?」


「さあ?」


「ソフ様のお恵みを承りたいのですけど……」


「そう言うよな」


 死者蘇生はソフの十八番。


 で、その奇蹟の偉人は、


「お兄ちゃん……」


 夢の中で幸せそうだった。


 ちなみに同衾している。


 エッチなことはしていないが、抱きつかれているのも事実。


「ちょりゃ」


 チョップ。


 叩き起こす。


「何か?」


 目を擦りながら不満げなソフ。


「お前の出番だ」


「死者でも出たの?」


「然りだな」


「その辺は嬢ちゃんの利便性じゃろの」


 鬼一も似通った意見。


「いいけどさ」


 にゃむ、と欠伸。


「おはようございます。アイン様。ソフ様」


 リリィもまた起きていた。


「何か飲まれますか?」


 良いお嫁さんになれる言葉だ。


「とりあえず出かけてくる」


「どちらへ?」


「禁則事項だ」


「はあ?」


 よくわかっていないようだ。


 説明しないアインも悪いが、この場合はどうしようもない。


「とりあえず朝食作って待っててくれ。飲み物はアイスティーが良い」


「承りました」


 中略。


「わお」


 ソフが遺体を見て感動した。


「なんだかなぁ」


 アインは何とも言い難い。


 殺されているのは中年。


 制服を着ていた。


 警察の。


「どう思う?」


「見回りの最中にバッサリ?」


「他に無し……か」


「ええと」


 ソフがキョロキョロ。


 ライトが人払いをして、アインと鬼一が結界を張る。


「大丈夫じゃぞ」


 との鬼一の言を信用して、


「にゃふ」


 ソフは死体を生き返らせた。


「あ……う……」


 肺が振動して呼吸を執り行う。


 心臓が動き、血がめぐる。


 脳も十全の修復され、


「えーと?」


 死んだ警察官は息を吹き返した。


「乙」


 ポンポンと肩を叩く。


「小官は……」


「覚えてないか?」


「ええと」


 困惑しているらしい。


 ライトが代わりを申し出た。


 質疑応答。


 死んでから蘇生までの記憶に欠落が見られる。


 一応生き返りはしたが、


「はて?」


 と言った様子。


「特別責められることでもない」


 それは事実。


「見事な手際じゃな」


 鬼一にしてみればそんな感想らしい。


 既に修復も終わっているため斬撃の痕はないが、


「見るに極まっている」


 との鬼一の言葉はあまりに無視できないアインだ。


 とりあえず敵うのはアインだけで、その点を汲めば、


「いつか相対する」


 も予想の範疇。


「どうしたものか?」


 いっそう夜の見回りが必要になる。


 こと警察があてに出来なければ、教会が出向くしかない。


 ソフのフォローも必要だろう。


 被害者の警官はライトにあれやこれやと質問されて、困惑しながら答えている。


 が、


「あまり事件解決には繋がりそうもない」


 アインはそんなアンサー。


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