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第199話:物騒な巷06


 リリィが学院に向かうのと並行して、アインとソフも学院街に出向くことになった。


 場所はライトに指示されたため問題も無く辿り着く。


 血だまりがあり、そこに布を被せられている死体が一つ。


「ワオ!」


 とはソフ。


「アイン様」


 赤髪赤眼の美少女……審問官ライトがアインを様付けで呼んだ。


 さすがに人目のある場所で、


「猊下」


 とは呼べないため、妥協の発露なのだろう。


「ライト様?」


 警官がライトを呼ぶ。


 唯一神教の審問官は警察より上位にある。


「こちらは?」


「ちょっとした知り合いです」


 他に言い様もない。


「失礼」


 アインは現場を見て、


「布をとっても?」


 警察に尋ねる。


「一般人が関与することは――」


「こちらからも御願いします」


 ライトがそう封じた。


「ではその通りに」


「恐縮だ」


 警官に一礼してアインは布を取る。


 血臭は今更だ


 血に濡れた布を取ると死体が見えた。


 肩からバッサリ。


「ほう」


 アインの感想は感嘆だった。


「じゃの」


 鬼一も同じ感想だ。


 無論思念会話だが。


「並々ならぬな」


 鬼一をしてそう言わしめる。


 それほど鮮やかな切断だったのだ。


「どう思う師匠?」


「辻斬りじゃろうが……ここまでとなるとちょっと見んの」


「同感だ」


 アインとしても今回の犯行人の剣筋については疑えない。


「ライト」


 これも思念会話。


「何でしょう猊下?」


「警察を解散させてくれ」


「その通りに」


 そしてライトは教会の威光を楯に警察を解散させた。


 審問官には逆らえないサラリーマンの都合。


「どうするのでしょう?」


「ソフ」


「なぁにお兄ちゃん?」


「生き返らせろ」


「にゃ」


 ソフは斬殺死体に触れると治癒してのけた。


「…………」


 有り難みもへったくれもない。


 特に何がどうのでもなく、


「斬殺死体を修復する」


 という荒技を敢行するソフ。


 アインには今更だが、ライトはまだ慣れていない。


 ソフの根幹については聞いているし認識もしているが、


「何度見ても慣れませんね」


 と唖然とする。


 肉体を健全に修復された被疑者は、


「アレ?」


 と現実を認識する。


「おはよ」


 アインの挨拶に、


「はあ?」


 ついていけない被害者。


「さて」


 見据える。


「記憶は確かか?」


「ええと……自分は……」


 色々と考えて、その記憶の断絶については何も察せられないらしい。


「あれ?」


 首を傾げる。


「夜じゃ無かったっけ?」


「だよなぁ」


 蒼穹を仰ぎ見るアイン。


「最後の記憶を思い出せ」


「一人で酒を飲んでた」


 朧気な記憶をスコップする。


「誰かに襲われなかったか?」


「ん……?」


 記憶にないらしい。


「さいか」


 嘆息。


 ソフの能力を使えば死者から情報を引き出せる。


 が、今回に関しては徒労らしい。


 アインはそう覚る。


「とりあえず」


 被害者の頭上にチョップ。


「食人鬼注意報が発令されてるから夜の無頼はほどほどにな」


「はあ?」


 自身が殺されたことには気付いていないらしい。


「酒を飲んで酔っ払って寝こけ、気付いたら朝になっていた」


 それが被害者にとっての事実だった。


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