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12、モフモフが大好きなため ウンディーネと戦う 1

 二人はライナー扉のところに行き着いた。


「ホントウなのじゃ!でも、見たことのない文字なのじゃ!」


 まるで生命を象徴する水で作られたような水色の扉に小さな泡が漂っている。

 上には青い雫の模様な紋章の周りに見たことのない文字が鮮明に書けている。

 メアリーは文字の意味を理解できるように解読し始める。


「妾の名はウンディーネ、水を司る精霊である……」

「メアリーちゃん?大丈夫なのじゃ?いきなりで変なセリフを喋る何で、憑依されたのじゃ?」

「あのな、アヤメ!ここはゲームだよね!」

「そうじゃよ」

「ゲームの中で憑依されたことがあるわけねぇだろう!もしかして、メアリーが文字の意味が分かるか?」

「あっ、はい。訳が分からないが、読めるよ」

「おおお!理由が分からないのじゃが、さすがメアリーちゃん!」

「精霊か…面白そう!メアリー、早く続けて」


 精霊という言葉を聞いて、二人がワクワクしている。

 そもそも、精霊という幻の存在に惹かれない少女がないだろう。もちろん、メアリーはもうワクワクしているのだ。

 メアリーは深呼吸して、解読し続ける。


「妾と契約を結び望む勇者よ、三つの約を守れば扉を開けて試練を受けよう!試練を乗り越えると精霊の力を与え賜え…… 」

「契約……精霊……召喚……召喚か!わかったよ、メアリーは召喚術士だから、この文字が読めるようになったよ」

「おおお!つまり、ボスを倒したら、メアリーちゃんが精霊を召喚できるようになるのじゃな?そして、三つの条件って何じゃ?」

「えっと、一つ目はパーティーの中には必ずちょうど一人の召喚術士又はスピリットサモナーがいること。二つ目は、召喚術士又はスピリットサモナーが雷の精霊と契約をしないこと。最後は召喚術士が水属性以外の召喚、特殊召喚使えないこと!!?」


 ショックを受けたように、メアリーは顔を陰鬱に沈み込ませる。

 メアリーの最大の切り札は闇属性のフェルと光属性の林檎である。これを封じられると、水属性のスライム以外に何も召喚できないのだ。


「やはり、ログアウトで町に帰ろ…か…」

「何をばかなことを言ってるか?僕たちのことを忘れたら困るぞ!」

「そうじゃ!あたしの魔法の前に、ボスは風前の灯火なのじゃ!」

「でも……」

「でもじゃないぞ!せっかくここまで来たのに、そのまま帰ると悔しくない?」


 メアリーが手で顔を叩くとシャキッとして自信を取り戻す。


「分かった!攻撃を頼むよ、防御とフォローは私に任せてください!」

「よし!任せてくれ!」

「ラジャー!」


 三人は力を込めて扉を開ける。

 水色の扉が開ききり、岩から流れ落ちる清水が琴の音のように聞こえる。

 ここは清冽な水に囲まれている湖心の島である。向こう側の滝から流れてくる濃い霧のようなひんやりと湿った空気が部屋に満たされている。


「このような綺麗な場所は本当にボスの部屋かしら?」

「僕も知らない。さっきは掲示板を調べたが、精霊についての情報は一件もないぞ!」


 ライナーの言ったように、β版からウンディーネのダンジョンは誰でも見つかなかったのだ。

 そもそも、このような厳しい条件を満足できる人がほとんどいないだろう。


「話は後じゃ!敵が来るのじゃよ!」


 鏡のような水面から、無数な光が滝の上に集まると、槍を持つ美しい女性が現した。


「彼女はウンディーネかしら?決して勝てる相手ではないよ!」


 遠い距離を隔てて、既に物凄い迫力を感じられてしまう。


「妾と契約を結び望む勇者よ!汝らの力を見せてくれよ!」


 ウンディーネは槍で蒼い光線を水中に射すと静かな水面に気泡が湧き出る。

 水色のモンスターが次々と三人にいる島に飛び移った。

 外見は普通のスライムとそっくりしだが、紺色の核が半透明の体の中を漂うように動きまわっている。


「どうやら直接ボスと戦うではなさそうだ、ラッキー」


 ライナーがそう話すと[隠蔽]を発動して敵の背後から一撃で核を突き刺した。

 モンスターが直ちに水となって消えていた。


「よし!この調子でいくよ!出でよ、スライム君!」


 メアリーは六体のスライムを呼び出したが、弱いスライムは決してモンスターの相手ではない。一撃だけですぐ光となって消えてしまった。

 しかし、メアリーが僅かなうろたえるさまも示していなかった。まるで全ての流れを把握するように自信な顔が露になった。


「スライムたちよ!黄泉から再びこの世に戻りなさい!」


 メアリーが唱えると青い光である燃えている火の玉が現れて、更なる透明なスライムになってきた。


「いっけい!ゴーストスライムたち!」


 六つのゴーストスライムが命令に従って、ぷよぷよと敵陣に突入する。

 先ほどと違い、敵の攻撃がまるで空気を攻めるように通り抜けた。

 まぁ、霊体であるから、攻撃が当たらないのは当然なのだ。

 しかし、いくらダメージを受けられないが、スライムはその可哀想な[STR]で敵にダメージを与えないのだ。


「アヤメ、ゴーストは長くが続かない!早く魔法を!」

「ラジャー!あたしの新魔法をみせてやろう!白き雷よ!轟け!反逆者ともに神の裁きが下され!雷皇!」


 アヤメが詠唱すると白い魔法陣が輝き、無数な白き雷が空から敵に撃ち込む。電撃の光がまるで部屋を満たさせるように輝いている。

 核が破壊された敵が次々と水となって消えていた。


「見たか!これがあたしの力のじゃ!」

「すっごーい!敵を全部倒した。まるで伝説の魔法使いよ!」

「ほほ~もっと褒めたまえ~!」

「ははーっ!大魔法使いアヤメ様~!」


 二人が嬉しんでいる茶番を演じる際に、[隠蔽]を解除したライナーの姿が現れる。


「中二病少女たち、遊び暇はないよ!ボスはまた何かをするようだ!」


 滝の上に戦闘を俯瞰しているウンディーネが槍を天に向けて突き出すと先ほどに破壊された核の破片が集まって、水中に沈んでいた。

 鏡のような水面にちりめん皺のような波紋が立つ。全身が蒼い水で包んでいる巨人の上半身が水面から浮き出し現れ、拳で三人に襲いかかる。


「逃げろう!」


 ライナーは自慢の回避力で軽やかに体を捻って攻撃を難なく躱した。

 回避能力はほぼゼロのメアリーとアヤメは直ちに後ろに逃げ出す。

 最初の一撃は地面に当たってから八筋の水を跳ねて、水鉄砲のように二人に襲い掛かる。


「気を付けて、あれは魔法攻撃なのじゃ!!」

「ありがとう!いっけい!」


 メアリーは即座に六つの捨て駒石を投げるとスライムを召喚して水流を遮ったが、残る二筋の水流が既に目の前に来てしまった。


「メアリーちゃん!」


 やられる寸前、アヤメがメアリーの前に立ちはだかって水流を遮った。HPゲージが一気に半分まで減ってしまった。


「ずぶ濡れ達磨!あたしの魔法防御力を甘く見ないで!雷よ、敵を貫け!」


 アヤメは最も弱い雷魔法を撃ち込む。HPゲージが僅かでも減らなかったが、攻撃を受けた敵が挑発されたように拳を握ってアヤメに襲いかかる。


「どうしてわざわざ挑発するのよ!早く回復してくれ!」


 アヤメはHPポーションを飲むと横に走り出す。


「その魔法攻撃を耐えるのはあたしかないのじゃ!ライナー!ボスを任せるのじゃ!」

「ナイス攻撃!後は任せろ!電光石火!そして、五連撃!」


 ライナーの全身が薄いオーラに覆われて、目に見えないスピードで連撃斬り裂いた。

 巨人のHPがやっと二割くらい減ってきた。

 しかし、敵は池の水を体に吸い込むと、HPバーが瞬きの間に回復していた。


「うっ、嘘!どうやってこいつを倒すのかよ!気を付けて、攻撃が来るぞ!」


 ビックリされたライナーは敵の動きに気付いてアヤメに注意を叫ぶ。


「ラジャー!」


 拳を躱したが、跳ねた水がまだアヤメへ狙い来る。


「ゴーストスライムたち、アヤメちゃんを守りなさい!そして、いっけい!」


 メアリーはゴーストを呼び出すと共に二つの捨て駒石を投げ出す。

 霊体のスライムはアヤメの前に現れて水を遮って消えた瞬間、捨て駒石が残る二筋の水流を受け止めていた。


 まるで希望の光みたいなシステムの効果音がメアリーの耳に流れ込む。


『スキル:[召喚Ⅲ]が[召喚Ⅳ]にレベルアップしました』


お読みいただきありがとうございます。


[ゴーストスライム]

レベル D 

HP 10

MP 0

STR 15

AGI 6

INT 2

DEX 8

VIT 14

スキル:[体当たり]自身の体で相手をぶつけること。消費MP無し

特性:空に浮かぶ霊体のスライム、物理攻撃でのダメージを受けないである。


この度、自分の拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。


『面白い』『続きが気になる』と思われましたら、是非ブックマークの登録をお願いします。


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