62、モフモフが大好きなため ペンギン戦
二人の視界を覆っていた光が消えていくと、水に囲まれた美しい神殿の入り口に身を置いていた。
まず目に入ったのは、微笑みを見せる仲間たちだった。
「二人ともよくやった!あんな発想できるなんて、流石メアリーだぜ!」
「あれ?どうしてネフェが知ってるの?」
「あなたたちがタワーに入ると、スクリーンで生中継してたんだ」
「えっ!つまり、ルーチェのこともバレちゃったの!」
「そうじゃ!さっきはビックリしたのじゃ!皆があたしたちを囲まれてルーチェちゃんのことを聞いたのじゃ!でも…」
「僕たちは何も言ってねぇぞ!」
「あらまぁ~メアリーちゃんとレオラちゃんはよく頑張ったわ~二人をちょっと休ませて」
「そうじゃ!今回はあたしの番じゃ!」
アヤメはそう言いながら、ウキウキしてボス戦条件の石板を触ると、水色のパネルが浮き上がる。
――――――
『ようこそボスの部屋へ
扉の中には六曜魔王の一人、水星のマキュウリーが待っている。
挑戦時間は30分である。所定時間内にボスを倒せない場合、戦闘の参加者全員を死亡となる。
以下の条件をチェックしてから挑戦すると、特別ボーナスポイントを贈呈します。
[ ][戦闘時間マイナス5分]1ポイント
[ ][戦闘時間マイナス10分]2ポイント
[ ][戦闘時間マイナス20分]5ポイント
[ ][ボスの全ステータスが1.2倍になる]1ポイント
[ ][ボスの全ステータスが1.5倍になる]2ポイント
[ ][ボスの全ステータスが2倍になる]5ポイント
[ ][上級魔法の使用禁止]1ポイント
[ ][中級魔法と上級魔法の使用禁止]2ポイント
[ ][魔法の使用禁止]5ポイント
[ ][アイテムの使用禁止]5ポイント
[ ][スキルの使用禁止(被動スキルを含む)]5ポイント
[確認][取り消し]
――――――
「嘘!条件が変わったのじゃ!何で?」
「まぁ、毎日も同じ条件と言ってないぜ。アヤメちゃんはまだ一人で挑戦したいか?」
「ん…一人じゃないと雷花火が使えなくなるのじゃ…どうしょう……」
「それじゃ、僕は一緒にやろう!影に潜り込めばその魔法が届かないぞ!」
「そうじゃ!じゃ、早く行こう!ん…これとこれ、そしてこれ…」
アヤメは言いながら、[上級魔法の使用禁止]と[アイテムの使用禁止]の前をチェックする。
[確認]ボタンをタッチすると地面に六芒星が描いてあった青い魔法陣が現れる。
二人は皆の応援を受けると、魔法陣に向かった。
「取り敢えず、速戦即決で勝負を決めるぞ!」
「ラジャー!」
そして、二人が青い光に包まれてその場から消えていた。
二人がボスの部屋に入った瞬間、椿のアナウンスが響く。
『二日目の初クリアパーティーは現れました!皆さん頑張ってくださいね!』
「はぁぁ…今日のアナウンサーも椿姉か」
「どうやら今日も二番目…か…」
「まぁ~ 二番目もとても素晴らしいわ~ ね、メアリーちゃん」
「はっ、はい!」
三人が話し合っている間に、メアリーは真剣な表情を浮かべて新しいスキルの説明に目を凝らす。
その後、小悪魔のような笑みを浮かべて小声でひとりごとを言う。
「ウフフ~ 皆がこれを見るとどんな顔をしてるかしら~ ほほ~」
「メアリー?その笑い…何か面白いことが思いついた?」
「いっ、いいえ。何でもないよ!アハ、アハハハ~!」
一方、ライナーとアヤメはボスの部屋に移った。
「おおお!宇宙なのじゃ!」
「メアリーが言ったように、水星が現れるとボスがすぐ来るぞ!早く詠唱を」
「ラジャー!」
アヤメは先手を取るため、[コンデンセイションマジック]の詠唱を始める。
ライナーは警戒を続けつつ周りを確認する。
そこは半円形の狭い空間だった。
見えるところには全て真っ暗の宇宙、そして輝く星々だった。
そして、ある水色に覆われた星が物凄いスピードで二人にいる場所へ飛んで来る。
と同時に、地面にさっきと同じ六芒星の魔法陣が現れる。
『選ばれた勇者よ!ようこそわしの領域へ!』
年寄りの男性の声が響くと共に、その中から黒い紳士服を着用し、トップハットを被ったペンギンが立ち現れる。
「おおお!丸々のペンギンさんなのじゃ!」
「バカ!あいつはボスだ!準備はまだか」
「フルパワーまであと1分なのじゃ!」
「1分か…わかった!その前に僕は時間を稼ぐ」
アヤメを後衛において、ライナーが短剣を持ってボスへと向かう。
ボスは杖で地面を突く。
口を開けると弾丸のような氷の結晶が次々に撃ち出され二人を襲う。
「イルージョンスロー!」
後ろに詠唱に専念するアヤメを守るため、ライナーは地面を全力で踏み込んで大量の短剣を超高速で投げて氷の弾丸を弾いていく。
「この程度なら、僕を勝てないぞ!」
ライナーの挑発に対して、ボスは次の行動を取らず。
まるで何かを企んでいるように、不気味な笑顔をしてじろじろとライナーを睨む。
アヤメは詠唱しながらライナーの戦いを注視する。
ボスが笑いと同時に、ライナーの足下の地面に小さく薄く魔法陣が現れることに気が付くと、即座に注意を呼び掛ける。
「危ないのじゃ!早くジャンプして!」
アヤメの呼び声を耳にすると、ライナーは思わず跳び上がる。
すると水が噴水のようにライナーが踏んでいた地面から噴出して、空にいるライナーに襲い掛かる。
「二段ジャンプ!」
あと僅かで水に命中されてしまう時、ライナーは何もない空を踏み、ばねのように膝をのばして前に跳び上った。
物凄いスピードでボスの後ろにやってきた。
ボスが直ちに先端が槍のように鋭い杖を持ってライナーに刺突の雨を浴びせる。
しかし、ライナーの回避力の前に、それは風前の灯火に過ぎないのだ。
「アヤメの詠唱が終わるまで、僕と遊んでくれ!」
ライナーは頬に挑むような笑いを浮かべて攻撃を始める。
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