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第189話:アイン・ソフ16


「決闘……ですか」


 時間は夕刻。


 買い物帰り。


 アインとリリィとソフは教会に来ていた。


 アインとソフは礼拝せずに椅子に座っただけ。


 信仰心厚いリリィが神に祈った。


 その上で鬼一をネットワークに思念会話。


 アインとソフと教会の使徒であるライトのあいだでだけ共有されるテレパシーの会話である。


「なんか流れでそんな感じに」


「モテる男は辛いにゃ」


 クスクスとソフが笑う。


「一人の女性を賭けて決闘ですか」


「さほど騎士道は理解が無いがな」


「ですよね」


 その辺りは長い付き合いだからライトも知っている。


「猊下は本気で?」


「まさか」


 椅子に立て掛けている鬼一の柄頭をチョンチョンと叩く。


「禁術は」


「場合によるな」


「あまり望ましくはありませんね」


「一応個人的な怨恨に巻き込まれただけだからな」


 そうは言うが、


「面倒くさい」


 も確かにアインの心境だった。


「リリィ様は信仰に厚いお人なので失うのは痛いかと」


「そういう基準では行動しない物で」


 いつも通り。


 平常運転。


「にゃは」


 ソフが笑った。


「お兄ちゃんらしい」


 その通りではある。


「でも負けるとリリィが悲惨だにゃ」


「それなんだよなぁ」


「一応魔術も使えるのですよね?」


「基本的には」


 そうでなければ学院生にはなれない。


「にゃあ」


 ソフが鳴く。


「魔術の方はどうなの?」


「からっきし」


 事実だ。


 そもそも剣術と禁術で二足のわらじであるのに、


「魔術を加えると」


 との苦言にも意味はある。


「で、そっちはどうだ?」


「教会ですか?」


「アンデッド」


「特に……ですね」


 まぁ実際にその通りではあろう。


 あまりアインも当てにはしていない。


「アンデッドじゃしの」


 鬼一の思念。


 大体ソレで決着がつく。


「どういうことですか?」


「教えてやんない」


 アインとしてはあまり消費したくない存在だ。


 アンデッド。


 人の脳を喰らう怪物。


 その有用性は計り知れない。


 無論ソレは、


「だからといって犠牲者を加味しない」


 と云うわけでも無い。


 もっと穏便に、


「ブルーブルに回収されれば」


 に終始する。


「無理は百も承知」


 だが、


「アンデッドのレゾンデートルの希少さ」


 を勘案すればアインとて無条件に滅ぼすのは遠慮する。


 無論、


「殺人が局中法度」


 も此処に加わるが。


「どうしたものかね本当に」


「どっちが?」


「どっちもだ」


「お兄ちゃんなら大丈夫にゃ」


「何を根拠に……」


「唯一私を殺しうる人材だにゃ?」


「けどさぁ」


「ソフ様は猊下と距離を取らないんですか?」


「然程でもないにゃ」


 アインがどうのより、


「私はお兄ちゃん好きだし」


 それが根源。


「お前が良いなら良いんだけどな」


 嘆息。


 鬼一がやはり呵々大笑していた。


「それでこそ小生の弟子」


「師匠は黙ってろい」


「小生ありきできさんもある」


「そりゃそうだが……」


「であればどんな困難も立て板に水!」


「その表現はどうだろう?」


 アインは気疲れ。


「南無阿弥陀仏」


「死後の世界には否定的じゃなかったか?」


 他に言いようのないアインだった。


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