王立学院のパーティーにおよばれしました。
本日一話目です。
いよいよ来月、留学する。
留学期間は一年。
帰国した頃にはすべてが終わっているだろう。
遂に国内で婚約者も恋人も見つからなかった私は、隣国に活路を見いだした。
そう、隣国で恋人を見つけるのだ。
隣国出身の母からみても、美しいといわれる私。
こちらではモテなくても、隣国ならきっと。
目指せ!幸せ。
荷造りをしているが、意外と私物は少なかった。
部屋のほとんどを占めていたのは、クロード殿下に頂いた物。
それと、彼との思い出の品々。
私からクロード殿下を取り除いたら何も残らない。
燃えかすの様な自分に自嘲する。
でも、まだ14歳。
前世の半分も生きてないじゃない。
こんなに綺麗で、若いんだもの生きてたら良いことあるさ!
明日は、王立学院のパーティーにおよばれしている。
献音祭の優勝のご褒美なんだそうだ。
そう、私たちは献音祭に優勝した!
たくさんの賞品のうちのひとつがこれだった。
来年、悪役令嬢が断罪されるあのパーティー。
でも、今年は、主人公レンもいないし。
『あな天』ファンとしてはエンディングの舞台を、見てみたい。
それに主人公レンみたいに王立学院のホールでクロード殿下と踊りたい。
エスコートもしてもらいたい。
だって、ゲームの断罪パーティーでは、悪役令嬢は取り巻き達と入場する。
クロード殿下は、レンをエスコートするからだ。
しくしく。
クロード殿下には、エスコートとダンスを念押ししたし、楽しみだ。
今日のパーティーの支度の為、早めに王子宮に入る。普通は自宅で支度してクロード殿下が迎えに来るんだろうけど。
パーティーに向けて念入りにブラッシングしないと気がすまないらしく。
お支度は、王子宮でしてもらうことになった。
王子宮の使用人の皆さんとは、すっかり顔馴染みだ。というより、自宅にいるよりここにいる時間が長いので、こちらの方が自宅にいるより寛ぐ。
クロード殿下の自室で思う存分モフられた後。
メイドさんに支度をしてもらう。
クロード殿下が選んだというドレスは緑色で出会った時に着ていたドレスを、思い起こさせた。
あのー、クロード殿下。
メイクに口出ししたいのはわかるんですが、女性のお支度部屋に入るのはマナー違反ですよ。
髪のブラッシングも殿下がしたいんですね。
はいはい。わかりました。
でも、メイドさんがひいてますよ。
なんか、とっても器用に複雑な髪型が出来ていきますけど、いつの間にモフるだけでなく、女性の髪型も極めたんですか?
艶めく真っ白な髪に、薄くピンクがかった大振りの百合が飾られた。
悪役令嬢っぽくなくて清楚でそして華やかで綺麗だ。
「アンドレア、綺麗だ。百合の妖精みたいだ。」
クロード殿下が金色の瞳を甘やかに揺らして囁いてくれた。
しあわせ。
悪役令嬢卒業したいな。
こんなに柔らかく淡い色合いの格好をすれば、悪役令嬢じゃなくなったみたい。
今日は主人公ちゃんになった気分で楽しもう!
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