三、食事会の朝
その日を迎えた朝、ねむい目をこすると、かぐに緊張感が旦那ちゃんを包んだ。
一方、隣の嫁ちゃんは寝息をたたている。
なに、このギャップは?
旦那ちゃんは後発の送迎バスで行く親族の案内をする嫁ちゃんとは別行動となる。
会場内に添える結婚式のアルバムなどの荷物を持っていき準備を整える。
いわゆる前ノリというやつだ。
桜はまだ二分咲き。
だけど、天気は良く絶好の食事会日和だ。
愛車に乗り込んだ旦那ちゃんは先発隊として早目に出発し、実家へと向かう。
実家に着くと、思いのほか、のんびりとしている親父と母をよそに、旦那ちゃんは慌ただしく、会に必要なアイテムの漏れがないかを確認する。
そうこうしている内に、いわい屋に行く時間となった。
飲酒はするので、父にいわい屋まで送ってもらう。
途中、100円ショップに寄り、ポップ板と、なんとなく春らしいということで模造の桜の木を数本、それからピンクの羽根を購入する。
車に戻ると、そっと親父にピンクの羽根を渡す。
「なんこれ?」
「「銭形平次」歌うとやろ。もっとかんね」(親父が結婚式で歌う主な持ち歌がこれ、途中で紙吹雪をまいていた)
「・・・使わんやろうけど、一応もらっとくか」
まんざらでもない顔をして親父はそれを、そっとポケットに忍ばせた。