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決意

 なーんて、調子の良い事を言ってから、早くも一ヶ月が経った。


 いやね、私ってなんだかんだ言って、基本的に小心者なのよ。

 英雄だ何だと持ち上げられたり粋がったりしても、その本性は変わらない訳で。


 つまり、何を言いたいのかと言えば、ぶっちゃけ接触を持つ踏ん切りが付かない。


 いやさ、ほら、絶対に必要なら勇気を振り絞る事も出来るぞ?

 でも、絶対に必要な訳じゃないし。

 スルーしようと思えばスルー出来る情勢な訳だし?

 まだ良いかなー、急ぐ事もないしなー、とか、そんな駄目な思考回路をしている内に、いつの間にかこんな事に。


 うん、明日こそ頑張ろう。明日こそ。


 でも、まっ、一ヶ月の間、何もしていなかった訳ではない。


 そう、ローポーションの改造に勤しんでいたのだ!


 今のままだと単なる塗り薬のローポーション。

 まぁ、毒ではないから飲み薬として使えない訳ではないけども、味は最悪という評価以外にないもの。

 とてもではないが、口に入れたい物ではない。


 それをしこしこと改良していたのだ。


 そして、遂に! ローポーション改が完成した!

 そう、ローポーション・ボディソープバージョンだ!


 いや、飲み薬じゃないのかよ、ってツッコミはいらないから。

 ちゃんと自覚してるから。

 でも、完成しちゃったんだから仕方ないじゃないか。


 まぁ、簡潔に言えば、泡立つようになって、ちょっとばかしフローラルな香りがするだけなんだけどね。


 でも、薬用だからな! 効果は抜群だぞ!?


 お肌の荒れや小さな傷は勿論の事、潤いは若かりし頃の様にぷるぷるとなり、肌の張りもきっちり回復!

 年には勝てない小皺も繰り返し使う事で滅殺する驚きの優れもの!

 更には、若い頃の過ち、お手入れをさぼった事で生まれた染みや傷跡にすら効果があるという脅威の性能を秘めた、魔法のボディソープなのだ!

 いや、実際に魔法のお薬ではあるんだけど。


 ちょっと前からお風呂場のボディソープとこっそり入れ替えてある。

 おかげで、お母さんの外見年齢が徐々に若返りつつある。

 今はまだ年齢相応の範疇だが、あと半月もすれば明らかな変化が見て取れるだろう。

 良いよね、若くて美人な母親って!

 咲輝ちゃんの事ばっかりで私は最近放置され気味だけど!

 な、泣いてなんかないやい!

 私、前世も含めればもう二十歳超えてんだぞ!?

 親離れくらいできとるわ!


 まぁ良い。


 そうそう、そういえば蜘蛛子がこの一ヶ月で目に見える成長を見せている。


 なんと、体内に魔石を宿したのだ。

 使い魔にした当初は持っていなくて、地球の魔物はそういう物なのか、と納得していたのだが、どうやら環境が問題だったらしい。


 向こうとは違い、地球は大気中の魔力濃度が薄く、食料にもそういった物が非常に少ない。

 つまり、魔物にとっては常に栄養失調状態になる環境なのだ。


 だが、蜘蛛子は我が家の庭という魔境にて過ごして、そこに生えている魔草をもりもり食っている。

 栄養満点だ。

 そのおかげで、生命維持以上の事にエネルギーを使えるようになり、体内に魔力貯蔵器官が作られるようになったのだ。


 そう、それこそが魔石の正体だったのだ。

 初めて知った事実である。

 向こうでは、魔物は魔石を宿しているのが当たり前だったからなー。

 その作成過程はいまいち研究が進んでいなかったのだ。


 良いぞー、蜘蛛子よ。

 その調子で魔石を作ってくれたまえ。

 生命維持に関係ない以上、それを摘出しても大丈夫だし、より上質な、せめて中級以上の魔石を作ってくれると御主人様はとても助かるのです。

 ええ、ホントに。


 魔物の生態ってのは、不思議なもんだねー。

 一つ、研究してみるのも暇潰しに良いかもしれんね。


 …………魔物と言えば、魔王だな。


 あれは、結局、何だったんだろうな。

 向こうでは、悠長に研究している暇も無くて、襲い掛かってくるから兎に角ぶっ殺せ状態だったから、正体など、詳しい事はさっぱり分かっていない。


 突然現れて、突然襲い掛かってきた、らしい。

 自身の分身体の様な魔物を生み出す事が可能で、自然に生まれた魔物をも従える能力も持つ。

 理不尽に強く、見境なき破壊衝動を秘めた怪物。


 それが魔王だった。

 ぶっちゃけ、真正面から殴り合うとか馬鹿のする事である。

 私はそれをした訳だが。

 つまり、私は馬鹿だが。


 魔物がいる……以上、今後、地球で魔王が生まれる可能性は、有り得ないと切って捨てられる物ではない。


「うーわっ、嫌な予想を思い浮かべちゃった……」


 正直、もう一度魔王を倒せって言われても、ノーセンキューです。

 絶対に嫌です。

 神経削るってものじゃないし。

 命幾つあっても足りないし。


 でも、


「何処かの誰かがどうにかしてくれる、と、安穏と構えておく訳にもいかないよな」


 都合よく、英雄が現れるとは限らない。

 何の希望もないまま、予定調和に滅ぶだけかもしれない。


 なら、もしもに備えておく必要がある。


「あーくそ。理由付けて後回しにしようと思ってたのによー。理由が出来ちまったじゃん」


 やはり後ろ盾が必要だ。主に経済的援助が必要だ。


 武士軍団が、そうなってくれるかは分からないが、接触し、交渉してみるべきだろう。


 魔物の生態、魔王の発生条件が分からない以上、今、この瞬間にも生まれるかもしれない。

 急がなければ、ならない。


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