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35、モフモフが大好きなため クエストが改竄(かいぜん)されちゃった

 メアリーは立ち上がって、部屋を見渡す。

 足元に鮮やかな花が咲き誇っている。

 紺碧をまだらにしている白い雲がフワフワ浮く。

 目の前建っているギリシャ風の神殿が何処かで見たような感じがする。


「おおお!エリスと戦う場所とそっくりなのじゃ!」

「あぁ!本当だぞ!じゃ、今回のボスは神殿の中にいるか?」


 メアリーたちは階段を登って、神殿に足を踏み入れる。

 そこには、三体の女神彫像が立っている。


「へ――っ!今回のボスは三人の女神なのじゃ?」

「バカアヤメ!これはヘラとアテナ、そしてアフロディーテの像だ!僕たちの装備は彼女たちから貰っていたぞ!」

「そうよ、今回のボスはきっとこの方たちでないよ」

「そっか……おおお!宝箱なのじゃ!」


 女神像の後ろに、石の台座の上に金色の宝箱がキラキラと輝く。


「まさかボスがないかしら?おかしいね……」

「きっとボスがないのじゃ、早く手伝いよ、蓋が重いのじゃ!」

「あっ、わかった!」


 メアリーはまだ考えているが、アヤメとライナーは既に力を込めて宝箱を開けようとした。


「「ムムムムム!!!!」」


 しかし、二人は全身の力を使っても蓋も微動すらしないのだ。


「もうダメなのじゃ!きっと壊れたのじゃ!」


 メアリーは宝箱を細かく見ると、三つの紋章に目を留まる。


「これ、女神像の紋章とそっくりよ!きっと何か関係があるかも」

「ほほ~ さすがメアリー、すぐ手がかりを見つけたな。誰かさんと全く違うようだな」

「それが誰のことなのじゃ!」

「さぁな~」

「うっぎぃ!」


 三人は女神像の前に戻ってきた。

 メアリーはヘーラーの像に手をかけると、像にある紋章が光る。


「私の考えが間違いないなら、きっと前に貰った装備によってそれぞれの女神に対応するよ」

「分かった。じゃ、僕はアテナの像だ」

「あたしはこの美人女神姉さんなのじゃ!」


 二人はアテナとアフロディーテの像に手をかけると、ヘーラーの像と同じく紋章が輝き、三体の彫像が同時に眩い光を放つ。

 三人が光に包まれて、その場から消えていた。

 そして、次に目を開けた時。

 それぞれ違う場所に送られていた。


「うわぁぁぁぁ!ここはどこだ!!」


 転送の光が消えており、ライナーは荒野のような場所が明らかになる。

 灰色の空を厚みのある雲が覆っている。細々とした土地が枯れた川のように見える。

 前には戦争でボロボロした城壁。後ろは兵営のような場所に、古代ギリシャの軍服を着く兵士が疲れて沢山倒れている。兵営の中に、数メートル高さがある木製の馬が立つ。


 ライナーが周りのことを考える際、アテナの彫像とそっくりした女性が現した。


『よく目覚めたよね。私の力を受ける人間の子よ!』

「あっ、あなた様はめっ、女神アテナ様ですか!!?」

『そうだ、私は戦いの女神アテナそのものだ。人間の子よ!ギリシャ軍とトロイ軍の戦争は始めるから既に十年を経っていた。今はこの絶え間ない戦争に終止符を打つ時だ。あなたは私を代わりに、ギリシャ軍と共に、[木馬作戦]を成功させよう!さぁ、愚かなトロイの王に神を辱める代価を味わう時が来た!』


 アテナは話が終わって、姿を消していた。


「ほほ~ これが有名な木馬作戦が、確かトロイ人を誤魔化して、城に潜入する作戦だぞ。僕とピッタリ!おおお!クエスト画面が出来た!」


『クエスト:[木馬作戦]30分以内にトロイ城に潜入して、城門を開ける。移動要塞[木馬]の進む道を開ける』


「30分だとう!なにこれ!めっちゃくちゃ間違いないか!っていうか、移動要塞って何よ!」


『クエスト、スタート!』


 アナウンスと共に、ギリシャ兵士たちが木馬に乗ってからトロイ城へ進み始める。


「えええ!しょうがないな……でも、面白そうね~ 電光石火!」


 ライナーは薄いオーラに覆われて、目に見えないスピードで城門へと駆け出す。


 ◇◆◇◆◇◆◇

 時間はメアリーたちがそれぞれに伝送される時に遡っての現実世界。

 ゲーム運営本部でのこと。


「ああぁあああぁあ!プレイヤーがトロイ戦争に入ってしまった!!!!!!」


 一人の男が叫ぶ。


「「「静かに!!!」」」


 部屋の全員は彼をじーっと睨む。


「すっ、すいませんでした!!!」


 彼は頭が下げて謝ると、皆が「次がねぇよ」と呟いて仕事に戻る。

 男の隣に座っている同僚が尋ねる。


「それでビックリした意味はねぇだろう?そもそも、ダンジョンはプレイヤーたちに攻略ための存在だろう?」

「ちっ違うよ!今朝、リーダーがあのダンジョンをめっちゃくちゃに変わっちまった!!!」

「マジイイイイイイイイ!!」


 同僚の男も叫び出す。


「「「お前ら!外に出てって!!!」」」

「「すっ、すみませんでした!!!!」」


 二人は謝ると即座に部屋から出ていた。


「ったく、あの女がまたやっちまったか……今回は何分かかったか?」

「えっと、僕がトイレに行く前にまだ大丈夫だが…五分ぐらい……」

「ったく……あいつの才能は何でいいところに使えんの……って、修復はあと何時間掛かる?」

「1時間ぐらいあればきっとできると思うが、今はプレイヤーたちがダンジョンに入ったよ!!」

「まぁ……今は一刻も早くデーターを直すしかねぇ!念の為、オレが課長のところに行く!あの女を何とかできるのは課長しかなぇ!」

「分かった、助かった……」


 男は直ちに部屋に戻って、必死にデーターを直し始める。

 同僚の男は怒りの色を現して、部長室に走る。


 ——————

 こうして、メアリーたちは知らないうちに、もう一つの『トロイ戦争』に巻き込まれてしまった。


お読みいただきありがとうございます。


この度、自分の拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。

『面白い』『続きが気になる』と思われましたら、是非ブックマークの登録をお願いします。

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