表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/70

20、モフモフが大好きなため 緊急クエストが始まる

 三人は店から出て、さっきより更なる沢山のプレイヤーが視野に入る。


「あたしたちここのモニターで観戦する。メアリーちゃんは頑張ってね」

「はい、それなら、行ってきまーす!」

「いってらっしゃい、頑張ってねメアリーちゃん!」

「あたしたちは応援するぜ、思う存分暴れるよ!」


 メアリーは人混みに入ってから噴水のところに行き着いた。

 そこには、よく知る二人の姿が瞳に映る。


「ライナー!アヤメちゃん!」

「メアリーちゃんじゃない、こっちこっち~」


 メアリーは二人にいるところに行き着いて、話し始める。


「こんにちは、僕たちも来たんだ。一緒に頑張るぞ!」

「ほほ~ 残念だが、ナンバーワンは既にあたしのものなのじゃよ![雷花火トニトルスシンティラ]はもう弱点がないのじゃ!」

「ウフフ~ それはどうかな~ 私も必殺技があるんだよ!」


 メアリーはアヤメと話しながら、アヤメの手に持っている武器に目を留まる。

 前の「水精霊の短剣」だけでなく、もう一本の短剣を持っている。

 剣身の周りが暗い霧に包み込む。陽光の下なのに、僅かな影も見えないのだ。

 それを気になるメアリーが尋ねる。


「ライナー、その短剣は?」

「あぁ、これは[影の小太刀]っていうさっきから手に入れた武器だぞ。今回のクエストはこいつを頼りにするぞ! もちろん、凄いスキルが付いてるぞ!」

「おおお!では、一緒に頑張りましょう。話は先が、一位はもう私のものよ~」

「えええ!ナンバーワンがあたしのものなのじゃ!」

「へいへい、頑張ってね、中二病少女たち~」


 爽やかな音楽を響くと共に、中央の噴水がだんだんと沈下していく。

 巨大のスクリーンが地下から登ってきた。

 それは生産職やモンスター戦の苦手な職業のための生中継であるのだ。


「それでは、間もなく緊急クエスト――魔王軍襲来が始まりますよ~ 皆さんがランダムで六つのエリアに転送され、一時間以内に次々と攻め来る敵を撃退しましょう!」



「「「ウオォォォ!!!!!!!」」」


 プレイヤーたちの怒号がまるで王都を満たすように響く。


「それでは、クエスト開始5秒前!皆さん一緒にカウントダウンしますよ~」

「「「5、4、3、2,1!スタート!」」」


 カウントダウンが終わった瞬間場にいる全員が光に覆われて転送された。


「ここは、やった!」


 眩しい光がなくなった時、メアリーは既に広々とひらけた野原に身を置ける。

 周りにはさっと見渡して、ライナーとアヤメの姿がないのを確かめたから安心してきた。


「良かった、ずっと二人と同じエリアになったらどうしょうと思って、これにて一件落着~ アレ?もう来たかしら?」


 メアリーは大地と大空に接する地平線のところに埃が舞い上がるのを気付いた。

 ちなみに、メアリーしか見えなかったのだ。


「あれは魔王軍だよね!ほほ~ 皆さんが全然気付かなさそうだ。出でよ、フェル!アンドっ幻獣化!」


 幻獣化されたフェルが真っ暗な煙の中から姿が現れて、メアリーの前にうつ伏せになる。


「「「雑魚戦じゃないか!!?何故いきなりボスキャラが出るよ!!!」」」


 不意に現れたフェルの姿が目に入るプレイヤーたちはボスモンスターと思うと、慌てて散り散りになって逃げってしまう。


「失礼な!うちのフェルはボスなんかじゃないもん!フェル、いざ出陣よ!」


 メアリーはフェルに乗って、空気を裂いて敵陣へと疾走する。

 自分の目を疑っているプレイヤーたちはその場で呆然してしまった。


 山ほどのゴブリンやスケルトンなどのモンスターがメアリーに襲い掛かる。


「おおお!沢山の敵だ、私のデビュー戦としてピッタリ~!まず口を開けるよ!出でよ、黄金の林檎!」


 自慢の攻撃距離で真っ正面の敵の隙間に林檎を一直線に呼び出して、「ボムッ!」と爆裂を起こしていた。


「フェル!その隙を突き、敵陣に突入しなさい!」


 フェルはメアリーの命に従って、破竹の勢いで開いた突破口から敵陣に突っ込んでいた。

 敵陣に侵入すると、レッドキャップという中級モンスターが次々とメアリーの視野に入って、ジャンプして鋭い斧で襲い掛かる。


「そうさせるか~ 出でよ、クマさんたち!クマハンマーよ!!」


 メアリーが石を投げるとレッドクマが前進ルートの両側に現れて、両拳がハンマーのように地面に叩くと沢山の敵が直ちに光となって消えていた。

 クエスト開始から僅か数分間に、メアリーに倒されていた敵がとうに50体を越えてきた。

 そして、メアリーはとうとう敵陣の中心に辿り着いた。


「そろそろ出番だよ!水の精霊よ!汚らわしい者どもを押し流せよ!出でよ、ウンディーネ!」


 メアリーが呪文を唱えると上空に槍を持つウンディーネの姿が現れる。


「行きなさい!ノアーウェーブ!」


 ウンディーネが両手で槍を天に向けて突き出すと、まるで旧約聖書に記載されているノアの物語のように、巨大な水流が空から物凄い勢いで地面へと突き落として、激しい大洪水となって押し流す。波は怒り狂ったように轟音を立てて波打ち際で砕ける。

 周りにいる全てのモンスターが瞬きの間に大波に呑み込まれる。

 勿論、水流はメアリーとフェルにとって、僅かな影響も持たなかったのだ。

 津波がまだ終わってないが、ウンディーネは笑顔を見せて元の水に戻っていた。つまり、召喚が終わったということなのだ。


「もう一度力を貸してくれ!ウンディーネよ!」


 メアリーが引き続きウンディーネを呼び出す。さっきと同じように洪水を呼び出す。

 さっきの水がまだ引いていない間に、次の洪水がまた流してきた。

 次々と現れていたモンスターの大軍が身動きさえも出来なくて咄嗟に水没されていた。


 ウンディーネを連続召喚するため、クリアしなければならない条件が二つあった。一つは80MPを消費して召喚する後、即座に回復すること。MPポーションの使用も少しのクールタイムがあるため、連続発動はできないのだ。もう一つはスキルのクールタイムがゼロになるため[DEX]600以上が必要という極困難な条件であったのだ。


 しかし、メアリーにとって、容易いことなのだ。

 [カレンの祝福]の5%の効果を加えて、[DEX]がちょうど600を超えてきた。

 [深淵ノ手袋]のスキル[精神転換]で敵一体を倒すと5MPを回復するため、召喚が終わる前に既にMPを全快できるのだ。


 絶え間なく召喚のお陰で、メアリーの討伐ポイントが僅かの間にもう500を超えてきた。

 そして、平野エリアに僅かな土地さえも見えなくなって、湖になってしまった。

 メアリーの言った通り、今回の緊急クエストは正しく自分のために用意したデビュー戦であったのだ。


お読みいただきありがとうございます。


この度、自分の拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。

『面白い』『続きが気になる』と思われましたら、是非ブックマークの登録をお願いします。

拙作を評価していただけるととても励みになりますので、大変嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ