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第184話:アイン・ソフ11


 そんなわけで、なにがどうしてこうなったのか……ソフはアインとリリィの寮部屋で匿うことになった。


「にゃはぁ」


 ソフはベッドでゴロゴロしている。


「お兄ちゃんの匂いだぁ……」


 変態だった。


 アインには今更だが。


「良いのでしょうか?」


 特別、


「悪い人間」


 とはソフを捉えられないが、


「寮に匿う是非について」


 は斟酌もする。


「いいんじゃね?」


 がアインの言。


 突き放したような物言いだが、これは肝要さではない。


 むしろ、


「目の届く場所に居られた方が対処しやすい」


 というだけだ。


 アインとソフの関係は少し長いが、それだけに、


「ソフが如何な人物か」


 その結論は出ている。


 南無三。


「両手に花じゃの」


「羨ましいか?」


「あまり世俗に興味は無くての」


「師匠はそうだろうな」


 意識は持っているが和刀である。


 インテリジェンスソード。


 性欲とは無縁だろう。


 アインも誰彼抱くわけでは無いが。


「お食事はどうしましょう?」


「任せる」


「ソフ様のお好みは?」


「雑食だ」


 そういう問題でもなかろうが。


「いつも通りで構わんぞ」


「承りました」


 頷いてキッチンに消えていく。


 アインがダイニングで茶を飲んでいると、


「素敵な愛人だにゃ」


 ソフがからかう様に言ってきた。


「俺には過ぎた女性だ」


「お兄ちゃんよりいい男ってあんまり見ないけど」


「恐悦至極」


「抱いた?」


「うんにゃ」


「前から思ってたんだけどその辺お兄ちゃんはストイックだにゃ」


「病気も怖いし」


「…………」


 ソレについては何も答えず、


「お師匠さん?」


 立て掛けられてる鬼一をソフは呼ぶ。


「あいあい?」


「チャット」


「あいあい」


 アインと鬼一とソフが繋がる。


「アインの禁術なら性病も関係ないでしょ?」


「建前上な」


「建前って言うか事実だにゃ」


「俺が禁術を公式に使えないのは知っておろうが」


「にゃあよう」


「何が不満なんだ?」


「別にバレてもよくない?」


「よくない」


 アインは一種のアナイアレイションシンドロームだ。


 状況次第ではどういう結果を出すか。


 アインにすら分からない。


 この際のバタフライエフェクトは嵐で済めば御の字だ。


「そのために教皇猊下がいるんじゃにゃいにゃ?」


「そうだがなぁ……」


 その点は確かに間違っていない。


 レイヴの能力は特殊だ。


 アインの禁術ですらどうにも出来ない。


「どうにかしたい」


 とも思わないが。


「リリィには話してるの?」


「話すわけないだろ」


 そもそもが魔術師でないのだ。


 禁術。


 引き算の魔法。


 使えば使うほど世界が目減りする神秘。


 そんなものを公にすれば非難囂々だ。


 リリィの口の戸は信用に足るが、


「万が一」


 は自然な思考。


「お兄ちゃんは面倒くさいにゃ」


「…………」


 茶をしばきながらアインはジト目でソフを見る。


「お前が言うな」


 まこともってその通り。


 アインにしろソフにしろ、その能力の根幹は、


「常識の埒外」


 とレイヴに言わしめる物だ。


 全てを無に還すアイン。


 死者すら蘇生するソフ。


「どう扱えと?」


 しれば誰もがそう思うだろう。


 アインもソフも知ったこっちゃなかったが。


 鬼一が呵々大笑していた。


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