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第195話:物騒な巷02


「ソフ様に関して……ですか?」


「ああ」


 教会。


 アインは椅子に座って鬼一を立て掛け、ライトと思念で会話していた。


 リリィは熱心に祈っている。


「ブルーブルの状況把握は教会でも出来るだろ?」


「そうはいいますが……」


 ちょっかいをかけるにはリスキー。


「だよなぁ」


 曲がりなりにも大企業。


 信仰とは別の意味で火中の栗だ。


「別に放っておいても害はないんだが……」


「お兄ちゃん。失礼」


 ムッとするソフ。


 アインはスルー。


「猊下としては?」


「一応保護の名目で養ってはいるが」


「だよ」


 うんうんとソフは頷いた。


「教皇猊下にお頼りになるのは?」


「あー……」


 考えてなかったわけでは無いが、


「あまり借りを作りたくもないな」


 は紛う事なき本音だ。


「とすると……」


「対処療法じゃな」


 身も蓋もない。


 元より鬼一は持ち合わせていないが。


「場所自体はバレていると思われます」


 ライトは言った。


「なんで?」


 ソフが返すと、


「アンデッドが学院に来たことがニアリーイコールでソフ様の居場所を伝えるでしょう」


「そうなると……」


「なにかしらの工作が行なわれるはずじゃな」


「にゃごう……」


 業の深いことだった。


「信仰の道に於いては保護も一つの手ではありますが」


「その場合は少し不利かもな」


 商人ギルドもブルーブルの傘下だ。


「そもそもソフ様のご意向は?」


「お兄ちゃんと一緒に居たい!」


「光栄だ」


 嘆息。


「ではその通りに」


「じゃの」


 そこで話が終わればよかったのだが、


「ライト様!」


 信徒の一人がライトの名を呼んだ。


 当然普通の音声会話だ。


「どうかなされたので?」


「ケイオス派です!」


「まあ」


 驚いたような表情。


 とはいえ覚悟の総量を超えることは無いが。


「すぐに参ります」


 チラリとアインとソフに視線を振る。


「まぁそうなるよな」


 アインは立て掛けていた鬼一を腰に差して立ち上がる。


 ソフもそれに倣った。


「アイン様……ソフ様……」


 物憂げなリリィの金髪を撫でる。


「先に寮に戻ってろ。後から追いつく」


 そして三人は学院街へと顔を出す。


「――――」


 吠える狂人。


 狂える魔術。


 炎の魔術が街を襲っていた。


 警備隊が取り押さえていたが、余韻は残る。


「猊下……」


 鬼一を通して思念会話。


「へぇへ」


 アインは禁術を行使する。


 燃えていた市場や建物が一瞬で鎮火する。


 こういう時は禁術の方が便利ではあった。


 意識を失ったケイオス派をどうするか?


 基本的に封印刑だが、


「どれ……」


 ソフが進み出る。


 そっと手をケイオス派に添えると魔法の行使。


「よし」


 そんな感じ。


「?」


 警備隊には意味不明だろう。


 アインと鬼一……それからライトはわかっていたが。


「よかったのか?」


「駄目だけど見捨てるのも忍びなくて」


「完全にブルーブルに目をつけられるんだよなぁ」


 困るはずは無いのだが、面倒事に諸手を挙げる気にもならない。


「ま、いいじゃん」


「いいか」


「いいじゃろ」


「師匠はな」


 基本的に業を愛でる。


 鬼一の根本だ。


「院外理事は誰だっけか?」


「ズエール様ですね」


「其奴にこの一件、耳に入らないように」


「留意します」


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