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プロローグ1
──どうやら世間では『異世界転生』なるものが流行っているらしい。
何らかの要因で死んだ人間(大概地球人)が、何かとんでもないチートスペックを与えられて別の世界に転生する…とかそんなアレだ。
書店で立ち読みしながら僕──白百合 王子はつまらんと本を投げ捨てそうになった。
──だってそうだろう。こんなものただの日記じゃないか。
現実を超越してこそのフィクションだろうに、現実をほぼありのまま書いてどうするんだよって話だ。
…他に誰も客のいない店で僕はやれやれと首を振る。
──どうやらこの異世界…“タッドル”にロクな作家はいないらしいと。──