28、モフモフが大好きなため 事故を起こしちゃった!
「わーい~!今回は本物の海なのじゃ!」
海底トンネルから出て、強烈な陽光でキラキラと光っている砂浜が目に映る。
海が波の激しい音をたてて、白く泡が眩しく光っていた。
湾曲した海岸線に沿って並ぶ椰子林が、弦月のように両側に絶えず延びている。
海底トンネルの出口は、ピッタリと海岸線の真ん中に位置するのだ。
「あらまぁ~ 一番近い村はどっちかしら?」
「掲示板も何も書いていない……アップデートしたばかりだからね……」
「ウフフ~ 私に任せてください」
メアリーは自慢の目で両側を見渡す。
片側の果てに熱帯植物が生い茂る丘がある。反対側の海岸線の果てに薄く炊煙を地に靡かしている。炊煙に沿って下を眺めると、椰子林の縁にある村が目に映る。
「見つけた!村はこっちよ」
「おおお!さすがメアリーちゃんなのじゃ!」
「でも、ちょっと遠くすぎない?あたしたちは何も見えないぜ!」
メアリーはマップを呼び出して、距離を確認する。
ちなみに、目に見える範囲はマップに登録されることなのだ。つまり、メアリーのマップが通常より数倍も広かったのだ。
「うむうむ、5キロぐらいあるよ」
「「「「5キロ〈なのじゃ〉!!!!!」」」」
このような数値を聞くと流石に全員もビックリした。
障害物がないと、人の目は確か10キロ以外の映像を見えるが、それはぼんやりしている映像に過ぎないのだ。
茂る林を透ってはっきりと村の全貌を見極めるメアリーの目はスキル名のように『狩りの女神の目』なのだ。
「5キロはちょっと遠いだよね、よーし!フェル、幻獣化!」
大きくなるフェルを見ると、ライナーが「ギャー!」と叫び、逃げようとしたところに、アヤメとネフェに捉まえていた。
「放せ!僕は絶対に乗らない!!!」
「フェルちゃんなら一番速いに違いないぜ、ちょっと我慢して」
「ほほほ~ 観念せよ!もう逃がさないのじゃ!」
「お前ら!!」
メアリーたちはライナーを無理やりにフェルに乗せて、村へと駆け出す。
10分ぐらい経って、メアリーたちは沿岸の村――ギリエットに行き着いた。
村の片側は木陰に覆われている林でおり、一方では人より高いサボテンが生い茂る荒野であった。
「よいしょっと、これで転送の登録完了~ 皆はそれからどうするつもりかしら?」
「僕とアヤメは荒野にあるスキルを授けるNPCを探し行く」
「そうじゃ!運が良かったら、あたしも新しい魔法を手に入れるのじゃ!」
「あたしはメルラさんと一緒に料理用の食材を集めていくよ」
「そうそう~ 皆はあたしの料理を楽しんでくれよ~ ところで、メアリーちゃんは何処に行くつもりかしら?」
「私はさっきの反対側に行くよ!新しいモフモフと会えるかも~」
先ほど道を探す時、丘側に赤いモンスターがメアリーの視界を過っていた。僅かな一瞬だったが、メアリーはあれがゲームのポスターに描かれた可愛いキツネと確信した。
ちなみに、メアリーがゲームを始める理由はモフモフのキツネと戯れのなだ。
皆と別れ、メアリーはフェルに乗って、元の道に沿って駆け出す。
海の方から風が吹いているらしく、微かに潮の匂いがした。
「いい匂いだ~ もうすぐ会えるよ、モフモフのキツネちゃんと」
メアリーはワクワクして、一心に丘のところをジーと眺める。前のことに全く気付かなかったのだ。
海底トンネルのところに通った時、フェルが出てきたばかりのプレイヤーとぶつかってしまった。或いは、プレイヤーが跳ねられてしまうともっと適切だろう。
「人身事故を起こしちゃった――――っ!フェル、早く止まってくれ!」
メアリーは急いで降りて、プレイヤーのところに行き着いた。
赤色のマントを纏って人が砂浜にうつ伏せる。
「あなた、だっ、大丈夫ですか!!?」
メアリーはプレイヤーを寝返りを打て、既に気絶した綺麗な顔が視線に入る。
この瞬間、メアリーは交通事故の加害者として法廷で審判を受けてから牢獄に入れられてしまった画面を次々と想像してしまった。
「しっかりしてください。お願い! 死んじゃダメ!!!!!!!!!!!!」
少女の叫び声が波の音を超えて砂浜に響き渡る。
慌てふためく際に、メアリーは顔を何かに触られたような気がする。急いてみていくと、気絶したはずのプレイヤーの手が目に入る。
「おいらは死んでいないっす!」
「うわぁぁぁ!あなた、気絶しなかったですか!!!」
「気絶していたよ、あなたのペットのお陰でね~」
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
「何でもないっす!ほら、おいらはぴんぴんしているっす!」
メアリーは立ち上がると、この生き生きとするプレイヤーを見回す。
三角形の小さい帽子の下にルビーのような鮮やかな短髪をしている。髪色より鮮血のようなマントは潔白な神官服と著しい対照をなす。そして、緑色の靴につける小さな白羽が海風で煽られる。
美しいというより、颯爽とした姿の方がより適切なのだ。
メアリーはこの人を見ながら、頭にあることを素早くて考える。
それは、この人は男性か、それとも女性なのかということなのだ。
『僕娘』のライナーと違い、メアリーはこのような雰囲気を持つ人を初めて見たのだ。
メアリーがまだ必死に悩んでいる際に、プレイヤーは自己紹介をする。
「おいらはレオラ、クレリックだ、よろしくっす!」
「私は……」
「緊急クエスト2位のメアリーちゃんっすね~」
「えっ!どうして私のことを」
「有名人の自覚がないか……まぁいいや~」
「えっと、レオラさん、よろしくお願いします」
「さんはいらないっす、そして、多分同い年かも、敬語もやめて欲しっす」
メアリーは『さん』を使えると、まだいいと思う。使えないと、さっきの問題に戻ってきてしまったのだ。
「はい、えっと、レオラ……くん?」
「へええ……メアリーちゃんはおいらを男だと思うか?ガッカリ……」
レオラがわざと首を垂れる。
メアリーはそれを見ると、慌てで謝る。
「ごっ、ごめんなさい!私はわざとではない!レオラ……ちゃん」
「大丈夫っす~これからよろしくっす!早くフレンド登録しましょう」
「はっ、はい、レオラちゃん」
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