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第187話:アイン・ソフ14


「結局捕捉したのか?」


 アインは部下の審問官……ライトに確認を取る。


「それが全く」


 昨夜もまた死体が出た。


 死者が出たことは報じられたが、その遺体の状況は秘密裏だ。


 アインは鬼一を通してライトに聞く。


 そして予想通りの答えが返ってきた。


「脳を抉り取られた死体」


 アンデッドが人を襲う上で必要な過程。


「じゃの」


 鬼一も、


「得心がいった」


 と納得している。


 基本的にアンデッドについては基準世界の鬼一が最も良く理解している。


「こちらにも存在するのは業腹じゃがな」


 とも言っていた。


 とはいえ口で否定して存在が否定できるなら世界は既に終わっている。


「悩ましいの」


「駆除するべきか」


 見逃したのはアインの良心だが、


「それが原因で死体が出た」


 も一側面。


 駆除するのが難しいわけでもない。


 アンデッドは死なないが、無力化程度なら幾らでも出来る。


「ふむ……」


「一応全力で捜査はしていますが……」


 ライトの思念は苦々しげだ。


「警察は」


「動いてます」


「共同か?」


「連携ではありますね」


「さいか」


 とはいえ警察の手に負える怪物でもない。


 審問官ならまだやり様もあるだろうが、アンデッドの蘇生能力を加味するとすれば中々に、


「さて如何な?」


 との結論も必然だ。


「美味いなぁ」


 これは思念では無く言葉。


 講義の合間の昼休み。


 学食で食事をしているアインとリリィとソフ。


 鬼一はテーブルに立て掛けられている。


 アインはオムライスを食べていた。


「確認しますけど……」


 とはライト。


 遠く教会からの思念会話。


「赤色の髪と瞳の美少女なんですよね?」


「俺が知る限りな」


 それが情報としての価値を持たないのはアインもライトも知っている。


「猊下では対処できないので?」


「難しい」


 アンデッドは一種の、


「人間を止めた」


 人様の総称だ。


 とはいえ起源が人間であるため、


「殺人の罪に抵触してしまう」


 が困難だった。


 代行師や審問官は唯一神の威力代行として動くため、どうしても、


「正義の体現」


 でしか事を起こせない。


 禁術で滅すれば話は早いが、


「なんだかなぁ」


 がアインの結論。


 そも枢機卿ともなればレイヴの能力の範囲内に収まってしまうため、


「色々と面倒」


 嘆息の一つもする。


「とまれ」


 ネガティブを振り払う。


「アンデッドはそっちでどうにかしてくれ」


「猊下は?」


「夜のランニング程度なら見回りしてやるよ」


 というか他に出来る事が無いのだが。


「期待しております」


「プレッシャー……」


「その様なお心は持ち合わせおりませんでしょう?」


「皮肉か」


 オムライスをはぐり。


「教皇猊下は?」


「だんまり」


 というより鬼一が連絡をしていない。


 特に重く受け止めてもいないようだ。


 それはアインにも言える。


「ソフ様は?」


「むしろ心情的にはアンデッド側じゃないか?」


「何ゆえ?」


「同僚らしい」


 聞いた限りでは、だが。


「動きがあったら教えてくれ」


「アイサー」


 そして思念会話が打ち切られる。


「とはいえ」


 オムライスをはぐり。


「どしたものか?」


「何が?」


「お前だよ」


 アインは隣に座るソフのほっぺたをビヨンと伸ばした。


 無論摘まんで。


「いひゃい!」


「痛いようにしてるからな」


 だいたい二人はそんな感じ。


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