32、モフモフが大好きなため 幼馴染みと再会してきた
レオラは空に向かって拳を上げて、勝利を宣言する。
「おいらの勝!ふん~ 見かけ倒しだよね!」
メアリーはこのセリフを聞くと、やっと思い出した。
「どうして今まで覚えないかしら? 私のバカ」
「うわぁぁぁぁ!!!助けて!!!」
ボスが消えた今、レオラは数メートル高い空から地面へと落ちていく。
「心配はいらないよ、私はいるもの!いっけい!」
メアリーは限界までスライムを呼び出した。
柔らかいスライムはクッションとなってレオラを受け止めていた。
「レオラちゃん、大丈夫かしら?」
「サンキュー~ 助かるわ!とは言え、さっきのおいらはカッコイイでしょう。回避の秘密を見つけたっすか?」
先ほど目覚めたばかりのメアリーは慌てふためいたが、その妙なテレポーテーションをはっきりと目に入っていたのだ。
「はいはい~ カッコイイよ。さっきのテレポーテーションは、多分その靴のスキルよね」
「正解~!お見事!これは[伝令神の靴]だよ」
[伝令神の靴]では受けダメージが三倍になり、[VIT]が半分になるという代償で、[AGI]と移動速度が二倍上がる装備なのだ。そして、[緊急テレポーテーション]という回避不能の場合に自動発動の緊急回避のスキルが付いている。
「まぁ、唯一の弱点は最大4回しか使えん。回数を回復するため、敵を倒すしかなぇ!どう~ これがおいらのやり方だ」
レオラは意気揚々として、微笑みが浮かべてセリフを言おうとした時、メアリーに先を越された。
「力が足りんならスピードで勝負だ!おいらのスピードは誰にも負けん!でしょう~」
メアリーが自分のセリフを寸分も違わずに言い表したため、レオラは驚愕して顔色を変えてしまう。
「えええ――っ!何でメアリーちゃんはおいらのセリフを!!?」
「あっちゃんって相変わらず鈍いな~ まだ私のことを覚えないかしら?」
メアリーは言った「あっちゃん」は、八年前親の転勤で引っ越しした幼馴染み——天光院亜子であったのだ。男の子に負けない強さを持つ女の子である。
小さい頃、美咲〈メアリー〉と瑠衣〈ネフェ〉がいじめられたら、亜子はきっと二人を守って悪い子たちと喧嘩する。力が弱い女の子だったが、スピードは誰にも負けないほど強いであった。
悪い子をやっつける後、きっと「おいらの勝!ほん~見かけ倒しでね!」という勝つセリフを出す。
よって、先ほどレオラが勝つセリフを出す時、メアリーはもうはっきりと覚えたのだ。
「まっ、あなたってまさか……」
「はい、そのまさかよ~」
久しぶりの幼馴染みの二人は感情を抑えられない、しっかりと抱き合った。
「会いたかったよ、あっちゃん!!!」
「おいらもだよ、瑠衣!!!」
「あの……あっちゃん、さっき私を何と?」
「へ――っ?瑠衣、野々原瑠衣よ!ところで、瑠衣って結構変わってるね。モフモフが好きなんて、アハハ~!」
メアリーの感動的な笑顔が不意に変わってしまう。
「あのな、天光院亜子さんよ!私はモフモフが好きって何がわるいのよ!」
「いやいや、悪気がないよ。だって、モフモフが好きなんて、それは美咲でしょう?そして、何で瑠衣は一度も『だぜ』も言わなかったよ!」
「それはもちろんよ!だって、私は美咲だもん!」
「えええ――っ!嘘!美咲ってゲームが嫌いでしょう!?」
「あっ、それはもう昔話よ!とにかく、私は正真正銘の新井美咲よ!」
「アハハ~!やはり美咲だよね、さっきキツネちゃんと遊んだ時もうそう思ったけど……」
「あっ!そうだ、早くネフェに知らせないといけない!」
「ネフェって、誰?」
「瑠衣よ!あっちゃんに人違いされた野々原瑠衣」
「ホォォ~ 瑠衣も一緒か、早く会いたいな~」
メアリーはメッセージの画面を呼び出して、『あっちゃんと会ってきた!』と送信した。
この時、ずっとメアリーに抱かれているキツネが部屋の奥に向けて鳴き出す。
「あっ、キツネちゃんごめんね。わざとあなたのことを忘れじゃないよ~ あなたのお母さんを探しましょう」
メアリーはキツネを慰める間に、レオラは既に部屋の奥に何かを見つかってから呼び掛ける。
「美咲、こっちはさっきと同じ窪みがあるよ!」
メアリーはレオラのところに行き着いた。
あそこの地面には燃える大文字模様の魔法陣で描かれている。
魔法陣の真ん中に同じ模様の絵が彫って石の台座が立つ。その面に先ほどと同じ形の窪みが五つあったのだ。
「この形って、『五山送り火』とそっくりじゃない?」
「あぁ!そう言われると確か似ってる!破片はちょうど五つが残ってる」
メアリーはキツネを撫でて、優しい口調で語る。
「キツネちゃん、もうすぐお母さんと会えるよ~」
レオラが破片を入ると魔法陣が輝き、炎が地下から次々と飛び出して、空中に集まると火に包まれて夕陽のように美しいキツネが現れた。
「うわぁぁ!素敵!これはキツネちゃんのお母さんか!?」
「本当だ!本物のメテオフォックスだ!」
二人はキツネの美しさに感動する際、メテオフォックスがオレンジ色の眩しい光を放つ。
二人の体が光に包まれる。
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