一、下見
一月の某日、旦那ちゃんと嫁ちゃんは重い腰をあげた。
食事会の会場探しである。
なぜ億劫かというと沖縄の結婚式から、少し時間が経過していたことや、現状に満足していたこともあった。
それでも挙式に来られなかった親族の皆さんにも、私たちはやっと結婚しましたという報告を行わなければいけない
食事会という名の元に、両家の親睦を深めつつ、宴会ちっくに楽しもうというのが、旦那ちゃんの希望だった。
結婚式で燃え尽きた嫁ちゃんは、この時点ではまだ乗り気ではなかった。
だけど、動かない訳にはいかない。
互いの希望としては、あまり予算のかからない、堅苦しくないものにしたいというのが漠然とある。
場所は両家が集まりやすい場所を選んだ。
最初は日和やというお店へ。
大きな居酒屋兼食事処といった大きな宴会場をもつこの店で、味見を兼ねて昼食をする。
食後は大きな会場を見せて頂いた。
かなり広い。
お店の方の対応も良く印象は悪くない。
嫁ちゃんは、
「ここでいいんじゃない」
と、一気に決めてしまいそうな勢いとなった。
それでも、とりあえずは他も見て回ろうと、お店の方には一旦、検討とますと伝えて次の場所へ向かった。
いわい屋、ここは祝い事や仏事など様々な場面で利用される、地元御用達のザ・ならではのイベントホールである。
まぁ、佇まいからしてそうであるお店の壁に鶴が描かれていて、池には鯉が泳ぐといっためでたい感じ。
ただ、嫁ちゃんが思っているざっくばらんな感じとは違うかなと旦那ちゃんは思いつつも、お店の人の話をうかがう。
会場そして予算の話をしていくと、思いのほかリーズナブルな感じだったので、こちらも候補となった。
最後にもう一軒、いわい屋からそんなに離れていない所にある立花城だ。
昔は古臭い結婚式、宴会場といった感じだったが、リニューアルされ一新されていた。
真新しいそこは、ゴージャス感すら覚える。
私たちは受付で意向を伝えた。
一、結婚したよという報告、披露会。
二、あまり大げさではない、どちらかといえば宴会的に。
三、予算はかけずに。
そんな旦那ちゃんの言葉にふんふんと親身になって相槌をうつのはスーツ姿の男。
慇懃に名刺を渡された。
肩書はウェディングマーケティングなんちゃらと、いかにも風味丸出しの役職。
だが、若旦那は私たちの希望はよそに食事会ではなく、スケールはでっかく、披露宴のテイで話していく。
おい、聞いていたのか話を・・・そんなんでいいのかボン。
いや、仕事熱心だね~、熱弁は熱く、熱く続いた。
よっ、大統領!
彼の思いはよく分かった。
我々は当然、立花城を選択肢から外した。
うん、意見の相違というヤツだよ。