宴の夜
本日2話目になります。
王立学院でのパーティーは、スチルそのもので、感動した。
学校ということで、王宮ほど、華美な豪華さはない。
しかし、歴史を感じさせる凝った模様を刻んだ白亜のホールが、素敵だった。
そんな憧れの場所に大好きな推しにエスコートされて入場する。
萌えの極み。
そして、今日のクロード殿下のキラキラに輝く黄金色の髪は、私がブラッシングした。
私の髪をセットしたクロード殿下に私もしたいとごねたのだ。私だって、モフりたい。
丁寧に櫛削ったこの黄金色の髪を見よ。
遂にモフってやったと本能が嬉しげに叫んでる。
「クロード殿下、アンドレア。相変わらず仲良しだね。」
ユリウスとエドワードがやってきた。
銀のタキシードに身を包んだユリウスと黒のタキシードに身を包んだエドワードの色の対比が綺麗で目をひく。
君たちも相変わらず仲良しだな。
第二王子は、婚約者を同伴している。
この前の献音祭に参加していた年上の令嬢だ。
なんと運命の番と出会ったらしい。
らぶらぶなのが、うらやましい。
私も運命の番と結ばれたい。
体温が感じられる程近くにいるのに、遠く感じた。
でも、ゲーム開始時には、第二王子に婚約者なんていなかったけど。
シナリオが、変わってきているのか?
よく考えたら、ユリウスとエドワードもゲームでは、犬猿の仲だった。
クロード殿下にエスコートされて、ダンスを、踊る。
甘く揺らめく金色の瞳をずっと見ていたい。
令嬢達の踊りに合わせて、くるくると色とりどりのドレスが花開く。
夢のように幸せだった。
ずっと私だけを見ていて欲しい。
お願い他の誰も見ないで。
凶暴な本能が目を醒ます。
他の誰かを見るならば虎と化して愛おしい人を食べてしまおうか?
大丈夫。まだ間に合う。狂う前に逃れよう。
愛おしい人に身体を委ねた。
「クロード殿下。今日は私とだけ踊ってくださいね。」
「お姫様の仰せのままに」
甘い眼差しで、私に微笑みかけるクロード殿下の顔を目に焼き付けた。
ゲーム開始まであと15日。
今日、私はこの国を出国する。
クロード殿下に内緒で留学することを知った両親や兄が青い顔をして震えていたけど…。
どうしたんだろう?
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