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57、モフモフが大好きなため ゲームの中でお風呂!?

 太陽が西の地平線に降りていくと、空がわずかに橙色に染まる。

 夕陽の光が水面に差すと、湖が紅に金を混ぜた強烈な色彩に染められていた。

 ちゃんと休憩を取ったネフェとライナーは目が覚めると、ハウスの外で皆を迎える。


「良く寝ていたぞ!すっきり~」

「あたしも、久しぶりに昼寝したぜ!」

「皆は遅い!僕たちの戦果を見るときっとビックリしたぞ!」

「それは当たり前だぜ!そいえば、先ほどメアリーのメッセージ届いたよ。もうすぐ着いたと言われたが…全く、何処に行っちまったのかよ!」


 実は、二人がハウスから出た時からメアリーは既に帰ってきた。二人にいたずらするため、ルーチェのスキル[ステルス]を発動すると姿を隠したのだ。

 しかし、二人が話し合っていたので、全くタイミングを掴まなかった。

 メアリーは二人が自分の行方について物思いにふける今は絶好のチャンスだと思うと、フェルを抱いてライナーの側に着くと、顔に小悪魔のような笑みを浮かべながら、コソコソ話をする。


「今だ、吠えて!」


「ワン!」

「ぎゃーっ!」


 耳の傍から不意にフェルの吠える声が聞こえるとライナーが即座に慌てて木の上に逃げた。

 ネフェが全く理解できない状況でビックリして際に、透き通った少女の笑い声が聞こえた。続いてルーチェに乗ってメアリーの姿が現れた。


「ウフフ~ ごめんね、ちょっとやりすぎちゃった。ゲヘ~」

「「メアリー!?」」


 メアリーは謝りながら宥めかしたあげく、ライナーがやっと降りたのだ。

 その後、メアリーは午後の出来事を二人に教えた。






「っていう訳で、この子はルーチェちゃん、これからよろしく~」


 二人は水晶(クリスタル)王国のクエストと戦いのことを聞くと、驚いて茫然となった。

 ネフェは二人で一生懸命頑張った倒したドラゴンより強いSランクのボスが簡単に倒せる化け物のようなメアリーに追いつきたい自分は本当にバカだと思う。

 ライナーはメアリーが自分しか使えない姿を消すスキルもう使えるなんて、化け物にほかならないと思う。

 二人はそう思いながら、溜息を吐く。


「はぁぁ……さっきのやる気が一気になくなったぜ」

「ああ、同感だぞ」


 メアリーは不意に二人のわけわからない話を聞くと、顔に訝しそうな表情が浮かぶ。


「二人とも、それは何の意味?」

「「いいえ、別に…」」

「えええ——————っ!教えてよ!!」


 メアリーは二人の腕を握って振られている際に、後ろからメルラ達の声が聞こえてきた。


「「「ただいま!あれはっ!」」」


 まるで白銀のように輝くルーチェに三人の目が釘付けになる。

 特にアヤメはもうワクワクしてルーチェに向けて飛び出す。


「おおお!白馬なのじゃ!!」


 ルーチェは興奮してアヤメを警戒するように即座に姿を消すとメアリーの後ろに隠れる。

 アヤメはビックリして勢いまま後ろの大木にぶつかってしまった。


「えええ———っ!うっぎゃ!」


 アヤメは赤くなった額を揉むと立ち上がって、メアリーの後ろに隠してルーチェを見つけた。


「いててて、えっ!いつの間にメアリーちゃんの後ろに行ったのじゃ?」


 メアリーは優しくルーチェの鬣を撫でながら慰める。


「ルーチェちゃんビックリしたよね。もう大丈夫よ~よしよし~」


 続いて、メアリーはじーっとアヤメを睨む。


「アヤメちゃん、いきなり何をするつもりよ!うちのルーチェちゃんを驚かせるなよ!」

「ごっ、ごめんなのじゃ。可愛い白馬ちゃんを見るとちょっと興奮しすぎちゃったのじゃ…触りたいんだけどいいのじゃ?」

「全く、ルーチェちゃんに聞いてくれ」

「ねね、ルーチェちゃん、いいのじゃ?」


 しかし、ルーチェが首を反らす形で拒否を示す。


「あらまぁ~ アヤメちゃんが降られたわ」

「何でこんなのじゃ!!?」





 太陽が地平線の向こうに擦れていくと、夜の帳が下りる。

 静かな湖の辺にあるネコハウスの上にうわうわの雲のような白い蒸気が舞い上がる。

 ライナーとネフェは浴槽に浸かって、顔に至福な表情が浮かぶ。


「お風呂はいいな、まるですべての疲労が一気になくなったぞ!」

「気持ちいいぜ!ゲームの中でお風呂に入るなんて、以前は全く想像できないぜ![お風呂セット]最高だぜ!」


 [お風呂セット]はネコハウスに付けた装備すると完全に裸の体を再現できるようになる一式の装備であった。勿論、お風呂場でしか使えない装備であったのだ。


 ドアが開くと、メアリーとアヤメ、そしてメルラ三人が蒸気に満たされて風呂場に足を踏み入れる。


「あらまぁ~ライナーちゃんとネフェちゃんはもう入ったわ~」

「おおお!本物のお風呂なのじゃ!ダイビング用意——スタート!」


 アヤメはそう叫びながら、浴槽に飛び込んでいた。


「ドボン!!」


 雨のような水しぶきが跳ねていた。


「アヤメ!お風呂のマナをちゃんと守れ!」

「えっ!つまないのじゃ!ベーダ!」

「こら!」

「まぁまぁ、せっかく皆は一緒にお風呂に入ったのに、喧嘩はやめようよ」


 メアリーは喧嘩を仲裁しながら、メルラと一緒に浴槽に入り込む。

 一日の疲労感を全て吹き飛ばしたようにすっきりすると、皆が一緒に幸せな笑顔が溢れる。


「「「「「あぁ、幸せ〈なのじゃ〉!」」」」」


 ほぼ同時に、居間に座って男性キャラを使ってレオラはまるで死にそうな顔が露になる。


「何でこんな機能もあるかよ!男の体でお風呂に入るなんて…そんな恥ずかしいことができるもんか!」

「おいらのバカ…何で男のキャラを作ったのよ!おいらも皆と一緒にお風呂に入りたいよ!バカバカバカ!」


 レオラはそう呟きながら、課金ショップのパネルを呼び出す。


「うわぁ!化粧箱って1万円だとう!?仕方ない……」


 レオラは自分のバカさを後悔しながら、[購入]ボタンを押すとキャラクター再設定を始める。


お読みいただきありがとうございます。


この度、自分の拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。

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