四、会場入り
ほどなくしていわい屋に着いた。
家に戻る父と別れた旦那ちゃんは、ホールのスタッフに挨拶をして、宴会場へと入る。
会場はやはり広いなあ・・・。
(さぁ、やるか)
まずは入り口付近に長机を用意し、ポップ板に達筆な字で案内を書く。
結婚式のアルバム、和装の写真、それから渾身の力作、結婚式の絵本を並べた。
それからステージや席の確認を行う。
・・・って、見れば、すでに円卓のテーブルには一人一人参加者の名前が書かれており、手書きの名札が無駄であったことに気づいた。
だけど、せっかく作ったので立派な名札の横に、貧相な手作り名札をそっと置き、努力をアピールする。
家族ごとに嫁ちゃん渾身の手作り案内状を添えて。
一人悪戦苦闘していると上村家(旦那ちゃんの妹家族)がやって来た。
プロジェクターを抱えてもってきた旦那の真君、幼い息子咲を抱えた妹、瑤子。
司会の大任を任された康太と由里花、そして早速、会場を暴れまわる謙太と港。
「お兄ちゃん」
瑤子がそっと紙を手渡した。
びっしりと書かれた文字は、二人の司会進行の流れや台詞が書かれていた台本だった。
まさか、ここまでやってくれるとは、血か・・・これは血だな。
脈々とにやがりもんの血が受け継がれている。
なんとお兄ちゃん思いな・・・いや子ども思いの妹だ。
すごいぜ!ステージママ(笑)。
手短に挨拶を交わすと、各自やるべき任務へ。
真君はプロジェクターの設置を、瑤子は咲を抱えながら、リハーサルを行う康太と由里花へアドバイスをおくる。
謙太と港はせわしなく会場を走り回っていた。
作業は時間に追われ、緊張感もあり遅々として進まなかった。
カラオケの操作方法などの説明を受けていたら、会の開始時間が間もなくとなっていた。
その頃、いわい屋に旦那ちゃん、嫁ちゃんの親族一同が到着した。
旦那ちゃんは、ロビーへ行き感謝の挨拶を交わし、嫁ちゃんの元へ、思わず互いに笑みがこぼれる。
ばあちゃんは、エレベータを利用し宴会場へ登場。
沖縄の結婚式には高齢の為、参加出来なかった。
結婚まで、ずいぶん待たせてしまいました。
さぁ、食事会、はじまりますよ。
せっかくなので思いっきり楽しもうじゃないか。