表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
183/242

第183話:アイン・ソフ10


 追加の寿司を食べながらアインは鬼一を通してソフと思念会話。


 リリィはここに含まれない。


「で、本気の用件は?」


「匿って」


「何から?」


「ブルーブル」


「逃げてきたのか?」


「ある意味で」


「かか!」


 大笑する鬼一。


「辞表を出したんだよ」


「お前が?」


「ブルーブルに」


 玉露を飲む。


「で、却下されちゃって」


「だよな」


 ソフ。


 死者蘇生の魔術師。


 その絡繰りとプロパガンダ……ついでに社運をソフは握っている。


 ブルーブルで顧問の立場にあり、魔術の研鑽と研究。


 たまに派遣されてお偉いさんの死者蘇生に伺ったことも。


 そうすることでブルーブルは国家と密接に結びつき、結果として恩を売れるというわけだ。


 ちなみにブルーブルは国家共有魔術学院の出資者の一つでもある。


 学院外理事に一人幹部が座っている。


 閑話休題。


「だからお兄ちゃんに匿って貰おうと」


「で、わざわざ学院くんだりまで?」


「どうせ暇してるでしょ?」


「割とケイオス派の殲滅に忙しいんだが……」


 事実だ。


 とかく魔術が貴族主義であるため、一般人が学院に触れると、


「魔術を使いたい」


 を暴走させて魔族と契約……結果ケイオス派に堕ちるのは日常茶飯事だ。


 で、アインはその掣肘役。


 些事は部下のライトに任せてあるが、希に洒落にならないケイオス派も出るため、


「一事が万事」


 で臨んでいるのも動かしがたい事実だ。


「お兄ちゃんも大変だねぇ」


「ってわけで頼るならオウルを頼れ」


「趣味じゃない」


 そういう問題か?


 そうは思うがソフの思考に付き合っても意味は無い。


「だいたいどうやって抜け出せたんだ。無理とは言わんが苦労はしただろ?」


「にゃ~」


 しばし眼を泳がせるソフ。


 寿司をアグリ。


「えと」


「何だ」


「怒らないで聞いてね?」


「多分、そんな事前留意が必要なら聞けば怒ると思うぞ?」


「にゃあ……」


 実際にアインも嫌な予感はあった。


「えーと……」


 しばし言葉を濁した後、


「ある社員に手引きして貰いまして」


「社員」


 それだけなら怒る気も無い。


「派手に逃げたにしてはこっちに話は通ってないな」


「一応私の死体を創って置いてきたから」


 当然蒼髪蒼眼の美少女では無い。


 社員用の姿だ。


 ソフはその魔法性質上、


「無貌」


 とも一部で呼ばれる。


 それはブルーブルでさえ知らない能力だ。


 知っているのはアインとオウル……それから一部のトップカテゴリーくらいだろう。


「その脱走の手引きをした社員は?」


「この学院で暴れてるにゃ」


「…………」


「ぶはははは!」


 アインの沈黙。


 鬼一の呵々大笑。


 まぁわからないでもない。


「食人鬼……」


「だね」


「じゃのう」


 何が楽しいのか?


 ソフと鬼一の声は弾んでいた。


「師匠は気楽で良いな」


「性分故な」


 皮肉気な声質だった。


 無性に報復したいが畳ではそれも敵わない。


「で、結局此度の食人鬼は?」


「アンデッド」


「ほう!」


 アインより先に鬼一が食いついた。


「アンデッド……」


 頭の頭痛が痛いアイン。


 大凡学院が迎えるに於いて、


「最悪」


 と評せる存在だ。


「無茶苦茶するな……お前も」


「お兄ちゃんもね」


 そこは引かないらしい。


「平和に生きたい」


 はアインの夢だが、


「今回もまた一騒動あるんだろうな」


 それは外れようのない予言だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ