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第103話:学院祭ときどきイビルパニック20


 売上賞。


 投票賞。


 学院賞。


 学院長賞。


 研究室賞。


 学院街賞。


 口コミ賞。


 ありとあらゆる賞が都市国家……国家共有魔術学院の催し物で受賞していた。


 概ねは学院内部での催し物が有利だが、学院街での催し物にもチラホラと賞は授与されていた。


 賞によっては只の名誉であったり金一封だったりするのだが。


「最後になりました」


 司会がそう声を大にする。


 魔術による拡声である。


「教皇猊下直々の賞を受賞したのはどの催し物か!」


 そういうことだった。


 アインは痛むこめかみを押さえた。


 教皇……レイヴが声を拡散させる。


「私は此度の大舞台をこそ評価したい」


「だろうな」


「じゃろうな」


 アインと鬼一は同じ事を思った。


 鬼一は、


「他人事だ」


 と云う。


 アインには頭痛の種だ。


「此度の大がかりな武闘大会……!」


「でっか」


「その優勝者であるアインを賞する!」


 ワッと衆人環視が盛り上がった。


「アインさん! どうぞ壇上へ!」


「やれやれ」


 あまり名誉や賞賛に慣れていないアインである。


 とはいえ壇上に上がらないわけにもいかない。


「ども」


 とアインは壇上に上がる。


 待っていたのはレイヴのニヤニヤ。


「性格悪いなお前」


「然りだね」


 このやりとりは鬼一の思念チャットを通したモノだ。


 アインは黒衣礼服。


 即ち学ラン。


 腰に鬼一を差している。


 であるため事情を知っている人間は気疲れを覚えるのだった。


「見事な猛戦を見せたアインに祝福を」


 レイヴは十字を切った。


「アインは何を望む?」


「…………」


 思案するアイン。


「なんでもいいぞ? 例えば枢機卿の地位でも」


「既に枢機卿だろ」


 思念で皮肉の応酬。


「この際ぶちまける?」


「勘弁してくれ」


「ふむ……」


 とレイヴ。


「アインは謙虚だね」


「面倒が嫌いなだけだ」


 そこだけは譲れなかった。


「で」


 と音声で喋るレイヴ。


「何を欲する?」


「そうですね」


 衆人環視の中にあったためアインも謙虚な口調だ。


 態度はそうでもないが。


「ほっぺにキスでもしてくれれば」


「ふむ」


 と唸った後、


「では」


 とレイヴはアインのほっぺにキスをした。


 ザワリとどよめく衆人環視。


「教皇猊下のキス」


 それがどれだけ重たい物か。


 アインと鬼一以外は知っている。


 正確には、


「アインと鬼一以外は把握していない」


 と云うべきだが、そんな機微を衆人環視は察せられない。


「本当にするか?」


「そっちが言ったんじゃん」


「そうだがな……」


 アインは複雑な心情だった。


「それにファッションショーではアイン大人気だったし」


「唾を付けると?」


「まぁ有り体に言えば」


「一応俺は枢機卿なんだがな……」


「開示できないくせに」


「そのためにアイスが居るんだろ」


「そ~だけど~」


 納得は出来ないらしい。


 アインの知ったこっちゃないが。


「それではこれにて受賞会を終了します!」


 司会がそう言った。


「学院祭の盛り上げ……誠にありがとうございました! これ以降は打ち上げと相成ります! 存分に祭りの後を楽しんで貰えれば……そう期待します!」


 そうやって学院祭は収束に向かった。


「ま、都合が良いっちゃ良いんだがな」


 アインは嘆息した。


「さもあらんな」


 かっかと鬼一が笑った。


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