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第200話:物騒な巷07


 付き添ったライトは事情を慮れる。










『死者蘇生』














 そんなソフの能力。


 であるため、箝口令を敷いて封殺する。


 それからアインとソフは一応の手順を終えて……それから気分によって食堂に入った。


 サウス王国の文化だ。


 アインはアジフライ定食。


 ソフは唐揚げ定食。


「結局殺人鬼がいるって事?」


「だろうな」


「お兄ちゃん的には?」


「あまり遭遇したくない」


 生き返っている被害者の死に様はインプットしている。


 その切断面の鮮やかさは鬼一ですら認めるところだ。


「お兄ちゃんも大変だね」


「お前が言うな」


 まこともってその通り。


 アジフライをサクッと食べる。


「アンデッドに辻斬りか」


「魔族もじゃな」


「そうだった」


 容赦ない鬼一の指摘。


 苦虫を、なアイン。


「排除すれば良いんだよね?」


「殺人はゲッシュだ」


 アインの不器用さはここに極まる。


「お兄ちゃんが追い詰めれば後は私がどうにかするよ?」


「殺人禁止」


「にゃあごう」


「で、どうする気じゃ?」


「夜の学院街警備に徹するほかあるまい」


「お師匠さんはどうにか出来ないの?」


「さほど万能でもないじゃ」


 謙遜。


「だね」


 ソフも同意。


 唐揚げサクサク。


「なんか学院が魔境になってないか?」


「お兄ちゃん……」


「何だ?」


「お兄ちゃんのせい」


「…………」


 反論はしたかったが、効果的な言葉が浮かんでこなかった。


「わはは」


 鬼一が笑う。


「師匠」


「事実じゃろ?」


 立て掛けていた和刀を蹴飛ばす。


「暴力反対」


「じゃかあしい」


 いつものやりとり。


「後は」


「私の仕事だね」


 アンデッドに辻斬りに魔族。


「揃いも揃ったり」


 そんな印象。


「苦労だにゃ」


「こっちの台詞だ」


 アインとしては譲れないらしい。


「魔王殺しよりは楽かもだけど」


「かか!」


 大笑する鬼一。


「煽るな」


 再度テーブルに立て掛ける。


 アジフライをサクリ。


「が嬢ちゃんが有用なのは確かじゃろ?」


「だな」


 そこはその通り。


「とはいえ学院街は広いしなぁ」


 神王皇帝四ヶ国の中心に設置された魔術都市。


 国では無いが、戦力の保有に関しては四ヶ国より図抜けている。


 政治的発言力も高く、その領土では国家より強い。


 あくまで現状だが。


 結果として領土の広さがそのまま疑似国家となっているのも確か。


 市場の流動性も希に見る。


 そこを、


「アイン一人でカバーしろ」


 は難題としてすら成立していない。


「無茶言うな」


 が結論だ。


「アイデア募集」


「死んだ人間を片端から蘇らせるとか?」


 ソフの意見は対処療法だ。


 被害者が加害者の証左になるならそれは効率の良さで警察すら上回る。


 が、


「ブルーブルが何考えてるかが怖いな」


 そっちの方面の心配もある。


「むぅ」


 とソフ。


 自分でも分かってはいるのだ。


 死者蘇生。


 それが政治的にどういう意味を持つのか。


 あるいは社会的に。


 世論として。


 経済として。


 だからアインの元に転がり込んだのだが。


「にゃあよう」


 他に言い様も無いらしい。


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