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09、モフモフが大好きなため 深淵シリーズをゲットした

 猛烈な爆撃を受けたため、ボスのHPゲージが一気に3割までに減ってきた。

 

メアリーは召喚しながら、道具欄のMPポーションを確かめる。


「あっと二つか……でも、計算が間違いなら、もう十分だよ!」


 メアリーの計算が決して間違っていなかった。

 しかし、ボスモンスターはせめて二種以上の行動パターン或いは形態があることについて、また初心者のメアリーは知るはずがないのだ。


 メアリーはとうに勝利を確信する際に、爆撃で動かないはずのボスは暗い煙となってさっと空に飛んでいた。

 続いて三つの紫色の炎が燃えている霊体の犬に化して、勢いよくメアリーに襲い掛かる。


「えええ!まだ幽霊かよ!出でよ、林檎爆弾!」


 メアリーは即座にMPポーションを飲んでから自分とボスの間に林檎を一直線に呼び出した。


「よーし!幽霊たちよ!ん……かかってこい!」


 まぁ、言わなくてもボスのターゲットもメアリーで間違いないのだ。

 その「ん……」について、ただ「come on」と「かかってこい」はどちらがカッコイイかに迷っているだけなのだ。


 三匹のボスが一列に並んで真っ直ぐに林檎とぶつかって爆ぜられた。しかし、霊体のボスは爆撃による動きを止められないのだ。

 勿論、先ほどに幽霊と戦った時から、メアリーは既に知っていた。

 爆発による煙のせいで、いくらメアリーの視力にしても、ボスの動きを完全的に把握できないのだ。


「10、9、8、7、6、5、4、3、2、くらえ!」


 目が頼られないなら耳に任せよ。

 メアリーは爆発音を一つずつにカウントダウンする。最後の瞬間に拳で林檎を殴ってきて、

「ドッカン」と爆発を起こさせ、爆風に後ろに吹き飛ばされる。


 スキルの特性を理解したとたん、すぐ活用できるようになる。しかも、このような状況下に冷静を保って直ちに戦法を思いついた。

 メアリーは正しくゲームの天才なのだ。


 先ほどの爆撃で、一匹のボスが既に消えていた。しかも、二匹目のHPゲージが少し減ってきた。

 これを目に入ると、メアリーは自信ありげににっこり笑う。


「よーし、思ったように順調順調~ もう一回やろう!出でよ、キラキラの林檎」


 メアリーは最後のMPポーションを飲み、さっきのように林檎を再び召喚した。


 勿論、さっきと同じ結果が出て二匹目も軽くて煙となって消えていた。

 そして、最後の一匹のHPゲージがあと半分くらいしか残っていなかった。


「残るMPが30、お願い! 奴を倒してください! 出でよ! 林檎たち!」


 MPを使いきるメアリーが六つの林檎を呼び出し、咄嗟に早足で走り出す。

 ボスが渾身の力を込み、まるでメアリーを噛み殺すように牙をむきだして飛んで来る。


「6、5、4、3、2、1 そんな……!!」


 ボスは猛烈な爆撃を受けても死んでいない。それだけでなく、全身に覆われた紫色の炎が更なる燃え盛るようになってしまい、瞬く隙に倍に伸ばしてしまった。

 そう、これはラストの断末モードであるのだ。

 あと一撃でボスを倒せる。しかし、MP切りのメアリーは一つの攻める手段さえも残っていない。死地に迫られてしまったのだ。


「何で倒さなかったよ!もう!このまま殺されるかよ!せっかくここまでがんばったのに!」


 渾身の力で逃げているメアリーは、道具欄の中から希望を見つけた。


「あっ!これは!」


 先ほど手に入ったコピーできない[レインボースライム召喚石・スーパーレア]であったのだ。


「よーし!これは最後だ!現れよ、黄金の林檎となって敵を葬れよ!」


 攻められる直前に、メアリーが力を入れて石をボスの顔に投げ出した。

 虹色のスライムが召喚され、即刻に七つ色の光を放ってキラキラしている林檎に変わって、「ドッカン」と大爆発を起こさせた。

 爆発に巻き込んだボスのHPゲージがやっとゼロになり、煙となって消えていた。


『レベルが19にアップしました』


 勝利を得てほっとしたメアリーは「ドン」と地面にあおむけに寝転がった。


「いててて……ウフ~ アハハ~ 正義の勝ち!でもよ、これって本当にレベル15で倒されるボスかしら?林檎がいないと絶対に負けちまったよ……」


 レベル15はクエストを始める最低条件である。

 元々、不遇職の召喚術士を選ぶプレイヤーがほんの僅かである。しかも、クエストの条件は一人限定のため、レベル30以下のプレイヤーはほとんど攻略不能であったのだ。

 召喚獣しか頼られない召喚術士は無傷でクエストをクリアは更なる痴人のたわごとだったのだ。

 勿論、常識の壁を乗り越えたメアリーは何も知らないのだ。


「あの光は?宝箱だ!よいしょっと…」


 光に気付いたメアリーは立ち上がって宝箱のところに行き着いた。


「今回は何が出るかしら~ せーのっ!」


 力を込むふたを開ける。


「おおおおおおお!カッコイイ!」


 中に入っていたのは夜のような漆黒を素地として、太ももくらいまでのミニワンピースと表にいくつかの紫水晶アメジストの柄を入れるマントの一体式の衣服。

 銀色の小さい星柄を入れる神秘的な紺色の肘まで至る長い手袋。

 そして黒いニーソックス付きの月柄付ける深海のように暗い青のロングブーツ。


「こっ、この格好!やばくない!」


 メアリーは装備を次々と確認していく。

 ——————

 [深淵シリーズ]

 取得条件:隠すボスネクロマンサーの怨霊〈1〉を無傷で倒すこと


 [深淵ノマント]

 [DEX+25、MP+10]、スキル[ケルベロス召喚]、破壊不可

 [深淵ノブーツ]

 [DEX+20、MP+10]、スキル[死霊召喚]、破壊不可

 [深淵ノ手袋]

 [DEX+30、MP+5]、スキル[精神転換]、破壊不可


 [ケルベロス召喚]

 ケルベロスを特殊召喚する、一日二回しか召喚できない、召喚数は午前零時に回復する、消費MP50。

 [死霊召喚]

 死んでいた召喚獣を霊体として30秒の間に召喚する、最大召喚数は[召喚]スキルに決める、消費MP10。

 [精神転換]

 敵一体を倒す、5MPを回復する。

 ——————

「スキルはまた増えたよ、ケルベロスって、さっきのモフモフかしら! 死霊召喚って、死んだモンスターを再び蘇らせること…… これ、最高よね!」


 物理ダメージが効かない死霊との戦いから、メアリーは死霊の強さをはっきりと理解していた。


「最後は……敵を倒して、MPを回復!MP問題がなくなったよ!最高!今すぐ試そう~」

「……こんな場所に一秒も居たくないよ!早く帰ろう」


 メアリーは周りの風景を見回してから装備を道具欄に収めて呟きながら、脱出魔法陣に足を踏み入れて王都へと転送された。


「ここは……広場じゃない?なら!」


 広場に戻ったメアリーは足を踏み出してメルラの店へと走りだす。


「いらっしゃい、メアリーちゃんじゃない、クエストはどうしたかしら?」

「クリアしましたよ、メルラさん、試着室をお借りしてもよろしいですか」

「いいわよ、ちょうど空いたわ……」

「ありがとう!」


 メルラの話がまだ終わっていないうちに、メアリーはとうにフィッティングルームに入ってきた。


「うわぁ!素敵じゃない?」


 全ての装備を身に着けるメアリーは鏡に映る姿を確認する。

 暗闇を基調とする装備は大人っぽい神秘感を放つが、メアリーに着けるとどうしてもそのようなものを感じられなかったのだ。

 強いて言うなら、ハロウィンの時に魔女を仮装して近くの家々を訪れてお菓子ねだる幼女見たいな感じなのだ。


「ほほ!私も罪深い女になっちまったよ!」

「我が名はメアリー!闇の深淵から来て大地に漆黒の闇を与え賜える者なり!」


 幸い、ゲーム内のフィッティングルームは完全防音であった。さもないと、中二病少女の発表会が丸々にメルラの耳に流れ込んでしまうのだ。

 中二病全開のメアリーは鏡の前にポーズを取り付けて、あっという間に15分を過ごした。


「メアリーちゃん? 大丈夫かしら?」

「あわわわ!大丈夫です!すぐ出ます」


 イメージを一新するメアリーの姿を目に入ると、メルラは「ぎゃー!」と叫びながら、メアリーを胸に抱き締める。


「ぎゃー!メアリーちゃん!可愛い!うちの子になろう~」

「えええ!メルラさん!放してく……息苦しいです!!ぐ……」

「メアリーちゃん!!!!!」


お読みいただきありがとうございます。


今日はメアリーの専用装備[深淵シリーズ]を紹介します。



[深淵シリーズ]

[深淵ノマント]、[深淵ノブーツ]、[深淵ノ手袋]

[深淵ノ指輪]、[深淵ノ冠]、[深淵ノ杖]

という六つの装備で組み合わせるシリーズ装備である。

一式を揃って装備すると、特別の効果を追加する

[深淵ノマント]、[深淵ノブーツ]、[深淵ノ手袋]の取得条件は隠すボス[ネクロマンサーの怨霊〈1〉]を無傷で倒すこと。

次の装備はアップデートと共に、追加する予定である。





この度、自分の拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。


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