ある侍従のひとりごと
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本日一話目になります。
伯爵家の三男に産まれた私は自分で言うのはなんだが、将来を嘱望された官僚だった。
それがある日半人前と噂されるクロード第一王子付きの侍従に指名された時は絶望した。
二十代半ばで王子付きの侍従と言うのは普通に考えれば、大抜擢だった。普通ならば。
しかし、相手は耳もしっぽもない半人前。母である王妃殿下も寄り付かない見捨てられた王子だ。
官僚人生も、もう終わりだと思いながら、半ば自暴自棄でクロード殿下に謁見した。
当時まだ三歳だったクロード殿下との謁見は忘れられない。
王たるものに相応しい覇気を感じた。
半人前?
とんでもない。
ただ耳としっぽが無いから蔑まれているが、とてつもない獣性を感じる。
私はその他を圧倒する迫力に屈服したのだった。
この王子を王として戴く。その為にすべてを賭けると。
強烈な覇気で、気が弱いものは近寄れないクロード殿下の為にご学友を募る催しを開いた。
クロード殿下が耳無しなのを嘲ったしつけのなっていないガキ共や気の弱い者共は殿下が一瞬発した威圧で気絶した。
青い顔をしながらも何とか立っていた2名をご学友として選定しよう。気絶した子供達を回収していると。
いつも幼子であるのに常に沈着冷静に振る舞うクロード殿下が珍しく興奮していた。
手には緑のドレスと真っ白な仔虎。
そのドレスはもしや、サンダーウッド侯爵家のご令嬢か?
ここ数世代は完全獣化した者はいない。
名門サンダーウッドの後ろだてと完全獣化の二つを手にいれられれば、クロード殿下にとって有利に運ぶ。
クロード殿下の指示に従い客室を用意した。
普通ならいかにクロード殿下の言い付けとはいえ、二人きりにすることなどないが、このご令嬢だけはなんとか手に入れたい。
頃合いを見計らいサンダーウッド侯爵家に連絡を入れた。
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