54、モフモフが大好きなため 水晶王国の戦い
メアリーたちは廃墟と化した町の中に進むと、城門の前に倒された満身創痍のペガサスたちが視界に入る。
そして、山ほどのモンスターが牙をむきだして城門の前に立ちはだかる。
「不味いね、これほどの敵がいるなんて、全く思わなかったよ!」
今のメアリーは一撃でモンスターの群れをまとめて始末する手段があった。それは水の精霊ウンディーネであった。
しかし、タワーの中に既に一回使った。そして、中にはきっと強いボスがいると判断したため、メアリーはウンディーネをとっておきの手として温存すると決めた。
「あの数なら、やはりフェルしかできない。フェル、げんじゅっ!!」
メアリーはフェルを命令しようとしたところに、アリコーンが首を振り返ってメアリーを睨むと鳴き出す。
「えっ!まさかあなたは他の方法があるかしら?」
アリコーンが頷くと体から虹色の光を放って、メアリーたちを含めて一緒に姿を消してきた。これは先ほど花畑で使ったステルスであったのだ。
「凄い!私たちもう一緒に姿を隠された!それなら、早く王城に向かおう!」
アリコーンが羽ばたくと、山ほどのモンスターが守備する城門を難なく乗り越えて、城内に忍び込んできた。
ほぼ同時に、王座の間で起こった激しい戦いが終わった。
ある虹色の鬣と翼をしているアリコーンは魔力を使い切って倒してしまった。
先ほどメアリーに倒された敵より数倍大きい虫型モンスターは人を人とも思わぬ顔に蔑みの笑みを浮かべる。
「オォホホホホ~!なんと無様な姿よ、アリコーンの女王様!これで、あなたのすべてが全ては妾のものになり!」
「わたくしの臣民は決してあなたのような悪魔に屈服してはいけません!」
「ほほ~ 口だけ強い者よ!あなたはもう何もできないぞ!この世界は間もなく闇の世界になる!」
「いいえ、わたくしはあの子を信じて、必ず希望を連れて戻せます!希望の光が決して消えされないです!!」
「ならば、今すぐここで死ね!!!」
悪魔はそう言うと、口を開けて鋭い牙をむきだして女王に近づく。
肝心の時、二人しかなかった部屋に少女の透き通った声が響く。
「そうはさせないよ!フェル、鮮血の咆哮!」
「オオオ──っ!!」
犬の吼える音が響くと共に、鮮血のように怨霊の手が現れ、悪魔をしっかりと捕まえる。
引き続き、空にアリコーンとメアリーたちの姿が現れた。
悪魔が不意に掴まれたため、凶悪な顔を見せながらメアリーを脅迫する。
「お前は何者だ!このような小細工で妾を倒せるだとう!笑止!」
メアリーは悪魔からの脅迫に対し、顔に僅かな恐怖も現れなく、頬に挑むような笑いが浮かぶ。
「あれは私の全力と思うと困ったよね。出でよ、汚れものを浄めよ!ウンディーネ!」
「行きなさい!ノアーウェーブ!」
ウンディーネが召喚されると即座に洪水を呼び出す。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
悪魔が津波のような大波洗い流されるため、悲鳴が水の流れ音を超えて王座の間に木霊する。
元々、[ノアーウェーブ]の効果は敵を押し流すこと。ダメージ判定は水流が地面に突き落とすところしかなかったが、悪魔は鮮血の咆哮の効果で地面に固定されて水流に押し流されなかったので、物凄いダメージを受け続けていたのだ。
そのおかげで、悪魔のHPバーがあっという間に半分以下に減ってきた。
「よくも妾を!これが妾の真の力だ!!!」
悪魔が怨霊をからげ、口から世界を呑み込まれるように闇の力を落ち込もうとしたところに、メアリーは胸を張って叫び出す。
「そうはさせないよ!ウンディーネ、水龍天昇よ!」
「世間万物に存在する水よ!妾に力を貸してくれ!アクアトルネード!!」
ウンディーネが槍を高速回転すると水流がその強い吸引力で空へと溯る。
悪魔の攻撃がまだ撃たないうちに、水の竜巻に空に巻き込んでいた。
[アクアトルネード]は元々大きいダメージを与えるスキルだった、しかもアップデートの時で回数制限が付くと共に威力が二倍となったため、悪魔のHPバーが一気に1割程度に減ってきた。
水の竜巻がやっと停まって、周りの洪水も消えていた。翼が濡れられて飛ぶ能力が失った悪魔は地面に落ちていく。
「おのれぇぇ!お前らとこの世界をまとめて滅びる!!!ダークインパクト!!」
不気味な闇のエネルギーがまるで世界を滅ぼす魔法を充填するように悪魔の体に集まっていく。もしその魔法に撃たれれば、いくらメアリーはどれほどに強くても瞬きの間にやられてしまうのだ。
しかし、今のメアリーは決してそのチャンスを与えないのだ。
「これが最後よ!スズちゃん、大文字──っ!!」
スズが鳴き出すと炎の魔法陣を呼び出し、五つの炎が悪魔に飛んで行く。
「クソッ!この妾が、こんなところで──っ!」
悪魔が空で炎に焼かれると悲鳴を上げて、灰燼に帰すると始末されていた。
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