表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/242

第191話:アイン・ソフ18


「…………」


 早朝。


 眼を覚ますとアインは自身に抱きついているソフを発見した。


 無論、気付いてなかったわけではない。


 が、別に、


「暑苦しい」


 程度の害しか無いため、放っておいたのだ。


「うにゃー」


 寝苦しい。


 寝顔で語るソフだった。


 引きはがして寝室を出る。


「おはようだ師匠」


「はい。おはようさん」


「ライトからの伝言は?」


「ないの」


 サクリと。


「場合によってはぶっちゃけるのもアリか?」


「どうじゃろの」


 師弟揃って、


「う~む」


 と悩む。


 アンデッド。


 ある意味でソフに近い位置取りの能力者だ。


 完全性で言えばそれこそソフの足下にも及ばないが、一般人にすれば差異はあまり無い。


「というより」


 嘆息。


「人を襲う分、ソフより乱暴だよな」


「じゃな」


 それが共通見解だった。


「封印刑にする気かや?」


「どうだろな」


 特に考えてもいない。


「俺に害がなければ好きにしろ」


 言葉にはしないが、


「落とし処なら妥当じゃな」


 思念会話でのぶっちゃけに鬼一は苦笑色の声で答えた。


「問題になればレイヴからも催促はあるだろうし」


「であれば審問官の仕事か」


「そゆこと」


 疲労の返事。


「あ、おはようございますアイン様」


 既に起きているリリィが柔らかな笑顔を作る。


「おはよ」


 その金髪を撫でる。


「訓練前にお茶はどうでしょう?」


「ありがたく」


 そして二人は茶をしばく。


 香り高い。


 渋みもない。


 絶妙に程よい刺激が舌を楽しませる。


「如何でしょうか」


「率直に美味い」


「恐縮です」


 えへへ。


 そうはにかむリリィは控えめに言って愛らしい乙女だった。


「幸せじゃの」


 と鬼一。


「ありがたい限りだな」


 とアイン。


「何がでしょう?」


 リリィは不明らしい。


「なんでもにゃ」


 金髪を弄る。


「今朝も訓練をなさるので?」


「日課だしな」


「決闘を控えていらっしゃるのに……」


「あー……そういえばそんなことも言ってたな」


 茶を飲む。


 失念にも程がある。


「アインらしい」


 はその通りだが。


「大丈夫ですか?」


「気負ってもしゃーない」


 まこともって、


「その通り」


 とアインは重荷に思っていなかった。


「アイン様が負けたらあの貴族に……」


「それはない」


「そうなんですか?」


「勝敗とは関係なく御家の事情でな」


「ご当主様の……」


 違う。


 とは言えなかった。


 が、殊更細やかな説明を労する場面でもない。


「それより俺が負ける可能性を想定していたのか?」


「えと、その、魔術をお使いになるならと」


「わはは」


 呵々大笑する鬼一。


 立て掛けていたテーブルから蹴り飛ばす。


「暴力反対」


「じゃかあしい」


 いつものやり取りだ。


「ま、何とでもなるからな」


 不遜。


 自負。


 あるいは器が大きいのか小さいのか。


「応援しております」


 心配しながらリリィが応じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ