05、モフモフが大好きなため ダンジョンをクリアした
総合評価30ポイント達成!ありがとうございます!
「方法って、本当にアレを破れるのか?」
「うん、任せてください!」
メアリーは三つの捨て駒石をまとめてボスに投げ出したかと思うと、そのあとに三つの召喚石を投げ出す。
さっきのように、「ボム」と音がすると共に、爆発が起こってきた。
新たな林檎が召喚される前の僅か隙に乗じて、召喚石がボスの足元でスライムに変わった。
三体のスライムがボスに体当たりをしたが、またボスの一撃で消されてしまった。
「またやっちまったのじゃ!もうダメなのじゃ!」
「あぁ!わかったよ!アハハ、さすがメアリー」
「ウフフ~ そういうことなのだ~」
二人のわけわからない話を聞いたアヤメは呆れ顔で疑問を口にする。
「ライナー!メアリーちゃん!そういうことって何よ!早く教えてくれなのじゃ!」
「それは……」
メアリーはさっきの戦いから、爆発する瞬間にダメージ判定はあったが、爆発で起こる爆風にはダメージ判定がないと考察していた。
さっき石を投げたのは考察を確かめるためであった。
「私の動きに合わせて、攻撃を頼むよ!」
「ラジャー!」
メアリーは再び三つの捨て石をボスに投げる。およそ一秒後、アヤメは魔法を撃ち出す。
勿論、今回は無詠唱であった。魔法の詠唱が必要かどうかは本当に謎だよね。
今回の攻撃はメアリーの予想通りしっかりとボスにダメージを与えていた。
それと同時に、ボスも次々とビームを発射して三人を狙い撃つ。
「いっけー!これでどうだ!」
ボスの攻撃は決して疎かではないが、綿密なビームの発射を準備する際に早くもメアリーに見破られていた。
こうして、二人の連携攻撃の末、ボスのHPゲージはようやく一割までに減ってきた。
「二人とも、ボスの攻撃パターンがまた変わっちまったよ!」
さっきから攻撃を避けながらボスを見極めるライナーがボスの変化を気付いた。
ボスを守るリンゴが体に吸い込まれていった。
全身が真っ暗のオーラに覆われボスは両手から、物凄いスピードで黄金の林檎を発射し次々と三人を狙い撃つ。
「二人とも、私は林檎を食い止める!全力で奴をやっちまえ!」
メアリーは攻めてくる林檎に狙って、両腕を回して捨て石を全力で投げ続ける。
三人から見れば、これは決して緊張感のない戦いとは言えない。しかし端からみれば、これはどう見ても女神と少女二人の果物投げ合戦ではないだろうか?
まぁ、少女が投げたのは石だけどね。
「雷よ!敵に天罰を与えよ!」
「くらえ!五連撃!!」
怒涛の雷撃と斬撃を受けると、ボスが呻き声をあげながら、光になって消えていった。
ゲームを始めたばかりの少女たちが、力合わせってやっと開発者からの悪意の塊と呼ばれる中級ダンジョンをクリアしたのである。
緊張の糸が切れたため、三人が地面にへたり込んでしまう。
『スキル:[召喚Ⅰ]が[召喚Ⅱ]にレベルアップしました』
『レベルが15にアップしました』
『おめでとうございます!MVPになりました!MVPアイテム[争いの女神の冠]を取得しました』
「ええええ!MVPって、なに?」
「戦いに一番貢献した人のことなのじゃよ!」
「えっ!何か間違いじゃないの? 私は防御しかやってないのに……」
「アハハ!素直に受け取ろう、メアリーがいないと、とっくに殺されていたよ!」
「そういうことなのじゃ!ほら!宝箱が出るのじゃよ!」
ボスが消えたところに金色の宝箱が現れ三人の目に映る。
メアリーは腕で立ち上がりたいが、肩がビリビリ痺れるため、地面に倒れてしまった。
「いててて、肩が痛いよ!」
「肩って大丈夫?」
「アハハ……平気平気、力を入れすぎちゃった……」
「ウフフ~ さっきのメアリーちゃんは超楽しそうだったのじゃ!」
二人がメアリーを立たせて宝箱のところに行き着く。
力合わせてクリアした宝箱を目に入るメアリーは、初めてゲームの喜びが込み上げた。彼女は少しずつ家族が何故ゲームに夢中になれるのを理解できるようになった。
三人は力込めてふたを持ちあげて、ピカピカと光輝くものが目に映る。
「これは!素敵じゃないの!」
「おおおおお!これってヤバくない」
「ホントウなのじゃ!キラキラなのじゃ!」
中にはキラキラしている宝石を鏤めた銀製のネックレス、リング、イヤリングが並んでいる。
説明のパネルが三人の前に浮かび上がる。
——————
[神々の女王のネックレス]
最大召喚可能の数が2倍になる、クールタイムが3倍になる。
[戦いの女神のリング]
[STR+3、AGI+3]敵に与える物理ダメージが常に1.5倍になる、受けるダメージが1.5倍になる。
[愛と美の女神のイヤリング]
[INT+3、MP+20]魔法で与えるダメージの2%分、自身のMPを回復する。
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「おおお!すっごい、まるで僕たちに用意されたものみたいだ」
「そうじゃ!メアリーちゃんもさっきのMVP装備も一緒に確かめてみるのじゃ」
メアリーは道具欄からさっき貰った[争いの女神の冠]を取り出して説明を確かめる。
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[争いの女神の冠]
[DEX+5]、スキル[黄金の林檎]、破壊不可、譲渡不可
[黄金の林檎]
黄金の林檎一つを特殊召喚する、最大十個を召喚できる、消費MP5。クールタイムはレベルCの召喚獣と同じ。
召喚された林檎は移動不可、攻撃を受けた時或いは触られた際に爆発を起こして範囲内の敵全員に50ポイントの光属性の固定ダメージを与える。
特殊召喚:召喚術の枠を占めない、特別な召喚である。
——————
「ええええ!このスキルって、超ヤバイじゃないの!!!」
「えっ!どれどれ? ホントウなのじゃ!早くやってみてほしいのじゃよ!」
メアリーは冠とネックレスを装備して自分で思った詠唱呪文を唱える。
「争いを垂れ賜え金色の林檎よ!我が命ずるに姿をあらわせよ!」
中二病っぽい詠唱すると共に、ピカピカと光り輝く金色の林檎が三人の目に映る。
「おお!メアリーちゃんいいセンスなのじゃよ!あたしも!神の怒りよ!その林檎に裁きを与えよ!」
◇◆◇◆◇◆◇
「「「綺麗〈なのじゃ〉!」」」
穏やかな海辺の村に、風が吹いてきて、水面に時々こまかい波を走らせる景色が三人の目に映る。
「これでフレンドも登録完了!僕たちはそろそろログアウトするよ。メアリーはこれからどうするの?」
「私は……えっ!もう2時なの!!!」
システム欄に表示されている時間を見ながら、メアリーの叫び声が静かな村に木霊する。
「それじゃ!また会おうなのじゃ!」
「二人とも、おやすみなさい!」
「ゲームって、ホントウに楽しかったよ!……って、片付け忘れちゃった。まぁ、いいか」
ログアウトした美咲は乱されてしまった部屋を見回し、片付けをあきらめて夢に誘われていた。
◇◆◇◆◇◆◇
【NFW】隠しダンジョン捜査隊
1:名無し神官
アップルダンジョンまだっすか?
2:名無し剣士
もう2時間続き……
死んじゃっ
3:名無し騎士
神官が女神シリーズって意味あんのw
4:名無し神官
ピカピカなアップルが欲しっす
5:名無し剣士
やめとけ、0.5%のMVPアイテムだ
あのボスはめちゃくちゃ強いよw
6:名無し騎士
そうだよねw
疾風の女武神様以外にクリアできる者がいるわけがないよ
7:名無しアーチャー
深淵の堕天使様もできるよw
遅くなってすまん
8:名無しアルケミスト
へいきへいき
って、ダンジョンを見つかったの?
9:名無しアーチャー
アルミ森の村側、海辺のところ……
先客にとられちゃうぞw
10:名無神官
マジ!!
夜更かしは何のためだっすか?
あたしの時間を返して (泣)
11:名無アルケミスト
>>9
どのような者?
職業は?
12:名無しアーチャー
身長150くらいの美少女三人組だ……
いや、一人は少年かもしれない
見た感じは初心者の装備だった訳で、分からん
武器は短剣、杖、そして……素手
13:名無し剣士
素手だとおおお!
武闘家よ!
14:名無し騎士
そんな職業はないよw
つまり、盗賊、魔法職、そして武闘家(仮)ってことよね
15:名無し神官
>>12
ビギナーズラックっすね
どうせ、すぐにボスにやられたっすよ
ゴミたちのせいで、おいらのピカピカなアップルがなくなっちゃった (泣)
16:名無しアーチャー
そういう感じだが
ちょっとおかしいと思った
17:名無しアルケミスト
Kwsk
18:名無しアーチャー
クリスタルがかなり隠蔽な場所にあるので
オレの目でも時間を掛かってやっと見つけた
例の三人がまるで知ってるように真っ直ぐに向かっていたよ!
オレの視野より広くかもね
19:名無しアルケミスト
そんなわけないか
DEX極振りのアーチャーより広い何て……
ひょっとして、伝説のアレか?
20:名無し剣士
アレが都市伝説だぞ
ない ない ない
21:名無し騎士
まぁ、取り敢えず今日は解散しよう
お疲れ様
22:名無しアルケミスト
お疲れ様w
22:名無しアーチャー
お疲れ
23:名無し剣士
お疲れ様
24:名無し神官
お疲れっす
ピカピカなアップル…… (泣)
お読みいただきありがとうございます。
[黄金の林檎]
レベル C
HP 1
MP 0
STR 0
AGI 0
INT 0
DEX 0
VIT 0
スキル:無し
特性:移動不可、攻撃を受ける時或いは触られる時に爆発を起こす、範囲内の敵全員に50ポイント光属性の固定ダメージを与える。
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